Googleが運営する世界最大の動画共有サービスYouTube
誰でも無料で簡単にアップロードすることができるので、様々なクリエイターがYouTubeにオリジナル作品をアップロードしています。もちろん、個人だけではなく、企業もオリジナルの動画を作成し自社製品のプロモーションに活用することもできます。

しかし動画を作成するには十分な機材やソフトウェアを用意する必要があります。それが大きなネックです。ただ、そういう時はAppleのプレゼンテーションソフトであるKeynoteを使ってみましょう。Keynoteを使うことで、誰でも簡単に美しい動画を作成することができます

今回はKeynoteとYouTubeを使って簡単にマーケティング動画を作り、ホームページブログで公開する方法をステップごとに紹介していきます。

Keynoteとは

keynote.jpg

Keynoteは、Apple社がリリースしているプレゼンテーションソフトです。
MacやiPad、iPhoneだけではなく、Windowsパソコン上でもiCloudのためのiWorkを使うことで、どのデバイスを使っているかに関わらずリアルタイムで共同編集を行うことができます。

同じプレゼンテーションソフトとしてMicrosoft社がリリースしているPowerPointがあります。Keynoteは普段PowerPointを使っているユーザーであれば、すぐに慣れることができるでしょう。そこで押えておきたいのがKeynoteの特徴で、Keynoteは映画のように美しいトランジションアニメーションが最大の強みです。

マジックムーブをはじめとして、Keynoteに用意されているトランジションやアニメーションは30種類以上用意されています。これらの「動き」をスライドやオブジェクトに設定して録画し、場合によってBGMや吹替を入れることで、まるでプロ用の動画編集ツールを使っているかのように動画を作成することができるのです。

それでは、実際にKeynoteを使った動画の作成方法を、ステップに分けて解説していきます。

Keynoteで映画のように美しいトランジションや*アニメーションを制作しよう!

1. スライドを作成する

まずはKeynoteを立ち上げて、スライドを作成してみましょう。
Keynoteは直感的に使えるツールで、詳しい説明なしで始められる点が魅力です。KeynoteはPowerPointとも互換性があり、PowerPointを使い慣れている人であればPowerPointでスライドを作ってからKeynoteにインポートすることもできます。

001.jpg

Keynoteが立ち上がったら、新規作成の画面に移動。すると、選択可能なテーマが一覧表示されます。

スライドの比率を「標準(4:3)」または「ワイドスクリーン(16:9)」から撰択し、好みのテーマを選んで作成を開始します。ちなみにYouTubeでは、アスペクト比(縦横比)が16:9のプレイヤーを使用しているので、左右に黒い帯を表示したくない場合には「ワイドスクリーン」を選びます。のちほど「書類タブ」>「スライドのサイズ」で再設定することも可能です。

テーマは好みのもので大丈夫ですが、オリジナリティを出したいのであれば自作してもよいでしょう。

A. テキストを編集する

スライドのテンプレート上のテキストをダブルクリックすることで、テキストを編集することができます。ドラッグして位置を調整したり、右側の編集パネルで色やサイズ、装飾などを設定しながらスライドを作っていきます。あまり小さいとスマートフォンなどで動画を見た時に文字が読みにくいので、最低でも60ptにはしておくとよいでしょう。

002.jpg

配色が苦手だという方は、Keynoteに標準で用意されているパレットを使ってみましょう。白背景なら上から2段目、黒背景なら1段目の色を中心に使っていくと良いと思います。配色はたくさんの色を使い過ぎるよりは、色を3色程度に留めておくとすっきりとした仕上がりになります。

003.png

配色については、下記の記事も参考になります。

ノンデザイナーがクオリティの高いWebデザインを作成する時に気をつけたい4つのポイント

ノンデザイナーがクオリティの高いWebデザインを作成する時に気をつけたい4つのポイント

いくら技術的な知識が豊富でも、「なにかダサい……」「なにか物足りない……」と感じることはありませんか? 今回は、デザインの知識が全くない「ノンデザイナー」の方でも、最低限押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。

B. 画像を挿入する

画像を挿入するのも非常に簡単です。
挿入したいスライドに画像をドラッグ&ドロップするか、画像をコピー&ペーストすればOKです。「挿入」>「選択」からファイルを直接選んで追加することもでき、画像のサイズや位置はドラッグで調整することができるほか、右側の編集パネルでX座標・Y座標の修正や回転度数を設定することも可能です。

005.png

また、Keynoteには「インスタントアルファ」と呼ばれる機能があります。この機能を使えば、画像の余分な背景を自動的に切り抜いて透過画像風にしてくれます。こちらは画像をクリックで選択し、右側の編集パネルから「インスタントアルファ」ボタンをクリックします。

006.jpg

背景をドラッグしながら切り抜き範囲を決定します。一度で調整しようとせず、何回かにわけて行うと上手くいきます。

007.jpg

このような形で画像を切り抜くのに成功しました。

C. アニメーションを加える

オブジェクトにアニメーションを加えて、動きを見せましょう。
対象のオブジェクトをクリックして選択し、右上のアニメーションボタンをクリック。パネルに「イン」「アクション」「アウト」のタブが表示されます。

008.jpg

「イン」ではオブジェクトの登場方法を設定します。最初は何も表示されておらず、順番になったらアニメーションとともに登場する設定をします。
一方、「アウト」はオブジェクトの消え方を設定します。最初に表示されていて、順番になったらアニメーションとともに消えていく設定をします。加えて「アクション」ではオブジェクトの表示中にアニメーションを加えて動きを見せる設定を行います。

