「モバイルファーストインデックス(MFI:Mobile First Index)」という単語、聞いたことはあるでしょうか。
「モバイルファーストインデックス」とは、パソコン向けのホームページではなくモバイル(スマートフォン)向けのホームページ情報をインデックスすることです。
Googleが2016年11月に公式ブログにて対応を予告しており、SEO業界でも話題を集めました。

今回は、モバイルファーストインデックスの仕組みと導入が検討されている背景を解説します。
この機会にきちんと意味を押さえておきましょう。

参考:
[モバイル ファースト インデックスに向けて|Googleウェブマスター向け公式ブログ]
(https://webmaster-ja.googleblog.com/2016/11/mobile-first-indexing.html)

そもそも「インデックス」ってなに?

モバイルファーストインデックスについて知る前に、そもそも「インデックス」とはどんな仕組みなのか理解しておきましょう。

Googleはネット上にある無数のホームページの情報を把握するために、クローラーと呼ばれるプログラムを巡回させることでホームページの情報を集めています。これをクローリングといいます。
クローラーが集めた情報は簡略にまとめられてGoogleデータベースに登録されます。
この登録作業を*「インデックス」*と言います。
インデックスされた後、ランク付けされ検索結果に表示されます。

ただし、クローラーが読み込めないコンテンツなどはインデックスされない可能性があります。

インデックスされる内容に基づいて検索結果に見合ったページなのか判断されるので、SEOにおいても重要な要素と言えるでしょう。

参考:
[Web担当者は必見!Googleインデックスに与える影響要因5つ]
(https://ferret-plus.com/2184)

モバイルファーストインデックスとは

では、モバイルファーストインデックスとは、何を指しているのでしょうか。

「モバイルファーストインデックス」は、パソコン向けのページではなく、モバイル向けのページインデックスすることです。

パソコン向けとスマートフォンのようなモバイル向けでは画面のサイズや操作感が異なるため、複数のホームページを用意している企業もいるでしょう。

ホームページがパソコン向けとモバイル向けの2種類ある場合、今までGoogleはパソコン向けホームページの内容を評価してスマートフォンでの検索結果にも表示しています。

しかし、これではスマートフォンから検索を行った時に不都合が生じるかもしれません。
例えば「映画 レビュー」という言葉で検索を行い、とあるレンタルショップのページがヒットしたとします。

パソコン用のページにはレビューが載っていますが、スマートフォン用のページにはレビューを割愛していたとします。しかし、現在(MFI実装前)のGoogleはパソコン用のページインデックスして、スマートフォンでの検索結果にも表示しています。

ユーザーはスマートフォン向けページを閲覧し、レビューを探すでしょう。

ですが、スマートフォン向けページにはレビューが載っていません。

ユーザーにとっては*「映画 レビュー」で検索したのに、自分が見ているページ(スマートフォン向けホームページ)にはレビューが載っていない*という事態が発生してしまいます。

一方、モバイルファーストインデックスが実装されれば、検索結果はモバイル向けページの情報を元に表示されることとなります。
たとえパソコン向けページの方が、質が高く機能が充実していても、モバイル向けページが評価されます。

そのため、モバイル向けページで「画面が小さくて見にくいから」と重要なコンテンツを省略している場合は、省略されている分Googleからの評価が下がってしまう可能性が高くなるでしょう。

なお、Google開発者の回答から、パソコン向けページしかない場合でも検索結果には表示されることがわかります。
ただし、実際に評価が下がるかどうかは予測できません。

参考:
[Google、モバイルファーストインデックス(MFI)を発表!その内容とSEO対策|ウェブ部]
(https://webbu.jp/mobile-first-indexing-2794)
[Google、モバイルファーストインデックスの導入予定を正式発表。スマホ向けページを検索の評価対象に。SEOへの影響は?|海外SEO情報ブログ]
(https://www.suzukikenichi.com/blog/google-introduces-mobile-first-index/)

取り組まれてきた背景とGoogleの対応

モバイルファーストインデックスへ対応する理由についてGoogleは以下のように説明しています。

最近では、Google 検索を使用しているほとんどのユーザーは、モバイル端末から検索を行うようになりました。しかし依然として、Google のランキング システムは、主にデスクトップ版のコンテンツを用いてユーザーとの関連性を評価しています。この方法では、モバイル版のページコンテンツがデスクトップ版のページのそれよりも少ないケースにおいて、問題が発生します。なぜなら、モバイル検索ユーザーが実際に見ているページGoogle のアルゴリズムは評価していないからです。
引用:モバイル ファースト インデックスに向けて|Googleウェブマスター向け公式ブログ

冒頭にある通り、モバイルを重視する背景にはスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の利用数の増加があると言えるでしょう。

フランスのメディアエージェンシーであるゼニス(Zenith)社は、モバイルからインターネットを利用する割合は2012年の40%から2016年には68%に増加しており、2018年には79%に達すると予測しています。

実際に、Googleも2015年5月に「米国や日本をはじめとする10カ国において、コンピュータよりも多くのGoogle検索がモバイルデバイス上で行われています。」と発表しています。
インターネットにおいてモバイルの存在感は益々大きくなっています。
多くのユーザーにとって良い検索結果が表示できるよう、Googleでもモバイル向けの仕様に変化してきているのでしょう。

参考:
[2017年にはインターネット利用の75%はモバイル経由に]
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000022304.html)
[Zenith forecasts 75% of internet use will be mobile in 2017]
(https://www.zenithmedia.com/mobile-forecasts-75-internet-use-will-mobile-2017/)
[Building for the next moment|Google Inside AdWords]
(https://adwords.googleblog.com/2015/05/building-for-next-moment.html)

まとめ

従来はスマートフォンからの検索であっても、パソコン向けページの情報をインデックスし、そのページの情報を元に検索結果を表示していました。
モバイルファーストインデックスでは、逆にパソコンからの検索であってもモバイル向けページの情報を元に検索結果が表示されます。

Googleがモバイルファーストインデックスを検討している背景には、スマートフォンのようなモバイル端末によるインターネットの利用が飛躍的に伸びているという現状があります。

2018年にはモバイルからインターネットにアクセスする割合は全体の79%にものぼるとの予測も出ており、パソコンユーザーよりもモバイルユーザーの方が数で大きく勝る可能性が出てきました。そのため検索エンジンとしても、より多くの人に良い検索結果を表示するための対策として検討してきたのです。

現状、モバイルファーストインデックスが実装される時期は明確に案内されていません。(2017年3月16日現在)
最新情報へのアンテナを高くして、今後どのような対応が行われるかを注視していきましょう。