スマートフォンを少し操作すればすぐ情報にたどり着くデジタル時代、情報の価値は日々薄れていると言われています。日々目にする広告からの情報にも、その価値が問われているでしょう。

アドフラウドやフェイクニュース、乱れるインフルエンサー市場など、問題が多くある広告業界。そのような中、今求められているのは「広告の健全化」です。この問題について考え、解決策を模索していきましょう。

広告業界に起きている問題とは

今、広告業界では、さまざまな問題が起きているといわれています。主な問題として以下の4つが挙げられます。

1.アドフラウド

アドフラウドとは広告詐欺の総称です。アドフラウドには様々なパターンがありますが、botなどを利用し広告の表示回数やクリック数などを水増しする事例がよく知られています。

広告主はしかるべき相手への広告がなされず、成果にまったくつながらないという事態に。情報伝達の観点から言えば、伝えたい相手に伝えたい内容が伝わっていないという問題が起きています。

2.フェイクニュース

フェイクニュースとは、その名の通り、事実ではない虚偽の内容を発信したり、報道したりすることの総称です。そのフェイクニュースを見た人の中には、真に受けてしまう人もいることが問題で、時には社会的に大きな混乱をもたらします。

情報伝達の観点からすれば、消費者たちは虚偽の情報に振り回される上に、何を信じて良いのかわからず、ただでさえあふれかえる情報の取捨選択に対して、余計に戸惑わせてしまいます。

3.インフルエンサーのステマ問題

広告であることを明示せず、広告行為をするステルスマーケティングは、昨今、インフルエンサーのSNSにおける情報発信のシーンで問題視されています。自身が本当に勧めているのではなく、広告主からお金を受け取ってあたかもその商品を使用しているかのように装い、SNSで情報発信することが横行しています。

その商品の価値を本当に知りたいユーザーを惑わせ、騙す結果になってしまうでしょう。

4.下がる広告価値

適正な広告であっても、最近では各個人に必ずしもマッチする情報だけでなく、マッチしないものも含めたあらゆる情報があふれており、情報や広告の価値が下がっているともいわれています。

自分自身が求めていない情報が毎日たくさんやってくることから、ユーザーは疲弊しており、結果的に商品やサービスも購入しようという気が起こらなくなることもあります。その結果、企業は躍起になってさらに商品を売ろうとして、さらに情報発信をする方向になってしまいます。また、そうした状況から、アドフラウドやインフルエンサーの問題なども浮上しているのではないかと考えられます。

広告業界に求められる「広告の健全化」とは

広告業界の問題は、決してこれだけにとどまりません。これらの問題をはじめとして、広告業界は今、一丸となって*「広告の健全化」に取り組んでいくべき*といわれています。では、広告の健全化とは、具体的に何が求められているのでしょうか。

もちろん、不正を働かず、適正な情報発信という意味での広告を配信していく必要があります。しかしたとえ適正な広告を打っていても、考えなければならないことがあります。

一人ひとりが本当に欲しい情報を提供すること

情報があふれかえる中、消費者にとってどれが自分に有益な情報かの取捨選択はむずかしい状況です。そこで、情報発信側は本当に伝えるべき相手に、本当に欲しい情報を提供することが求められます。

商品の価値を理解した人による紹介

不正なインフルエンサーマーケティングではなく、その商品の価値を本当に理解している人が紹介するなど、受け取り手のことを考えた広告配信が理想です。

広告の健全化のための施策

では、広告の健全化を実現するためには、どのような施策が考えられるでしょうか。広告の健全化のための具体的な施策をピックアップしてみました。

マーケター教育

やはり一人ひとりのマーケターの考えを変えることが大切です。今回紹介したような広告業界の規制や健全化のための意識付けというのは、なかなか初心者や個人では把握しづらいことでもあります。

社内外含めて教育の場、例えばセミナーなどを積極的に開催したり、参加したりすることが重要でしょう。

ユーザーの本音を吸い上げる仕組みづくり

広告を通して、その人に合った、その人が求める情報をダイレクトに伝えるためには、まず広告配信対象者、つまりターゲットがどのような想いを持ち、行動しているのかを知る必要があります。よってターゲットの本音を吸い上げる仕組みを作ることが先決です。

Web接客ツールなどのアドテクノロジー活用

ユーザーの声を拾うためには、Web接客ツール等のアドテクノロジーを活用することが具体的な策の一つといえます。ただ広告配信を効率化するためのテクノロジー活用だけでなく、ユーザーに適した情報を提供するためのアドテクノロジー利用も考えていく必要があります。

マーケターの意識改革が必要

広告業界の問題はそこかしこで既に問題視されています。しかし問題は不正行為にとどまらず、ユーザーを無視した闇雲な情報配信などにも根付いています。

マーケターが正しい認識を持ち、本当に届けたい相手に対して、本当に必要な情報を発信していく意識を持つことが、まず広告の健全化のための第一歩です。その上で、昨今進んでいるテクノロジーを活用していけば、広告の健全化が見込めるのではないでしょうか。

参考:
ネット広告の大問題「アドフラウド」とは 日本は対策が不徹底
インターネット広告は壊滅寸前? 好調さの裏で広がる不正の温床
丸の内ソレイユ法律事務所監修10分でわかる景品表示法への対策

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