ソーシャルメディア上で自社の製品名やブランド名を検索すると、発言しているアカウントの特徴や、統一性などに気づくことがあるかと思います。

自社のアカウントのフォロワー一覧を眺めてみるだけでも、なんとなくの人物像を感じ取ることができます。
ソーシャルメディアを活用すれば、自社に興味を持っている人たちの人となりがなんとなく見えてくるものです。

今回は、ソーシャルリスニングを活用したターゲット顧客のペルソナ設計のヒントを紹介していきます。

Webマーケティングにはペルソナ作りが重要

Webサイトを作ったり、オウンドメディア運用、コンテンツマーケティングなどを実施する際にとても重要になるのは、顧客像をしっかり把握することです。

効果的な施策を実施するには、運用するサイトがどのような人に向けたものなのか、公開するコンテンツがどんな人物のどんな課題を解決するのかを把握する必要があります。自社のターゲットとする顧客のことを理解せず闇雲に行動しても徒労に終ってしまう、というのがWebマーケティングで陥りやすい失敗パターンの一つです。

マーケティングにおいて、ターゲットとする代表的な顧客像をペルソナとして設定することで、施策やコンテンツの方向性を決める指針を作ることができます。担当者は自社がターゲットとするペルソナを正しく設定する、もしくは定期的にしっかり見直しながら、実施しているWebマーケティングが正しく進んでいるかを判断していく必要があります。

しっかりとしたペルソナ設計が長期的なWebマーケティングの成功に確実につながっているのです。

ペルソナ設計にはソーシャルリスニングを活用できる

通常ペルソナを設定するにあたり、既存顧客に関する情報をアンケートやインタビューなどで収集することがあります。既存の顧客に対して、職業や年齢、家族構成や一日の過ごし方、よく読む雑誌やWebサイトなどを質問し、代表的な架空の人物像を作り上げるのです。

しかしこれらは、あくまで用意された質問に対しての回答を集計されているため、ある程度誘導されたものになってきてしまいます。知らず知らずの間に自分たちが既に持っている自社のイメージの裏付けを取る作業のようになってしまっている場合もあります。自分たちが気付いていなかった、想定もしていなかった顧客の人物像を掘り起こすには、少し情報が不足しているのかもしれません。

ソーシャルメディアの投稿を収集し分析をするソーシャルリスニングが、この課題を解決する糸口になり得ます。
ソーシャルリスニングでは、設定されたキーワードリストを元にさまざまなソーシャルメディアの投稿をダッシュボード上に集約し閲覧、分析することが可能です。「自社ブランドについてつぶやいている人」≒「見込み顧客」とし調査の対象とすることで、ペルソナ作りに役立てることができます。

ソーシャルアカウントからは驚くほどパーソナリティが垣間見える

なぜソーシャルリスニングがペルソナ設計に適しているかというと、ソーシャルアカウントにはその人のパーソナルな情報が色濃く出ていることが理由の1つです。
ペルソナ設計というのは、「ターゲットは若い女性」「〇〇に課題を抱えている人」といった内容だけでなく、「この雑誌とこの雑誌であれば、こっちが好き」といったよりパーソナルな情報まで推定した架空の人物像を作り上げます。

こういった趣味趣向の部分を、アンケートやインタビューのみで聞き出すのはなかなか難しいもの。しかしソーシャルメディア上に投稿されるつぶやきは、個人の趣味趣向が色濃く出されているため、それらを読み込むことでターゲット顧客のより具体的な人格を導き出すヒントになるのです。

ソーシャルリスニングで収集した投稿の中から、自社ブランドのファンと思われる人物を何人かピックアップし、そのアカウントの投稿をひたすら読み込んでみましょう。その人の普段の生活や行動スケジュール、そのブランド以外にどんなものが好きかなど、さまざまな情報が垣間見えます。

マーケティングにおけるニーズ調査の手法の一つに「エスノグラフィ調査」という手法があります。これは調査対象者の行動観察にフォーカスする手法で、調査対象者とできる限り生活を共にし、日々の行動を観察しながら対象者の生活習慣や消費行動、思考パターンなどを探る手法です。

実際のエスノグラフィ調査では、対象者の行動に関して都度簡単なインタビューなどを行う場合が多いですが、残念ながらソーシャルリスニングではこちらからの問いかけはできません。

しかしソーシャル上に日々投げ込まれる投稿は、その人の生活や思考にもとづいたものであることが多く、ターゲット顧客の普段の生活を擬似的に体験することができます。ソーシャルリスニングを活用すればターゲット顧客の行動パターン、思考、潜在ニーズに至るまでさまざまなヒントを掘り起こすことが可能になるのです。