多様化する消費者の趣味嗜好の中で、ユーザー視点・行動をどう汲み取るか

前項までの部分では、

・アフターコロナ時代、各社のマーケティング活動はデジタルシフトが進みそうである
・SNS広告の利点、マス広告の課題

について触れました。

ここからは補論として、「SNS時代」とも言える昨今の消費者の視点や嗜好・行動についてもう少し触れていきます。

「スモールマス」という概念

大手消費財メーカー「花王」のデジタルマーケティング戦略の中では近年、「スモール
マス」という概念を提唱していると言います。これは、従来の画一的な「マス受け」「多数受け」マーケティングから、生活者の「個」(趣味嗜好、生活背景、希望、ニーズ、悩みなど)にもっと細かくフォーカスし、小さくセグメントを切ったマーケティング手法こそが今の消費者に響く、という考え方です。

先にも述べましたが、属性や趣味嗜好まで含め、セグメントを細かく切ることができるSNS広告は、まさにこの「スモールマス」の考え方と非常に相性が良いものだと言えます。

参考:マスより一歩踏み込んだ「スモールマス」とは?|宣伝会議
日本コカも注目? 花王で「スモールマス」をつくった男を直撃|日経クロストレンド

パレートの法則 「一部の熱狂顧客が消費を支える」説 

パレートの法則(80:20の法則)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、マーケティングに当てはめると「20%の顧客が80%の消費を支えている」という考え方です。

つまり、ごく一部の顧客を「熱狂顧客(ファン顧客)」に育成することで、売上の大部分を作ることができる、という理屈です。まさに前項の「スモールマス」の考え方にも通じるものだと言えるでしょう。

画一的で、多数受けするような広告を打って売上を狙うより、ごく少数の悩みやニーズを掘り下げた「スモールマス」に響く広告を打って、その少数を熱狂顧客に育て上げたほうが、売上を作っていきやすい、という考え方です。

消費者の趣味嗜好が多様化・細分化している現代において、SNS広告をはじめ、細かなユーザーデータをフル活用できるデジタルマーケティング施策を打つ際には、このような考え方も参考にしていくべきでしょう。

参考:80:20の法則を活用する3つの方法。仕事も勉強も効率が5倍に!?|STUDY HACKER

デジタルシフト+消費者視点を細やかに考えよう

コロナ禍で各社のマーケティング戦略は、ますますデジタルシフトが進みそうである、ということをリサーチデータから述べました。しかし、「ウィズコロナ、アフターコロナの時代だから、対面でのオフライン施策ではなく、非対面でのオンライン施策を進めるべき」と単純に言い切れない背景も存在します。

消費者の趣味嗜好、悩み、ニーズが非常に細分化している時代。「少数に刺さる」「その少数を熱狂顧客に育て上げる」という視点も必要になってきます。アフターコロナのマーケティング活動において、デジタル施策に注力するならば、昨今の消費者視点も考慮し、さまざまな仮説を組み合わせて施策を投入することが功を奏すると言えそうです。