餅は餅屋。テレビはテレビ局に、ネットはIT企業に

岩本氏:自社でコンテンツ作ろうと思われたことはなかったんでしょうか?

藤田氏:自社でもコンテンツ作る方法もあるのかなって思ったこともあるんですけど、それは間違いでした。

大前提として、テレビ局にコンテンツが集まっているんですよね。主要な映像コンテンツはテレビ局に集まっている。映像制作のクオリティの高さもある。

民放5局で戦ってきた結果、異常なクオリティに仕上がってしまった。

岩本氏:テレビ局と組むことを踏まえた観点から、競合となり得るところは出てくるでしょうか?

藤田氏:本当は、よちよち歩きの今の状態で競合は出てきてほしくないですけどね(笑)

来期200億投資すると赤字幅が200億で、本当はもっと投資します。テレビ朝日が全面的に協力してくれてるのは奇跡的なことで。

このように、テレビ局の全面協力を得て、なおかつ大幅な投資ができるというところはあまりないんじゃないでしょうか。

岩本氏:既存のテレビ局が自分たちでネットに進出することは?

藤田氏:テレビに進出する時にテレビ局が必要なように、ネットに進出するときはネット企業が必須だと思うんですよ。

あのレベルのサービスを作れる企業は限られます。ここまで考えると、参入はそう簡単ではないかなと。

黒字化の時期や金額は「絶対言わない」

岩本氏:いつぐらいに黒字化される予定でしょう・・・?

藤田氏:それだけは絶対言わないです(笑)。

経営者の方、この罠にはまっちゃいけないですよ(笑)言った瞬間、公約になります。

無理に黒字化させようとすると事業がおかしくなりますから。

藤田氏はどのインタビューに対しても、AbemaTVの収益化については言及しない姿勢を貫いています。
広告枠(CM)の販売は行っていますが、現段階では本腰を入れることはなさそうです。

とはいえ、動画広告市場は急速に成長しており、2017年の国内動画市場規模は640億円にのぼると見られており、4年前の5倍近い数値です。

参考:
動画広告市場の盛り上がり | video-ad.net :http://www.video-ad.net/market.html

テレビ離れし始めた若年層の獲得に成功しているAbemaTVは、若年層向けの広告枠として高い価値を提供できるでしょう。
Web上の一般的な動画広告とは根本的に構造が異なるAbemaTVの広告が今後どれだけ伸びていくのか注目です。

岩本氏:では、直近どういうことをやっていくのでしょう?次のステップを教えてください。

藤田氏:直近はFireTVやApple TVへの対応ですね。

それらのサービスは想像以上に素晴らしいので、一緒に普及させるつもりでマーケティングを強化していきます。

来年からはバックグラウンド再生できるようになるし、縦画面でも開けるようになります。