Web上でユーザーに会員登録を行っていただく場合は、出来る限り手間を省略しなくてはいけません。

会員登録によってユーザーに様々なメリットが提供できるとしても、ユーザーに手間を取らせてしまうことには変わりなく、あまりに面倒だと離脱されてしまう可能性もあります。
そこで活用したいのがSNSのアカウントを利用して簡単に会員登録が行える「ソーシャルログイン」機能です。

今回は「ソーシャルログイン」設置時のメリット・デメリットについて解説します。

ソーシャルログインとは

ソーシャルログインとは、既存のWebサービスアカウントを利用してログインできる機能のことです。
この機能を利用すれば、Webサービスごとに会員登録をしなくても共通のIDとパスワードでログインすることができるのでユーザーの手間が省かれ、会員登録率やログイン率を高めることができます。

連携できる主なサービス

  • Facebook
  • Twitter
  • Google
  • LINE
  • Yahoo!
  • 楽天
  • mixi
  • LinkedIn
  • PayPal
  • Amazon

ソーシャルログインというとFacebookやTwitterのようなSNSのみ利用できるとイメージしがちですが、Yahoo!やAmazonなど利用者が多いWebサービスからもソーシャルログイン機能が提供されています。

利用状況

オウンドメディアソーシャル化プラットフォームを提供するGIGYAの調査によると、世界ではFacebookでのログインの割合が増え続けており、2015年の第2四半期では約66%にも上り、全ソーシャルログインの2/3を占めているようです。
業界別で見てもFacebookの存在感は大きく、記事内で紹介されている全ての業界で利用率が60%を超えています。
州別の分析をみても、どの州でもFacebookの利用率は70〜80%と非常に高い割合を示しています。
海外への展開も考えているWebサービスの場合は、Facebookアカウントでのログイン機能は必須でしょう。

1.png
(画像は以下記事より引用)
参考
The Landscape of Customer Identity

続いて、ソーシャルログインの国内利用率に関するデータです。

一方、日本ではYahoo!IDの利用が約60%を占めています。
第2位のFacebookについては約20%と、その差は歴然です。
業界別で見ても、Yahoo!IDの利用率の高さが非常に目立っています。
これは日本のオンラインニュース市場ではYahoo!ニュースがトップを独走してきたという特性が一部反映されていると考えられます。

利用デバイスについては、約6割がモバイルです。
記事内では、ソーシャルログインを利用することでスマートフォンでの新規会員獲得率が38%向上したと書かれています。

モバイルファーストが叫ばれる現在、国内外に関わらず、ソーシャルログイン機能を導入することはWebサービス運営者にとって必須とも言えます。

2.png
(画像は以下記事より引用)

参考
国内ソーシャルログイン利用率はYahoo! JAPAN IDが56.5%でシェアNo.1!ソーシャルログイン利用者の6割がモバイルユーザーという結果に。

メリット

ソーシャルログインを設置することで、ユーザー、企業双方に大きなメリットをもたらします。

ユーザー側のメリット

・会員登録などが必要なWebサービスへのログインがSNSボタンで行える
・IDやパスワードは、利用しているSNSのみ覚えておけばよい
・パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットなど、各種デバイスでも簡単に利用できる
・あらかじめSNSに登録しておいた情報を自動入力してくれるので、入力ミスが発生しにくい

企業/運営側のメリット

・会員登録等の手間が省けるので、新規ユーザーの獲得件数やアクティブ率がアップしやすい
・各種SNSに登録されているユーザー情報や投稿内容等から、Webサイト訪問者の属性を分析したり、各ユーザーごとにマッチした広告表示やメール配信、レコメンデーション等を行うことができる
・SNSと連携していることで、記事等の情報が拡散されやすい

デメリット

多くのメリットがあるソーシャルログインですが、考慮しておかなければならないデメリットもいくつか存在します。

ユーザーがログインで利用したSNSに登録されている情報以外は取得できない

FacebookやGoogle+など、実名登録をしているユーザーが多いSNSではあまり問題にはなりませんが、TwitterやLINEなどの場合は、ニックネームなどでの登録が主流となっているので、実名を取得することが難しくなります。

SNSの仕様変更の際に影響を受ける可能性がある

仕様変更で、データを取得できなくなってしまう恐れも十分に考えられるので、仕様変更があった際には注意が必要です。

全てのユーザーをカバーすることはできない

SNSや巨大なプラットフォームアカウントを利用できるとはいえ、それらのサービスを利用していないユーザーが存在します。
ソーシャルログインだけではなく、Webサイト独自のフォームも用意しておくことをオススメします。

実装には専門知識が必要

自社の独自サイトにソーシャルログインを実装する場合、SNSのAPIを把握して認証を行うための知識が必要となります。
知識のあるエンジニアがいない場合は、外部サービスに依頼する必要があるため、導入コストがかかる場合があります。

ユーザーのログイン履歴が本人のSNSのウォール上に流れる場合がある

あらかじめ設定等で公開されないようにしておけば問題ありませんが、ユーザーが該当のWebサービスにログインしたことをSNS上でつながっている友だちに知られたくない場合でも、意図せずしてウォール上に流れてしまう場合があります。
これが原因でユーザーが離脱してしまう可能性もありますので、初期設定でウォールに情報を流さないようにするなどして配慮するようにしましょう。

まとめ

ソーシャルログインにはいくつかのデメリットもありますが、自社のコンテンツやオウンドメディアなどを利用して、Webサービスなどをユーザーに知ってもらうためにも、SNSを活用したソーシャルログインの機能は必須と言えます。
加えて、モバイルファーストが重視される現在、モバイルでのユーザー獲得の重要度は高まってきています。
まだソーシャルログイン機能を実装していないのであれば、実装を検討してみてはいかがでしょうか。