検索サジェスト機能の光と影 ~「ペヤング」まるか食品の憂鬱~
皆さんは「検索サジェスト機能」という言葉をご存知ですか?
インターネットにまつわる業務についている方ならご存知のはずです。きっと意味まではご存知なくとも、どこかで見聞きした覚えはあるのではないでしょうか。
サジェスト機能とは、入力候補を自動で表示させ、ユーザーの入力負担を減らす機能です。
現在、GoogleやYahoo!などのサービスで検索したい語句を入力する欄に何らかの文字列を入力すると、その文字列を含む語句や関連する語句の候補が自動的に表示されるようになっています。入力の手間を省くだけではなく、調べたい言葉がうろ覚えでも何となく検索できる便利な機能です。
以前より、スマートフォンなどの日本語入力機能にも「予測変換」の機能が搭載されていましたが、現在は不特定多数の検索リクエストを検索エンジンが分析し、どの端末でも同じような候補が表示されるように進化しています。
今回は、2014年12月に発生した「ペヤング異物混入事件」を例に、検索サジェスト機能にまつわる注意すべきポイントをご紹介します。
記憶に新しい「ペヤング異物混入事件」
2014年12月、Twitterを中心に、消費者の間に大きな衝撃が走りました。
まるか食品株式会社の看板商品「ペヤング焼きそば(ペヤング ハーフ&ハーフ激辛やきそば)」に異物が混入したものが発見され、発見者(とされる人物)がTwitterに画像付きのコメントを投稿。投稿者が「まるか食品」や保健所に連絡し、そのやり取りを逐次Twitterに投稿したところ、瞬く間に拡散され、ニュースサイトやテレビの情報番組などでも扱われる事態となりました。
絶大な知名度を誇るブランドの不祥事だけに、社会に与えたインパクトは強烈でした。
※事件の経緯については下記記事を参照ください
参考:
「ペヤング」事件に学ぶ SNS対策、初動が肝心(2015/2/13)|日本経済新聞
まるか食品「ペヤング焼きそば」の現状
現在、まるか食品ではパッケージの方式など、商品の仕様を一新する対策を経て販売を再開しています。そして、すでに社会的信用をほぼ事件以前のレベルまで回復する事に成功している状態です。これはコンビニエンスストア等で陳列されている様子を見ても一目瞭然で、そのほかの企業から販売されているインスタント食品と同様の扱いで置かれています。
しかし、ネットの世界では、その痕跡は完全には消されていませんでした。それが「検索サジェスト」で表示される語句の候補リストから見えてきます。
当時、多数のユーザーが「ペヤング」の後に「異物」などの語句を続けて検索したため、ネガティブな語句がサジェストの上位候補となってしまったのです。記事を転載したまとめサイトや個人ブログの多くも残っているため、検索対象として有効になっています。
まるか食品が安全宣言と共に販売を再開した後にも、その状況は続きました。
発売再開後「ペヤング焼きそば」に起こった変化
ところで、これはあくまでも噂なのですが……「ペヤング焼きそば」の評判はすっかり戻りましたが、発売再開後にちょっとした変化がありました。それが、限定販売品として展開していた商品バリエーションのリリース・タイミングを早めたことです。
一時休止以前から、バリエーション商品の展開には積極的なブランドでしたが、再開一年後の2016年終盤から、ほぼ毎月1点のペースで限定品をリリースしています。
ぺヤング 限定販売品
・2016年
11月「わかめMAX」
12月「パクチーMAX」
・2017年
01月「チョコレートチョコレートやきそばギリ」
02月「ペペロンチーノ風やきそば」
02月「ソースやきそばプラス納豆」
03月「背脂MAXやきそば」
04月「酸辣MAXやきそば」
これらの限定商品は発表されるや否や、情報がSNSを中心に爆発的に拡散されます。特に「パクチーMAX」のように熱狂的ファンのいる食材や「チョコレート」のような賛否両論を呼ぶフレーバーをフィーチャーした商品については、大きな話題を呼びました。
他社製の競合商品でも、同時期に不思議なフレーバーの限定品を出していたことからも、その盛り上がり振りもうかがえます。
参考:
本当にマズかった『奇抜系インスタント食品ランキング2017』発表!|ROCKET NEWS 24
「話題になる」という事は、「検索ワードの上位になる」という事でもあります。販売再開された頃までは「ペヤング」に続く候補は「異物」などのネガティブワードでしたが、新製品ラッシュが真っ只中の2017年初頭には、限定品のフレーバー名が上位を占めるようになりました。
ネガティブなサジェストワードを削除する方法
