自社のデータベースで管理する見込み顧客・既存顧客の情報。
その顧客情報に対してメールを通じてコミュニケーションを図るが、一向に成果が出ない。
  

こんな声をよく耳にします。
これは**「配信リストに含まれるメールアドレスの数が多いほど、効果も比例して増加する」**という誤った理解から起こしてしまう行為の1つです。

もちろん、効果的なメールマーケティングが実践できている状態であれば、配信リストの数が増えれば効果も比例するでしょう。

しかし、全てのメール配信において同じ配信リストを何も考え無しに使っているとしたら、どんなにメール配信数を増やしたとしても、思い描いたような効果は得るまでには至りません。逆に「まだ配信リストの数が少ないからメールマーケティングを始めるのは時期尚早だ」と思っている方がいるとしたら、それもまた誤りの1つです。

そこで今回はこうした理由について解説していきます。
メール1本送るのにも戦略が、意図が必要です。メールならびにメールマガジンの原稿作成ならびに配信担当をされている方であれば、ぜひ参考にしてください。
  

玉石混合のリストへの一斉送信は送り手の都合

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顧客が求める情報を、最適なタイミングで届けるのがマーケティング(プロモーション)の基本で、これを最小の手数で実現できるのがメルマガの最大のメリットです。

そのため、自社のデータベースにある顧客情報(特に見込み顧客)に対して一斉に情報提供することで、ムダなリソース・コストをかけずにその効果を高めることができます。
  
でも待ってください。
果たして、このやり方が最適なのでしょうか? ベストなのでしょうか。
  

残念ながら答えは「NO」です。
  

もし、あなたの目的が「情報を広く知らしめること」であれば、このやり方でも良いかもしれません。ただそうではなく、サービスの販売やセミナーへの申込みなどメールを配信することによって具体的な数値目標を達成しようとしているのであれば、このやり方は最適ではありません。

なぜなら配信リストに含まる人々は、その商材・サービスに対する知識も、興味度合いも異なり、つまり温度感がバラバラなのです。温度感が異なる人々に対して、十把一絡げに情報を提供するのは、「手間を最小化したい」という送り手側の都合にほかなりません。
  

この記事を読まれているアナタもきっと、メールマーケティングを戦略的に実施していくことで、効果を最大化したいと思っているはずです。

そうであるならば尚のこと、魚がどこにいるかわかっていない状態で無暗に釣り糸を垂らすのではなく、網代(魚が集まっている場所)ごとに最適な仕掛けを用意して釣り糸を垂らすことが重要となります。狙ったターゲットを確実に釣り上げることを選択しましょう。

まずは、自社にとって最良の網代を見つけるために手持ちの顧客リストを分解し、グループ化して配信リストを作ることから始めましょう。
  

顧客リストのグループ化

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さて、あなたの会社のデータベース内にある顧客情報は、メールアドレス以外にどのような情報がありますでしょうか。基本的には名刺に記載されている情報が最低限網羅されているはずです。

そのほか、「年齢」・「性別」・「住所」などのパーソナルな情報のほかにも、「購入日」・「購入金額」などといった情報もあるかもしれません。

顧客リストのグループ化で、最も大事なのはターゲティングとセグメンテーションです。そもそも「誰に向けて」「何のために」メールを配信するのかを考えてみると、以下のようにグループ化することができます。

・ すでに関係性ができているお客様
  配信目的:アクションを後押しするため

・ より良い関係性を作りあげて行きたいお客様
  配信目的:関心を高め、アクションに近付けるため

・ まだ関係性ができていないお客様
  配信目的:認知してもらい、関係性を築くため

  
もちろん、もっと細かくグループ化していくことも可能ですが、メールマーケティングの基本は配信結果のPDCAです。グループ化した配信リストごとに配信結果の振返りを行いますので、現実的に改善が実行できる範囲内でのグループ数に収めるようにしましょう。

もし、あなたの設定している目的がリピート購入などの場合は、RFM分析などがグループ化の役に立つでしょう。

RFM分析とは……

・ Recency:直近の購入歴
・ Frequency:購入頻度
・ Monetary:購入金額

RFM分析とは、それぞれに重みを設定し、合計点で顧客の優先順位を付けるターゲティング手法です。

RFMを用いた顧客分析はRFM分析と呼ばれ、直近の購入歴と購入頻度・回数、購入金額をポイント化し、それぞれのポイントによって顧客のランク付けを行います。その顧客ランクに従って、適切なプロ―ションを行います。

RFM分析では「何を購入したのか」の要素が考慮されないため、効果的なプロモーションを行う際の基礎データとしては不足しているのではないか、という指摘があります。
従って近年ではRFMに、購入商品のカテゴリーや顧客のプロフィールを加味した分析が行われるケースが増えています。

  
参照:
RFM|ferretマーケティング用語辞典
  

また、手持ちの顧客リストにメールアドレス以外の情報が全くなく、どうしてもグループ化ができない場合もあると思います。その場合は、まずは複数回のメール配信をとおして、配信結果から徐々に理想グループを作成していきましょう。

この際は、配信したメールを開いた / 開かなかった(開封率)、文中のURLをクリックした / しなかった(クリック率)などをグループわけの指標とし、徐々にセグメント化していくのが良いでしょう。