投げ銭を導入したリアルタイムイベント

ではリアルタイムイベントで、投げ銭を導入した具体的な例をいくつか見ていきましょう。これまでに確保されるはずだった収益が大幅に失われた状態では、新しくお金を回収する経路が必要になります。どのようなイベントで有効に活用されたのかを見ていきます。

ウェビナー

Webでセミナーを行う通称「ウェビナー」。これまでは会場に集まってセミナーを行うことが通例でしたが、学びの場もインターネットを通して自宅に移動されました。その際に導入されたのが投げ銭です。

合同会社well coの代表である藤田泰仁氏が主催するウェビナーでは、無料でセミナーを受けることができる一方で、お金に余裕があれば追加で支払いを可能としています。支払いをチケットなどで制限しないことで、より柔軟な収益構造を確保できるのです。

参考:コロナ禍で頭を抱えている事業主に向けて『投げ銭式セミナー』を開催

無観客ライブ配信

ライブにおいても投げ銭が利用されるケースが増えてきました。会場に人が集められないことが確定しているので、確保した会場は空の状態で残されています。ライブがキャンセルとなったアーティストは、その状況を活用して配信を伴った無観客ライブを行いました。

配信プラットフォーム上の投げ銭のシステムを利用することで、ライブの収益として投げ銭が入ってくる仕組みです。実例として1つのライブだけで、1億円もの収益を上げたアーティストも出てきています。

参考:新型コロナで公演中止のM.S.S Project、無観客ライブ配信にファンの“投げ銭”止まらず 「スパチャ1億」トレンド入り

Jリーグ

サッカーでおなじみのJリーグも投げ銭を導入した活動を始めています。スポーツ事業に関しても観客を会場に集められないという問題が発生し、収益源が失われつつある状況です。その中で投げ銭の効果は絶大でした。

鹿島アントラーズが行ったオンラインイベントは、過去の映像を選手と振り返るといった内容。投げ銭機能を活用した5時間のイベントで、個人から数万円単位の金額も出されるほどの結果になりました。

参考:「10万円を投げ銭」した猛者も。Jリーグで“投げ銭”応援イベント続々。気になる手応えと実績は?

withコロナで起こる消費者心理を考察

ではコロナを介して消費者心理はどのように変わっていったのでしょうか。withコロナの時代を生き抜くためにも変化が求められている今。消費者の行動を理解することが、企業としても重要な一手となっています。消費者心理を考察し、これからの消費について考えていきましょう。

これまでの「会場に行く」とは違う楽しみ

先ほど紹介した無観客ライブなどのように、会場に足を運ばないライブの方式が採用され始めています。リアルタイムで現地で体験することに価値を見出していた方法から、インターネットを利用してつながる新しい形態へ。

ライブだけにとどまらず、セミナーやその他の各種イベント全般においてその傾向は見られます。今後も、会場で楽しむことを前提としないイベント設営が活発になることが考えられるでしょう。イベント業界全体の状態が改善へと向かうことを願って、支援をしていくことが重要となります。

考える時間が生まれ新しいことに注目

活動を自粛されたことによって、家で活動する時間が長くなりました。これに伴って外で働いている人はテレワークが導入されることになり、仕事も家でする頻度が増加したことでしょう。通勤にこれまで使っていた時間など、空白の時間が生まれることも想定されます。

これまで考えなかったことにも触れることになり、新しい視点に立つユーザーも増加。購入する商品の属性が変わるなど、新しい消費行動を示すケースも表れています。時間があることでこれまで忙しくて手が付けられなかったことを実行に移し始めたといえるでしょう。

今まで外に向いていた意識が内側へ

コロナ以前の社会では多くの人が外出を日常的に行っていたため、長時間意識が外を向いていました。そのため自分が本来求めているものはなんなのか。改めて考える時間を捻出しづらい状況でした。

それに対しコロナ禍を経験して、外出頻度が下がることで自分と向き合う時間が少しずつ確保されるように。これを受けて決断できなかった大きな決定をする人も少なくないでしょう。外の世界の見方も変われば、また外出をした際にも異なる消費行動をする可能性があります。

参考:新型コロナウイルスが及ぼす消費者心理への影響(6月第1週)