サジェストワードの中には、ネガティブなものも存在します。そうしたネガティブなサジェストワードを削除する方法として検索エンジンの運営に直接要請する方法を示していますが、同時に「他のポジティブな情報を上手く出して状況を逆に利用する」という手段も提示しています。具体的には、社名やブランド名と併せて、新製品の名称やポジティブなワードで検索するよう、一般ユーザーを誘導するという方法です。
入力の件数が増えればサジェスト順位が上がり、それまで上位にあったネガティブな語句は圏外に押し下げられるという訳です。入力件数を増やす方法はいくつかありますが、最も有効で、かつ余分なコストを掛けずに済む方法が、メーカー自らが話題性の高いポジティブな情報を的確なタイミングで要所に投下していく事です。そうすることにより、それをキャッチしたユーザーが自発的にSNSやブログで言及、それをニュースサイトやまとめサイトが記事化。拡散するのはアッという間です。
削除要請は必ずしも通るとは限りませんし、手続きも面倒です。また、上記記事内でも指摘されている通り、「サクラ」を使って恣意的に情報をコントロールしようとしても、ネット上の自主的なリサーチャーたちによって暴露されて、思わぬ結果に行きつく恐れもあります。
それよりも、既に多数のファンを有するブランドであれば、高速で情報が拡散する上記のようなプラットフォームが確立されているので、そのようなコストや小細工を弄する必要も無いという訳です。
まとめ
「まるか食品」の場合、事件後の対応が比較的良好だった事や熱心なファンが後押ししたり、再開後の商品展開が上手く当たった事で事件のネガティブなイメージが払しょくできました。
もちろん、ファンや一般消費者の信用に応える不断の努力があったのもいうまでもありませんが、それも不幸な事故をバネとして、改めて気を引き締め直した結果とも考えられます。
ネット上のネガティブな記事や情報は、一度アップロードされると簡単には削除されないのは皆さんご存知のとおりです。しかし、衆目に触れないようにする方法ならあります。意に反してそのような状況に陥った場合も、適切なタイミングを見計らって、ポジティブな情報を発信していく事も重要な対策の1つといえるでしょう。
- インターネット
- インターネットとは、通信プロトコル(規約、手順)TCP/IPを用いて、全世界のネットワークを相互につなぎ、世界中の無数のコンピュータが接続した巨大なコンピュータネットワークです。インターネットの起源は、米国防総省が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトARPAnetです。現在、インターネット上で様々なサービスが利用できます。
- Googleとは、世界最大の検索エンジンであるGoogleを展開する米国の企業です。1998年に創業され急激に成長しました。その検索エンジンであるGoogleは、現在日本でも展開していて、日本のYahoo!Japanにも検索結果のデータを提供するなど、検索市場において圧倒的な地位を築いています。
- 検索エンジン
- 検索エンジンとは、インターネット上に無数に存在するホームページのデータを集め、ユーザーにそれらを探しやすくしてくれるサービスのことです。「検索サイト」とも呼ばれます。代表的な検索エンジンとしては、Yahoo! JAPANやGoogleなどがあります。また、大手検索エンジンは、スマートフォン向けのアプリも提供しており、これらは「検索アプリ」と呼ばれています。
- Twitterとは140文字以内の短文でコミュニケーションを取り合うコミュニティサービスです。そもそもTwitterとは、「小鳥のさえずり」を意味する単語ですが、同時に「ぺちゃくちゃと喋る」、「口数多く早口で話す」などの意味もあります。この意味のように、Twitterは利用者が思いついたことをたくさん話すことのできるサービスです。
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- ブログ
- ブログとは、ホームページの一種です。運営者はブログシステムに登録し、利用開始をすることで、ホームページ制作のプログラム技術を修得する必要なく、本文のみを投稿しつづければ、公開・表示はおろかページの整理や分類なども効率的に行えるシステムを言います。
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- フォーム
- フォームとは、もともと「形」「書式」「伝票」などの意味を持つ英単語です。インターネットの分野では、パソコンの操作画面におけるユーザーからの入力を受け付ける部分を指します。企業のホームページでは、入力フォームが設置されていることが多いようです。
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