本当の「バイラルメディア」とは?

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ヨッピー氏:
僕、バイラルメディア好きじゃないんですよね。
功罪の「罪」の部分があまりにも大きすぎると思っていて。
彼らがやっていることに、さっき言ったような信用がないんですよ。

デマを平気で記事にしちゃうし、当事者に話を聞いたり裏を取ったりもしない。
それだと書いてあることに対して「これは本当なのかな?」って考えながら読まなきゃいけないじゃないですか。

それに、やってる事が焼き畑農業なんですよね。
一次ソースを流用してお互いにパクりあって、誰もオリジナルのコンテンツを作らず、ただの消耗戦にしかならない。
真面目にやってる人達がバカを見るような仕組みが良いわけないんですよ。

古田氏:
BuzzFeedは世界で最初のバイラルメディアだと言われていますが(笑)、ヨッピーさんの言っていることはすごくわかります。

「バイラル」という言葉が日本にやってきた時、間違った定義付けがされてしまったのかなと思います。
とにかくソーシャル上でシェアされる簡単なコンテンツを作ればいいんだという。
そこからパクリ記事を量産するメディアが生まれてしまった。

BuzzFeedは、しっかりライターを雇って自分たちでコンテンツを作っていたんですよね。
そのなかでBuzzFeedが見つけた法則があります。

BuzzFeedはTwitterやインスタグラムに掲載されている一般人の写真を使った方がライブ感があって読まれることもあると気付きました。
それを日本では、「あ、SNSの画像を使えばタダで画像を使える」と単純に表層的なパクリをするメディアが出てきた。

そうして、日本ではバイラルメディアという言葉が地に落ちてしまった。

初めてBuzzFeed編集長のベン・スミスと話した時、*「日本では、バイラルメディアって評判最悪らしいね」と言われました。
僕は、
「でも、バイラルって本当はいいことだよね」*と言いました。Web上でまるでウィルスのように情報が広がっていく。
これって考えてみたら、Webの本質を突いている素晴らしいことなんだと。これが地に落ちているなんて腹立たしい。

なので、僕らは本当の意味でのバイラルメディアを確立したいと思っています。

ヨッピー氏:
日本でなんで「バイラルメディア」っていう言葉に悪い印象を持つようになったかって言うと、僕が思うには、日本にはデイリーポータルZみたいなソーシャルからアクセスを集めるメディアが既にあったんですよね。

僕が所属しているオモコロもそうですけど、SEOなんて考えたこと全然ないですからね。SEOを一切無視するっていう斬新なやり方でやってきたので。
そういうのを考えずに、僕らがおもしろいと思うネタをWebに載せていたら、2ちゃんねるで話題になったり、SNSが出てきてからはSNSで拡散されるようになった、っていう。

こういう仕組みのWebメディアって、いわゆるバイラルメディアじゃないですか。
それを10年も前、SNSが無い時代からやってたんですね。掲示板の書き込みでガンガン拡散していく。
こういう流れが起こったのは、ひょっとするとアメリカよりも日本の方が早かったんじゃないかなって。

日本にはもともと、本来の意味でのバイラルメディア的なものがあったから、「バイラルメディア」という新しい言葉が入ってきた時「簡単なまとめ記事を載せるメディア」だって誤解されたんじゃないのかなと。

古田氏:
僕も日本の方が、実はバイラルメディアに関しては早かったんじゃないかなと思います。

僕の記憶に残る一番古いバイラルメディアは、大学生の時に読んでいた「侍魂」ですね。

もう20年近く前、当時、まだソーシャルメディアのようなネットワークがなかったから、皆メールで「この記事は面白いよ」と送り合っていたんですよね。
あれが本当の意味でのバイラルメディアだと思っています。

良い意味でのバイラルを取り戻していきたいですね。