無印良品も使っている!セルフ型ネットリサーチ「DIYリサーチ」のコスト削減効果の有無とメリット・デメリットを検証
マーケティングツールとして欠かせないものになったインターネットリサーチ。
近年は、資料準備からデータの回収と分析まで自分で行える「セルフ型リサーチ」、別名「DIYリサーチ」によるリサーチが増えています。
安価かつ手軽に利用できるため、コスト削減などを見込んで導入されていることが多いようですが、実際にどの程度の削減ができるのでしょうか。そこで今回は、セルフ型リサーチ、「DIYリサーチ」のメリット、デメリットについて考えてみます。
新たな商材・サービスの開発、新規プロジェクトの立ち上げにあたり上司等の説得材料として、ぜひこのインターネットリサーチを活用してみてはいかがでしょうか。
参照:
マーケターなら押さえておきたい格安・短納期のセルフ型ネットリサーチ「DIYリサーチ」5選|ferret
「DIYリサーチ」について
セルフ型リサーチ、別名「DIYリサーチ」とは
企業のマーケティングにおいて、必ず検討されるツールになりつつあるインターネットリサーチ。
従来はリサーチ会社へ依頼して、質問票の作成からアンケート配信、データ回収・分析までの一切を行ってもらっていました。しかし、近年ではそれらの作業を全て自前で行う「セルフ型リサーチ」を採用する企業が増えています。
セルフ型リサーチは、一般的には「DIYリサーチ(Do It Yourself)型リサーチ」と呼ばれています。
いわゆる「セルフサービス」のリサーチで、ガソリンスタンドやカフェなどの「セルフサービス」のリサーチ版といいますでしょうか。様々なものに「セルフサービス」スタイルは導入されていますが、リサーチにもセルフ化の波は押し寄せてきているようです。
インターネットリサーチと「DIYリサーチ」の違い
従来のインターネットリサーチは、全てあるいは一部の工程を外部のリサーチ会社に委託することが前提ですが、DIYリサーチは外部に委託している部分も含めて自前で行います。
従来のインターネットリサーチは、リサーチ会社のリサーチャーがリサーチの依頼主にヒアリングを行い、課題を見つけ、その内容をもとに設問票を作成して対象者へ設問を配信します。そして、集めた回答をデータ化し、分析した結果をレポートにする、というプロセスを辿ります。いわばリサーチ会社主導のリサーチです。
一方、DIYリサーチは、このプロセスの一部または大部分を依頼主がリサーチ会社ではなく、自前で行います。主体が「他社」から「自社」になる、と言ってもいいでしょう。
DIYリサーチは、大半がWeb上で提供されている専用ツールを利用します。代表的なものでは、世界中に利用者がいるとされる米国発の「Survey Monkey」です。
「DIYリサーチ」の代表的なツール
「Survey Monkey」は日本国内ではまだあまり知られていませんが、グローバル企業の総収入ランキング『Fortune100』に入る企業の全てが利用していると回答するなど、年々利用者が増えている注目度の高いDIYリサーチサービスです。
日本では、大手リサーチ会社「マクロミル」の提供する「Questant(クエスタント)」や、「一太郎」などで有名な「株式会社ジャストシステム」の「Fastask(ファストアスク)」などがあります。DIYリサーチはさらに、2つのタイプにわかれます。
1つは、アンケートの回答(サンプル)も自前で用意するタイプです。「SurveyMonkey」がこれに該当します。サンプルを自前で集めるといっても、リサーチのために都度モニターを募って登録手続きを行うのではありません。ポータルサイトやSNS、ブログなど、提携するホームページにバナーやアフィリエイト広告等で設問を表示させ、回答してもらうことで集められるようになっています。
もう1つは、サービス提供する会社が抱えているモニターに依頼できるタイプです。このタイプで代表的なツールが「株式会社ジャストシステム」の「Fastask」になります。「Fastask」は、提携するリサーチ会社に登録されているモニターの中から選んでサンプルを回収することが可能です。
DIYリサーチの特徴
DIYリサーチのメリットについて
DIYリサーチのメリットは、何といっても「安価」であることです。アンケート調査の内容により異なるものの、リサーチ会社に依頼した時と比較すると、1/3以下に抑えられます。
インターネットリサーチ大手「マクロミル」の料金で比較してみると、以下のとおりです。
例:10問×100サンプル
従来型 「Quick Mill(クイックミル)」 9万円~
DIY型 「Questant(クエスタント)」 1万円
