ドローン運用に残された課題とは

配送時間の短縮や人件費の削減だけでなく、医療分野でも注目されるドローンによる配達ですが、実際に配達に用いられるようになるには課題も多く残っています。

安全上の問題

自動車や飛行機など、人の手やシステムによって動くものには必ず衝突の危険があります。

ドローンはセンサーやGPS機能を利用して障害物を避けるようなシステムが組み込まれていますが、絶対にものにぶつからないという確証はありません。
商品を運ぶ以上、盗難を目的として第三者に攻撃される可能性もあります。

そのような衝突を避けるためにも、海外ではNASA(航空宇宙局)が航空管制システムの開発を発表しています。
また、アメリカのFAA(連邦航空局)では、55ポンド(約25kg)以下の小型ドローンの運用規則を定めています。

運行規則では、ドローンの飛行できる場所の条件や時間帯の制限を規定しています。ドローンによる配達システムを実現するためにはこのような規則をどのように乗り越えていくかが鍵となるでしょう。

国内では2016年12月現在航空法において無人航空機の飛行ルールが定められており、配達システムのような品物を落下させる方法を行う場合は国土交通大臣の承認を受ける必要があります。

国内外ともにドローンの飛行の安全性をどのように確保するだけでなく、行政への働きかけを含め、配達を行える環境の整備が課題となるでしょう。

参考:
FAA、小型商用ドローンの運用規則を発表
無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール|国土交通省
日本のドローン第一人者野波教授が語るドローンの未来(2023年7月30日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)

プライバシー保護の問題

ドローンの配達事業においては、安全面だけでなくプライバシーや肖像権を脅かす危険性も指摘されています。
空を自由に飛ぶことができるドローンは天井が吹き抜けになっている施設や高層マンションなどの上空でも撮影が可能です。そのため、盗撮や軍事情報の搾取など使用用途にとっては大きな犯罪につながること懸念されています。

このような懸念はドローンを運用している企業だけでなく、社会全体で克服すべき課題と言えるでしょう。

参考:
「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン|総務省

まとめ

ドローンによる宅配サービスは、配送時間の短縮に大きな効果をもたらすとされています。ですが、一方では鳥や建造物など様々な障害物に衝突した場合や第三者による攻撃で墜落してしまう危険性が指摘されています。

AmazonやGoogleなどがドローン事業に本格的に参入している中、国内外問わず、配達を行うための法整備は遅れているのが現状です。
ネットショップ市場の進展を考えていく上でも、今後のドローンビジネスの動きに注視していきましょう。