ferret編集部:2014年12月26日に公開された記事を再編集しています。

クラウドソーシングや在宅ワークなど、私たちをとりまく労働環境は日々変化しています。Web担当者であれば、外部に依頼したり、内製で成果を目指したりなど、労働と対価の問題はとても身近なのではないでしょうか。

本記事では、労働問題に関して話題になった事案を集めました。それぞれ、短いコメントとソーシャルからの反響を引用させていただき、考えるきっかけとなればという思いで、まとめさせていただきました。

目次

▼立場が変われば主張も変わります
1.派遣労働問題
2.Amazonのクラウドソーシングで波紋
3.国内クラウドソーシングでのトラブル
4.ワークライフバランス
5.下請けたたき
6.退職強要の告発
7.求人の仕方
8.関係者全員の嘆き
9.長時間労働を常態化
▼労働に関する決まりごと
▼まとめ

立場が変われば主張も変わります

労働問題は、双方それぞれに言い分があり、クラアントも然りです。立場が変われば背負うものも変わる、そんなデリケートな問題です。

ですから、取り上げた記事やコメントに対して片方だけの言い分を取り上げるのがフェアなのか、事実なのかというご意見はあるかもしれません。ただそこは、多くのメディアで話題になったという点でピックアップし、問題提起として取り上げましたことご了承ください。

本記事で取り上げ方やコメントに不適切なところがあれば、ぜひタイムラインなどでご指摘いただけると嬉しいです。なお、話題になった当時から改善した事案もあるはずですのでご注意下さい(あくまで当時のこととしてご解釈頂ければと思います)。

1.派遣労働問題

派遣企業は紹介をするだけ、実際には現場でその企業との契約をする、という実態のリーク。契約時にそういう原則や仕組みについて、同意を取ることが大切ですが、そういう面倒なことをちゃんと行うと、登録者が集まらないのでは?とも思われそれも問題なのだろうと思います。

74歳だがフルキャストの日雇いバイト紹介先で1分も働かしてもらえず帰らされ、給与も交通費も支払ってもらえなかった件
フルキャスト

ソーシャルでの反響:はてなブックマーク - 74歳だがフルキャストの日雇いバイト紹介先で1分も働かしてもらえず帰らされ、給与も交通費も支払ってもらえなかった件

・日雇いバイトがブラックな環境で働かされていることをもっと認識すべきだと思う。
・現実にこういうことが起きている、かつ常態的であるというだけで法律がオカシイというトコは明白よね。
・こんなことやってても、大して儲かってるわけでもないんですね

2.Amazonのクラウドソーシングで波紋

Amazonも海外ではクラウドソーシング(ネットを介在した仕事受発注のサービス)を展開しています。そこで働く側から低賃金の実態が、オープンレターという形で公開され話題になりました。

2005年に仕事を始めて以降に担当した作業の数は83万件以上におよび、1件あたり平均して20セント(約20円)の収入を得てきました。

同意の上で受けているはずですが、どうも報酬が支払われないケースがあったり、アカウントが理由なく無効になったりなど、その待遇や姿勢に問題があるとしています。

Amazonサービスの作業者が「私たちはアルゴリズムじゃない」とベゾス氏へのオープンレターを公開 - GIGAZINE

GIGAZINE

ソーシャルでの反響:Twitter Search, Monitoring, & Analytics | Topsy.com

・Amazonのブラックぶりは前から知られていたけどこれでもか。
・一笑に付されるのがオチだろうねぇ。
・バングラデシュのネットカフェ店番と価格競争しようっていうほうが正気じゃない

Amazonはかつて*Amazon倉庫での過酷な労働状況を報じられ話題になった*こともありました。

3.国内クラウドソーシングでのトラブル

クラウドソーシングで、キャンセルになった提出事案が無断で使用されていたとするトラブルです。著作権者が、発注者の利用を告発した記事から話題になりました。

クラウドソーシングは、求めるデザインや成果物が手軽に集められる一方で、その利用においては、十分にモラルをもって対応しなくてはなりません。「~だろう」や「~なはず」といった主観ではなく、しっかりと権利関係や想定事案を協議し誠意をもって対応されるべきです。

