2015年12月21日、2015年12月21日、岡村製作所主催のトークイベント「はたらくを豊かにするつながりと対話の核心」が開催されました。
社会・ビジネス環境が劇的に変化し、各々が抱える課題も複雑化した今、単一の組織だけでは課題解決が困難になりつつあります。

このような状況を解決するために、自社内で完結するのではなく、外部のアイデアを組み合わせることで書く進呈な成果に繋がる「オープンイノベーション」を実践する流れが起こっています。
当イベントも、複雑化した課題を対話を通じて解決するという狙いのもと*「「はたらく」を豊かにする「つながり」と「対話」の核心」*をテーマに、日本マイクロソフトの澤氏、Sansanの日比谷氏を迎えて講演、トークセッションが開催されました。

今回は、ビル・ゲイツが卓越した社員にのみ授与する「Chairman’s Award」を受賞した経歴を持つ、日本マイクロソフト株式会社のテクノロジーセンター所長澤氏による「ビジネスを円滑に進めるシンプルな伝え方」をテーマにした講演の様子をお届けします。

登壇者

日本マイクロソフト(株) テクノロジーセンター所長 澤 円 氏

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日本マイクロソフト株式会社 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長およびサイバークライムセンター長を務める。立教大学経済学部卒。
生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に転職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。
2011年7月、マイクロソフトテクノロジーセンター センター長に就任。
2015年2月より、サイバークライムセンター日本サテライトの責任者も兼任。サイバー犯罪の動向に関する情報発信や、セキュリティ専門家との情報交換などを行う。著書に「外資系エリートのシンプルな伝え方」。

対話とは

今日は「対話」をテーマにお話していきます。
僕は元々、バリバリのドメスティックな企業にいました。
生命保険のIT子会社にいまして、いわゆる日本のカルチャーの中で仕事をして、そこからマイクロソフトに転職しました。

最初はエンジニアだったんですが、だんだん営業職にシフトしていって、今は、エヴァンジェリストという肩書が近いかなと思うんですが、ファンを増やすための活動をやっています。
それと同時にサイバー犯罪に関する情報を正しくお客様に伝える仕事もやっています。

昨年、書籍も出版したんですが、IT全然関係なくて、コミュニケーションに関する内容を本にしてみました。
僕がエンジニアになった頃は、まだWindowsが発売されるかされないかという時期でした。
なので、IT系はかっこいい言い方をすると先駆者だったんですよね。僕は文系出身だったんですが、たまたま出会った人がSEで、SEってなんかかっこいいなあと思って入っちゃったんです。

まあわかんないです。アルゴリズムって何のリズム?というような。全然用語がわからなかった。
そういうのって、基本知識すぎて説明書にも書いてないんですよ。理解のプロセスも書いてなかった。
そこで苦労して自分なりに理解できるよう工夫を重ねた結果、「あなたの説明は随分わかりやすいね」とお客様に言われるようになったんです。

理解するのに時間がかかった分、そこのワーディングが人よりも多くなったんです。
なので、相手がどこでつまずいているのか、どこまでわかっているのかをかなり細かい粒度で測ることができるようになったというのがバックグラウンドになります。

対話とは?

では対話についてお話していきます。
さっきたまたま面白い記事を見つけたので引用します。

参考:
上司より先に帰るは8割以上が容認。挨拶なしで帰る方が不評

新入社員のマナーに関する記事です。
部下は上司より先に帰ってはならないというカルチャーの企業がまだあるかもしれませんが、それに関しては8割以上が容認していると。
それよりもっと悪いのは挨拶なしで帰ることだと。ここはほぼ100%みたいですね。挨拶なしで帰るのは無礼であると。

挨拶っていうのは、対話のスタートなんですよね。
挨拶しないことがこれほど人を不快にさせるものだということが読み取れます。

では対話とはなんでしょう?

辞書によると、
「向い合って話し合うこと。また、その話」

今は対面でなくても対話が成り立ちますよね。
通信技術の発達によって、時間と距離を超えて対話できるようになりました。

ビジネス上においては、メール、チャット、電話全てを含むコミュニケーションを対話と定義します。
対話について最も大事なものについて話そうと思うんですが、突然なんですが、皆さんが「デキる人」「素敵な人」と思えるのってどんな人ですか?思い浮かべてみてください。

様々あると思うんですが、人が「◯◯な人」と評価されるのは、対話が発生した時なんですよね。
なんらかのかたちでコミュニケーションが発生して、それを見て、聞いて、感じているんですよね。
情報発信した時に、人は初めて評価されます。なんとなくわかりますよね。
メールの書き方・電話のかけかた・ミーティングでの話し方・飲み会での会話、全部が情報発信です。

ある時、社内でいまひとつ評価が上がらない人がいて僕の部下になった時がありました。
メールの文面も言葉遣いも決して悪くはないのになぜなのかなと思っていたら、個人面談の時、体が斜めになって肘を突くクセがあったんですよね。乱暴な言い方をすると、人の話を聞く姿勢ができていなかった。

