機械学習がデジタルマーケティングを変えていく

商用利用で特に注目されているのが、画像認識を得意とするディープラーニングです。

2012年、Googleが猫の画像の自動識別化に成功したと発表しました。従来型AIでは人間が猫の特徴を細かくインプットする必要がありましたが、ディープラーニングでは最初に猫の概念を教えるだけで、ほかの動物などが混じった大量の画像から、猫だけを判別することが出来るのです。

これをECサイトなどの商品検索に応用すれば、ユーザーの好みにマッチしやすいよう商品画像を自動分類して掲示できます。特に洋服の好みなど、言語で表すには難しいものに効果的といえます。登録商品を自由にコーディネートして購入できる、VASILYのファッションアプリ「iQQN」などがその活用例です。

また、人工知能的アプローチは、広告配信やWebマーケティングの世界でも拡大しています。

広告においては、複数のアドネットワークに横断的に広告出稿できるツール・DSPや、リターゲティング広告が急速に普及しました。機械学習がよりユーザーに密着した宣伝を可能とし、効率良く収益やCVRアップを見込む手立てとされています。

NTTドコモ提供の「ecコンシェル」は、サイト来訪者の行動に応じた販促施策を展開する購買支援システムです。導入したサイトではCVRが26%、平均顧客単価が50%向上するといった効果測定結果が出ています。

人工知能によって施策を自動最適化するシステムは今後も増加していくと考えられ、Webマーケティングにおいても、AI技術の発展は見逃せないコンテンツです。

AI技術発展への警告

一方、飛躍的に進化した人工知能は、軍事にも利用されるようになりました。アメリカ海軍は対艦ミサイルを破壊する完全自動の防空システムを導入し、イスラエル軍は対空迎撃ミサイルシステムを所有しています。こうした各国のAI軍事利用について、警鐘を鳴らす著名な科学者やハイテク企業家たちは少なくありません。急速な開発競争や軍事利用拡大が起こり、世界情勢が不安定化すると懸念しているのです。

多くの科学技術の発達がそうであったように、人工知能もまた、利便性と並行した危険性を孕んでいるのかもしれません。

まとめ

一般企業や家庭においては、AIが大量導入されることで人間の仕事がなくなったり、あるいは、複雑な感情を持てない機械には、柔軟に対応すべき場面で単調なミスを頻発するのではないかという危惧も持たれています。

いずれも現段階では推測の域を出ませんが、人工知能をどのように導入していくかは、人間のみに出来る判断です。今後もメリットとデメリットを推し測りながら、AIの動向を追いましょう。