UXを改善するときに、多くのひとはUIの改善から着手しようとしがちです。
しかし、最も手軽かつ強力なのは、Webサイトで多くの領域を占めるテキスト部分を中心に改善することです。

その中でも、UXを高める手法として2016年始め頃から注目を集めているのが、*「ストーリーテリング」*という考え方です。
簡単に言えば箇条書きで特徴を述べるのではなく、物語仕立てで語ることで特徴やメリットを伝えたり、心地のよいUXを実現することです。
しかし、ストーリーテリング自体が他のUXの改善手段と比べると若干抽象的であり、結局のところどういう対策を取ればストーリーテリングにつながるのかが分かりにくいのも現状です。

今回は、ストーリーテリングがよく分かる5つのポイントをご紹介していきます。
ストーリーテリングは、単なるUXを高めるための手段である以上に、ブランドの世界観に引き込むための重要な施策でもあります。
幾分か抽象的に感じる部分もあると思いますので、ここでは具体例も合わせて紹介していきます。

Airbnbが現在も人気であり続ける理由

ストーリーテリングとは何かを、実例を交えて考えてみることにしましょう。

例えば、民泊サービスと聞いてまず最初に何が思い浮かぶでしょうか。
大抵のひとは、Airbnbを最初に思い浮かべるのではないでしょうか。

では、それはなぜでしょうか。
それは産業を独占しているサービスだからでしょうか。
実際には、同じ民泊サービスのHomeAwayのほうが年間の予約数はAirbnbの2倍もあります。
それでは、一番長い、老舗のサービスだからでしょうか。
ところがこれも実際には、Airbnbはもっとも最近できたサービスのうちのひとつなのです。

Airbnbがこれほどまでに有名になったのは、Airbnbがストーリーテラーだったからです。

HomeAwayやTripAdvisorのようなサービスは、Airbnbに比べても優れている点がたくさんあります。
しかしながら、成長の観点から見れば、Airbnbがここ数年で圧倒的に競合に差をつけていることがわかります。

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Source: VRMind

それでは、Airbnbはどのようにして他との差別化を図ったのでしょうか。
それは、に着目することです。

多くの競合他社は、「これだけの部屋があります!」「これだけの都市で利用できます!」「これだけ多く使われています!」と登録部屋数(リスティング数)などの特徴を声高にアナウンスし、マーケティングを行います。
しかし、Airbnbが行ったのは、人のストーリーを明確にしたことです。
リスティングしている人がどんなひとで、どんな旅行者がその家に行くのかがストーリーになっているのです。

つまり、ストーリーテリングとは、必ずしもサイトの製作者が意図して作るものではなく、コミュニティから生まれるものであってもよいのです。