というふうに相手が感じてしまう状態になっていたんですよね。なので、姿勢をちょっと変えるといいですと言っただけで、評価が上がるようになったんですよね。
それだけ、対話は評価に直結するということの一例としてお話しさせていただきました。

対話力を上げることは、人生を豊かにすることに繋がります。
コミュニケーションを取るときに損をしなければ、仲間を増やしていけることになりますし、自分ができないことを仲間がカバーしてくれるようになります。
これは全て対話から生まれることです。

ベンチャー企業でもまさにそうなんですが、一番最初にやらなきゃいけないのは仲間を増やすことですね。
社員を増やすことでも、資本金を増やすことでもない。

私もスタートアップ企業の顧問を何社かやらせてもらっていますが、皆そこから始めています。
コスいことなんか絶対にやっちゃいけない。仲間が逃げてしまいます。
ましてや、そこで敵を作ってしまうと、本来仲間に引き入れたい人が訪れた時に引き入れられなくなってしまいます。

それぐらい、対話力を上げることは、ビジネスをスタートさせる時、または加速させて行く時にとても重要なんです。
ではその時に何をしなければいけないでしょうか。

まずは棚卸しから

まずは棚卸しです。
とにかく自分が何者であるかを言語化することです。
皆さん、なんとなくわかっているとは思うんです。ただ、なんとなくわかっていることときちんと理解していることの差がどういうものか、一発でわかるような体験をしていただきます。

手元にある紙に、漢字で「バラ」と書いてみてください。
漢字は見れば読めるけど、さらさら書ける人は本当に少ないんですよね。

これが、知っていることと理解していることの差なんですよね。
特に自分のことに関しては、知っていると思っていてもちゃんと言葉で説明できない場合がものすごく多いです。
これをちゃんと言葉で説明できるようにしておくために、棚卸しが大事なんです。

いわゆる、名刺情報だけではない自分、自分の持つ価値の定義をちゃんとしなきゃいけないんです。
バックグラウンドや特技を言語化しておけば、何か聞かれた時にきちんと返すことのできる安心感が生まれます。
そういう安心感があるとコミュニケーションしやすいですよね。

言語化して、そのうえで単純化しておくことをオススメします。
シンプルにしておくことです。シンプルにすることがすごく大事です。

魅力的な人間になるために

魅力的な人の周りには人が集まります。人が集まると情報が集まります。
それも、色々な観点からの情報が集まってきます。

同質の人は集まりやすいが、なるべく異質な人を集めたほうが多角的な視点をもつことができます。
八方美人になれと言っているわけではなく、人として魅力的になるような努力をしましょう。そうすると人が集まってきて、最終的に得をします。
人や情報が集まってくると、自分の考え方に厚みが増していくんですよね。そこでいかに吸収していくかが重要です。

そうなるために、僕がよく言っていることがあります。

「伝言ゲームを制するものは世界を制する」

最初に自分が発した言葉を聞いた人が別の人に伝える時でも、同じ熱量を持ち、力を失わずに伝言される状態になるとベストです。
そうなると、自分が意図したようにちゃんと繋がっていくことができます。
そのようにつながるためには、シンプルであることが重要になっていきます。

難しいことをそのまま伝えるのは、伝える側にとっては簡単ですが、受け取る側はそうではありません。
自分が知っていることを小学生にもわかるようにするのは何倍も時間がかかります。

シンプルにするのは楽な作業じゃない。
でもそのメソッドを身につけてしまえば、いくらでも応用がききますし、仲間をどんどん増やすことができます。
なので、自分が言葉を発する時は、なるべくシンプルに、簡単な、本質的には変わらないキーワードをピックアップする癖をつけておくといいでしょう。

時間と空間を共有できる状態は実は非常に貴重なんです。
なので、その場で自己紹介を考えるのではなく、いくつものパターンの自己紹介を用意しておくことです。

お会いした相手によって、自分の持っている価値をどのように伝えればいいか、「この人にはどのようなプレゼントがいいかな」ということを選べるようにしておくことです。
時間と空間を共有するのであれば、相手に何かしらのプレゼントを渡せるようにしておくことです。
なぜなら時間と空間の共有はコストがかかるからです。

ビジネスって、全部このためにやっているんですよね。
全てのビジネスは時間と空間に対するチャレンジだと僕は思っています。

とにかくコストがかかるものなので、対話は濃密にしましょう。
バカ話するのもいいんです。それも濃密であるならいいんです。
せっかく同席するのであれば、この時間は無駄ではなかったと思えるようにしたいですよね。

まとめ

ビジネスにおけるコミュニケーションにおいて、なんらかの課題を感じている方は多いのではないでしょうか。
澤氏の言うとおり、時間と空間を共有する対話を貴重な機会と考えるだけで、日々のコミュニケーションに変化が起きるかもしれません。

自分自身の価値や強みを言語化(棚卸し)したうえで、対話する際は「相手にどのような価値を提供できるか」「相手に最適な情報はなにか」を考えてみましょう。

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