自らの行動や発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理のことを表すのが「一貫性の法則」。
小さな要求を通してから大きな要求を通す「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」も一貫性の法則を派生させたものです。

今回は、セールスマンが知っておくべき一貫性の法則について解説します。一貫性の法則を応用することで、まだニーズに気付いていない顧客に商品・サービスの必要性を感じてもらうことができます。

一貫性の法則とは:自らの行動や発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理

普段から続けている習慣や、人に宣言したことはそのまま続けたいと思いませんか。その心理の背景にあるのが、一貫性の法則(一貫性の原理)と呼ばれます。
人は無意識のうちに自らの行動や発言、態度を貫き通したいという心理に基づいて行動しています。

一貫性の法則が生まれる2つの理由

なぜ、人は「一貫性の法則」に沿って行動してしまうのでしょうか。その原因は2つあると言われています。

選択の機会を減らすことができる

1つ目は選択の機会を減らすためです。現代社会では非常に多くの選択を迫られますが、その多くが大した問題ではありません。
例えば「今日着る服」から「明日の晩ごはん」などキリがありません。
そこで「こういう時はこうする」と無意識のうちに自分の行動をパターン化して一貫性を持たせます。
そうすると煩雑な選択を迫られる機会が自然と減ります。

例:
「自分は青い服が好きだから、青い服を買う」
「毎週火曜日の昼ごはんはカレーにする」

些細な事柄ですが、これらの場合も行動をパターン化するために一貫性の法則が働いています。

周囲の人間に「理性的な人だ」と思われたい

周囲から「一貫した行動をする理性的な人だ」と思われたいから、というのも大きな要因でしょう。
発言が二転三転して一貫性がない人は基本的に信頼できません。

理性的な人間は信頼されやすく、信頼度が高いほど様々な面で有利に物事を進めることができます。
それらの要因により、無意識のうちに芽生える虚栄心が一貫性の法則の働きに大きく影響しています。

一貫性の法則が関わる具体的な例

ダイエット食品を販売する場面を想定してください。相手が元からダイエット食品に興味がない限り、いきなりダイエット食品を売ることは難しいでしょう。ユーザーに商品のニーズを認識させることは困難です。そこで次のやりとりを考えてみましょう。

「痩せたいと思っていますか?」→はい
「痩せるための方法があれば実践したいですか?」→はい、楽な方法なら
「楽に痩せる方法があればやりますか?」→...はい
「実は楽に痩せられるダイエット食品を販売しているのですが、興味ありませんか?」

以上のように相手の発言を肯定しやすい質問から誘導していきます。人は自分の発言に矛盾なく行動したいため、「痩せるために商品を購入する」という判断を促せます。そうした人間の心理を応用することで、消費者のニーズと商品を一致させて魅力的に訴求できるのです。

一貫性の法則をビジネスに活かすには?

一貫性の法則を応用するためには、適切なステップを踏む必要があります。
よほどニーズが高くない限りすぐに商品を購入してもらえる確率はほとんどありません。
まずは、購入に繋がりつつハードルの低い行動を促しましょう。
例えば以下のような手法が挙げられます。

・肯定しやすい質問をする
・アンケートに答えてもらう
・試供品を使ってもらう

アンケートや試供品配布は、ユーザー側の負担が低いため、利用してもらえる確率は高くなります。
ユーザーは一度行動し、立場を決めると、行動の一貫性を保ちたくなります。
すると、自然と商品購入に繋がる確率が高まります。

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