業務委託とセルフという違いがあるとはいえ、実に9倍もの開きがあります。
従来型のインターネットリサーチは、費用の面から特に小規模事業者にとって気軽に利用できるものではありませんでしたが、DIYリサーチであれば、この額ならあまり悩まずに取り組めます。
もう1つの大きなメリットは「スピード」です。従来型のインターネットリサーチは、リサーチャーがヒアリングを行ってからサンプルを回収し、分析するまで、依頼者とリサーチ会社との間に様々なやりとりが発生する分、時間がかかります。DIYリサーチなら、それらのやりとりが社内で済ませられる分、時間を短縮できます。
従来型のインターネットリサーチでは最低でも1週間ほどかかるものも、DIYリサーチなら数日で回収と分析まで終えることも可能です。また、自前で操作するため、柔軟性に富んでいることもメリットに挙げられます。
例えば、「設問の文言のうち××の部分を変えたい」「選択肢をも1つ加えたい」という変更・修正で言えば下記のとおりです。
従来型であればネットリサーチ会社の担当リサーチャーに依頼して、リサーチャーは社内の担当者に指示し、チェッカーが確認してから依頼主に報告……というプロセスを辿ります。ただし、DIYリサーチであれば社内のパソコンで専用システム画面にアクセスし、修正して画面上で確認すれば変更完了です。
DIYリサーチのデメリット
一方で、デメリットもあります。まず、調査票の作成など、インターネットリサーチに関する専門知識は、自前で習得しなければならないことです。
アンケートの設問設定やデータ分析などは、システム任せにできる部分もあるものの、ある程度は知識がなければできないものです。回答に迷うような設問になっていないか、選択肢が漏れていないか、偏りのある内容でないか、など、自前で設問を作成するのであればこれらの点も自前でチェックできなければなりません。
また、設問内容によっては個人情報や「センシティブ情報」と呼ばれる情報などに触れる恐れもあります。これらは後々のトラブルにつながることにもなりかねないので、十分に注意しなければならないのですが、これもリサーチに関する知識がないと事前にわかりません。知識という観点から見ると、専用システムの操作方法についても知る必要が出てきます。
最近では様々な会社からDIYリサーチ用のWebシステムが提供されていますが、操作方法はそれぞれ違います。少なくとも初回は、操作方法を覚えるために時間をかけなければなりません。自前なので、文言や設定などにミスがあっても自分で気付かない限りはそのまま配信されてしまいます。また、DIYリサーチでは、標準仕様では従来型のネットリサーチと比べるとサービス範囲が限られていることが多く、特定の層にまで絞り込みをかけたアンケートなど、少し踏み込んだリサーチはDIYリサーチではできないこともあります。その場合は従来型のネットリサーチを選択するか、オプションサービスとして用意されていれば追加料金を支払うことになります。
インターネットリサーチ関連の知識を得るためには時間がかかります。専用システムでできる範囲までアンケート内容を絞るため、操作方法を覚えるため、入力した内容をチェックするため……と、多くの時間が必要となります。実際には従来型のインターネットリサーチを選んだ時と、かかる時間は変わらず、コスト削減という面から見ても効率が悪いので、DIYリサーチの特徴である「短時間」「低コスト」が全く活かされなくなります。
DIYリサーチは、ある程度は事前にインターネットリサーチの知識が備わっている企業・組織が選択することによって、デメリットを減らして「低コスト・短時間」のメリットを活かせる手法です。
お客様事例
それでは、どのような企業が実際にDIYリサーチを活用しているのでしょうか。
名だたるグローバル企業の多くが「Survey Monkey」を利用していることは先に述べましたが、日本国内でも導入する企業が増えています。その一例として、シンプルで機能的な商品を衣食住全般で提案するブランド「無印良品」で知られる株式会社良品計画が挙げられます。
良品計画では、自社のマーケティングを行うにあたって「Survey Monkey」を活用しています。良品計画がアンケートを回収する場合は、店頭で直接聞き取りを行う、自社運営の通信販売サイト「muji.net」に登録しているメンバーにメールを送信して回収する、といういくつかのパターンがあります。
近年は「シンプルに必要な情報だけを素早く集める」ための手段として「Survey Monkey」を加えています。「シンプルに必要な情報だけを素早く集める」ことが必要なものとしては、良品計画では例えば、季節限定商品に関するアンケートや、イベント参加者の募集告知などが該当します。