それぞれのタブで「エフェクトを追加」ボタンをクリックし、効果を選ぶことでエフェクトが追加されていきます。プレビューでそれぞれのエフェクトの動きを確認することも可能です。

D. トランジションを加える

オブジェクトと同じようにスライドの切り替え時にもアニメーションを設定することができます。スライドの切り替えのときのアニメーションはKeynoteでは「トランジション」と呼ばれています。

009.jpg

トランジションは、スライドをクリックして選択し、アニメーションボタンをクリックすることで設定できます。アニメーション同様、エフェクトを追加することができます。トランジションの中にある「マジックムーブ」を使えば、2枚のスライドで同じオブジェクトがある場合にその位置に動かしたかのように見せることもできます。

2. ノートを設定しておく

スライドができたら、あとは録画するだけ……しかし何度も撮り直しができるとはいっても、やはり少ない回数で収録を成功させるには慣れが必要です。次に何を話そうとしていたか、内容が思い出せず、つまってしまうこともあります。

010.jpg

そこで、あらかじめ台本を設定しておきましょう。台本と言っても、Wordなどで打ち込んで印刷する必要はありません。
Keynoteには「発表者ノート」と呼ばれる台本をあらかじめ用意しておく機能があり、収録中もノートを確認しておくことができます。デフォルトでは表示されていないので、「表示」>「発表者ノート」をクリックし、発表者ノートを表示させます。

011.jpg

必要な場所にノートを書き込んだら、「再生」>「スライドショーをリハーサル」でノートを見ながらリハーサルを行ってみましょう。

013.jpg

デフォルトでは発表者ノートが表示されていませんが、閉じるボタンの左にどの機能を表示させるかを選択するボタンがあり、発表者ノートにチェックを入れることでノートを表示することができます。そのほか、時計の位置やノートの大きさなども自由に決めることができるので、自由にカスタマイズしてみてください。

3. 収録する

スライドの作成、アニメーションの設定、台本の作成とリハーサルが終わったら、いよいよ収録です。「再生」>「スライドショーを記録」をクリックすることで表示が記録モードに切り替わります。

014.jpg

先ほど見たリハーサルモードとほとんど同じ外見をしていますが、下に声量プログレスバーと録画などのボタンがあります。赤い丸の収録ボタンを押すと収録が開始されます。マイクを使えば音声も同時に録音することができます。一時停止や、収録途中までの部分を再生することもできます。

015.jpg

もしBGMを流したい場合には、スライドを選択して右上の「書類」ボタンを押し、「オーディオ」タブをクリック。「サウンドトラック」ボックスにオーディオファイルをドラッグ&ドロップすることで、BGMを追加できます。追加したBGMは、1回のみ再生させるか、連続再生させるかを設定することもできます。

4. ファイルを書き出す

収録ができたら、YouTubeにアップロードできるようにスライドショーを動画に書き出しましょう。「ファイル」>「書き出す」>「QuickTime……」と設定していただければ大丈夫です。

016.jpg

形式を「スライドショー記録」にしてQuickTime形式(.m4v形式)に変換します。この形式であれば、直接YouTubeにアップロードすることができます。

017.jpg

5. YouTubeにアップロード

作成したマーケティング動画をYouTubeにアップロードしてみましょう。

YouTubeに動画をアップロードするために、まず自分のGoogleアカウントでログインをしておきます。YouTubeのページ上部の「アップロード」ボタンをクリックし、パソコンからアップロードするファイルを選択します。

020.jpg

動画のアップロード中に、動画の基本情報と詳細設定の編集や、チャンネル登録者に通知するかどうかの指定もできます。

021.jpg

公開動画の場合は 「公開」ボタンをクリックしてアップロードを完了します。
動画のプライバシー設定を非公開または限定公開にした場合は、「完了」をクリックしてアップロードを終了するか、「共有」をクリックして動画を限定的に共有します。「公開」を選択しない限り、動画は他の人に対して表示されません。
また、後から「動画の管理」でいつでも動画を公開することもできます。アップロードが完了すると、YouTube から動画のアップロードと処理が終了したことをお知らせするメールが送られます。

6. ホームページやブログに動画を貼り付ける

browser.jpg

アップロードが完了したら、ホームページブログに動画を貼り付けてみましょう。パソコンで先ほどアップロードしたYouTube動画のページに移動し、「共有」ボタンをクリックし、「埋め込みコード」のタブを開きます。ボックスに表示されているHTMLタグをコピーし、ブログやホームページに貼り付けるだけで完了です。

022.jpg

また、特定の時点から動画が再生されるようにするには、埋め込みコードに「#t=」という文字列を追加し、その後に動画の再生を開始する位置を入力します。
例えば2分25秒の時点から動画を再生したい場合、埋め込みコードは次のようになります。

<iframe allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="http://www.youtube.com/embed/UkWd0azv3fQ#t=2m25s" width="420"></iframe>

さらに、埋め込んだ動画が自動再生されるようにするには、動画の埋め込みコード内の動画 ID(「v/」の後に続く文字列)のすぐ後ろに「?autoplay=1」という文字列を追加します。

<iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/D6Ac5JpCHmI?autoplay=1" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

自動再生による埋め込み動画の再生は、視聴回数としてカウントされないので、注意しましょう。