とくにアイデアなど無形なものは利用の線引もデリケートなため、進め方や扱いには十分に注意したいものです。

【対応完了】ランサーズにおけるキャンセル時の提案の不正利用に関しまして | Lancersマガジン

ランサーズ

ソーシャルでの反響:はてなブックマーク - ランサーズにおけるキャンセル時の提案の不正利用に関しまして | Lancersマガジン

・詐取したペナルティが強制退会だけだったら犯罪者大喜びだろ。
・長文にしてなんだか誠実に対応したつもりになってる文章。
・具体的に何をするのか、さっぱりわからん・・・。 

4.ワークライフバランス

正社員に登用された女性社員の、妊娠に対する対応が話題になりました。正社員にしたのだからバリバリ働くべきだろう、という管理側の上から目線、あまりに短期的な物言いに批判が集まりました。

管理する側は働く側の権利を認識し、「~してくれるだろう」ではなく逆にサポートする器が求められています。それは長い目で見れば自分たちのためでもあります。企業である前に人としての対応が求められます。

正社員登用から半年で妊娠… 「無責任」との批判に「何年目ならいいんだ?」の反論 | ニコニコニュース

ニコニコニュース

ソーシャルでの反響:はてなブックマーク - 正社員登用から半年で妊娠… 「無責任」との批判に「何年目ならいいんだ?」の反論 | ニコニコニュース

・「OK!育休いっといで!戻ってきたら一緒に働こうな!」という考えになる社会がいいです。
・誰にだって妊娠のみならず不慮の怪我・病気等で長期休んだりその後の働き方が変わる可能性っていうのはある
・無責任とかいう人がじゃあ2年後妊娠しにくくなって逆恨みされたらどうするんだろう。

5.下請けたたき

ごく一部の例ではありますが、下請け企業に低コストを強いるケースがあるようです。

以下の記事では、一部の番組プロデューサーが予算管理のずさんさを下請けに強いているのは、と報じています。

・最初に提示していた予算を後から下げてくることはよくあります。
・予算をうまく管理できずに赤字になったのに、外部スタッフのギャラを下げて穴埋めしている。
・外部スタッフを疲弊させれば、番組の質は下がるのは誰の目にも明らか

このように報じており、審議のほどはわかりませんが、大手と下請けという構造は、おそらくはどこの業界でも根強いのだろうと思わせます。

テレ東「低予算でも好調」のまやかし 下請けを異常な低賃金で酷使、社員は高給取り | ビジネスジャーナル

TV東京

6.退職強要の告発

やむを得ない理由でルールや、社会通念上のモラルに則ったリストラは一定の理解を得られるでしょう。しかし、それが道義的かどうかの判断は基本的にリストラされる側であり、生活や人生のリスクを取るほうであるべきです。

本記事では企業とのやりとりを生々しく報じています。雇用ということがその人の人生に大きく関わることを、雇う側はつよく認識しなくてはいけません。

私はこうして退職を強要された/NECリストラ 面談一問一答メモ

NEC

ソーシャルでの反響:はてなブックマーク - 私はこうして退職を強要された/NECリストラ 面談一問一答メモ

・この面談を繰り返す上司側のメンタルがどうなってるのかを知りたい
・労組意味ねえ。
・早期に整理解雇に進んだほうが双方ハッピーじゃないかと思える案件。

7.求人の仕方

雇用する側とされる側とでは、得られるベネフィットが異なることは自然です。この事案では、世界的にも有名なブログメディアがその雇用条件をストレートに語ったことで話題となりました。

また、「赤字を垂れ流しているにもかかわらず「もっと金を寄越せ」というようなことを言い始める編集部員が出るに至り」などと赤裸々に内部事情もオープンにしたことからも、議論をよびました。