ある商品への応募企画では、応募の意図と、商品に対する意見を記載する自由回答の2問に絞ったアンケートを「Survey Monkey」で行い、2日間で2,000件以上もの数が集まりました。「Survey Monkey」は、10問×100サンプルは無料、設問数もサンプル数も無制限の年間プランでも5万円/年なので、従来型であればたった2問といえどもリサーチ会社に依頼することで数十万円以上・1週間程度かけて行う必要があったものを、かなりの低額・短期間で、しかも満足のいく結果を得られたことになります。
良品計画では、このようなアンケートを度々行い、得られたデータを分析することで、新商品の開発や既存商品の改良などに活かしています。
まとめ
自前でインターネットリサーチができることを強みにしたDIYリサーチ。今回の記事では、そのメリットとデメリット、利用事例を通じて、DIYリサーチについて基礎知識からその活用方法等をご紹介してきました。
正直、従来型のインターネットリサーチと比較した際、現時点では取って替わるものにはなっていない状況で、コスト削減効果などを実感するにはインターネットリサーチの知識をすでに持っている場合に限られてしまいます。
DIYリサーチを社内のマーケティングにとって有効ツールとなり得るか、マーケティングにかかるコスト削減の役に立つかは、マーケティング担当者の力量次第なのかもしれません。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- インターネット
- インターネットとは、通信プロトコル(規約、手順)TCP/IPを用いて、全世界のネットワークを相互につなぎ、世界中の無数のコンピュータが接続した巨大なコンピュータネットワークです。インターネットの起源は、米国防総省が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトARPAnetです。現在、インターネット上で様々なサービスが利用できます。
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- ポータルサイト
- ポータルサイトとは、インターネットの玄関口となる巨大なWEBサイトのことを言います。 サイトが独自の情報を発信するのではなく、検索エンジンやリンク集を核として、ニュースや株価などの情報や、メールやチャットなどのユーザーがインターネット上で必要とする機能を提供しています。
- ブログ
- ブログとは、ホームページの一種です。運営者はブログシステムに登録し、利用開始をすることで、ホームページ制作のプログラム技術を修得する必要なく、本文のみを投稿しつづければ、公開・表示はおろかページの整理や分類なども効率的に行えるシステムを言います。
- ページ
- 印刷物のカタログやパンフレットは、通常複数のページから成り立っています。インターネットのホームページもまったく同じで、テーマや内容ごとにそれぞれの画面が作られています。この画面のことを、インターネットでも「ページ」と呼んでいます。ホームページは、多くの場合、複数ページから成り立っています。
- バナー
- バナーとは、ホームページ上で他のホームページを紹介する役割を持つ画像ファイルです。画像にリンクを貼り、クリックするとジャンプできるような仕組みになっています。画像サイズの規定はありませんが、88×31ピクセルや234×60ピクセルが一般的です。また、静止画像だけでなく、アニメーションを用いたバナーもあります。
- 広告
- 広告とは販売のための告知活動を指します。ただし、広告を掲載するための媒体、メッセージがあること、広告を出している広告主が明示されているなどの3要素を含む場合を指すことが多いようです。
- インターネット
- インターネットとは、通信プロトコル(規約、手順)TCP/IPを用いて、全世界のネットワークを相互につなぎ、世界中の無数のコンピュータが接続した巨大なコンピュータネットワークです。インターネットの起源は、米国防総省が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトARPAnetです。現在、インターネット上で様々なサービスが利用できます。
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- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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