価値を会社に提供する側と、ユーザーに提供する側とで、そのやりとりは決してきれいごとで収まるものでなく、丁寧にお互いの妥協点を模索するほかないと気付かされます。

【求人募集】GIGAZINEのために働いてくれる記者・編集を募集します→終了しました - GIGAZINE

GIGAZINE

ソーシャルでの反響:はてなブックマーク - 【求人募集】GIGAZINEのために働いてくれる記者・編集を募集します - GIGAZINE

・クリエイティブな仕事なんやから当り前。
・これはgigazineの共同経営者募集の記事?
・消費者的にはいいものが手に入れば問題ないとも言える

8.関係者全員の嘆き

現場の方々も大変だったとは思われますが、いわゆるデスマーチとよばれる事案です。ただ、それ以上に血税が流れてしまったことに、多くの方が落胆したケースでした。

過酷な労働環境は、双方納得の上でかつ待遇や結果も伴えば仕方のないことかもしれません。しかし、最終的に誰も喜べないという事案は本当に残念なものです。

これはそもそもの設計が問題とも指摘がありますが、労働条件や工数の見積の難しさとも解釈でき、関係者の多くが考えさせられるものでした。

Fumi's Travelblog: "費やした55億円、水の泡に 特許庁がシステム開発中断"って一体何だったのか、報告書を読んでみた

特許庁

ソーシャルでの反響:はてなブックマーク - Fumi's Travelblog: "費やした55億円、水の泡に 特許庁がシステム開発中断"って一体何だったのか、報告書を読んでみた

・最大1300人7年で55億って安すぎねぇか? 
・今後のSI事業は相当キツイだろうなぁ
・発注先選定方法に不備がある。設計じゃなくて。 

9.長時間労働を常態化

熱量、根性、気合、など雇用者側の論理で、社員を縛るケースも少なくありません。一部のメディアで、有名企業の雇用実態が明かされる事案がありました。

終わりが無く、社員を疲弊するだけの仕組みであれば、それはいつか自分に降り掛かってくるはずです。お互いが納得の上で働ける環境よりも、過度の価値提供はどこかで無理が来てしまうでしょう。

「柳井正は人として終わってる」 鬱→休職→退職の新卒社員が語るユニクロの人材使い捨てぶり:MyNewsJapan

ユニクロ

ソーシャルでの反響:はてなブックマーク - 「柳井正は人として終わってる」 鬱→休職→退職の新卒社員が語るユニクロの人材使い捨てぶり:MyNewsJapan

・本部社員ならマジで10人いたら1人以上は鬱病休職経験者。
・えてして"社長がスーパーマン"な企業は社員が疲弊しますね…。
・これがドラマなら、社員全員が辞表を叩きつけてキムタクの元に行くのだが

追記 ユニクロのサービス残業を告発した書籍が話題です。
参考リンク時事ドットコム:ユニクロの敗訴確定=「過酷労働」記事めぐり-最高裁

10.労働に関する決まりごと

人を雇用するということは、その人の人生に積極的に介入するということです。お互いがルールを守り、気持よく成果をあげたいはずです。

そのルールを、双方が正しく理解することは、雇用の第一歩といえます。ただ、それを学ぶ機会がなかなかないのが現状で、このまとめはとても参考になります。

ソーシャルでの反響にも参考になるコメントが多数あり、非常に勉強になります。

人を使う立場(=使用者)なら絶対知っておくべき「労働法」の基本 - Togetterまとめ

まとめ

ソーシャルでの反響:はてなブックマーク - Togetter - 「人を使う立場(=使用者)なら絶対知っておくべき「労働法」の基本」

・基本は労働法を駆使した労働者の自力救済。
・「新入社員なら絶対しっておくべき・・・」にタイトルを変えても成り立つ。 
・有給休暇の取得には理由は必要ない(使用者には時季変更権のみしかない)とかも基本。 

まとめ

雇用する側とされる側、発注者と受注者、そしてクライアントやユーザー、それぞれの利益が異なる以上、そのバランスはつねに協議するほかありません。

しかし、その話し合いのための時間もなくなってしまう、そのようなモラルさえも欠けてしまう、そんなとき不幸な事案が起きてしまうと思います。

実際には、そんな余裕があること自体がキレイごとなのかもしれません。しかし、せめて気持ちのうえでは目指したいものです。