多くの中小企業にとって、自社を置いている地域との関係は気にかかるところなのではないでしょうか。
地域との関係によって企業の印象も左右しかねません。

今回は、情報通信技術を活用して地方の問題を解決した取り組みを表彰した*「ICT地域活性化大賞」*の受賞事例をご紹介します。
地方活性化に貢献した事例を参考にして、自社にもできることを知っておきましょう。

ICT地域活性化大賞とは

情報通信技術(ICT)で地域の問題を解決した取り組みを表彰する制度が、ICT地域活性化大賞です。
総務省ではICT地域活性化大賞をおこなう目的を以下のように記載しています。

地方が抱える様々な課題(人口減少、少子高齢化、地域経済の衰退、医師不足、災害対応等)を解決するため、それぞれの地域において自律的な創意・工夫に基づいて、ICT(情報通信技術)を活用した様々な優れた取組がなされています。
 これら取組の中で、横展開が見込まれる事例、分野横断的な事例、地域間の広域連携が見込まれる事例に重点を置き、地域の課題の解決に取り組み、地域の活性化に資する先進的な事例を広く募集し、表彰を行います。

引用:
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000126.html

教育や雇用といった地方の問題を解決する重要な手段の一つとして、IT技術が注目されています。2016年は12件の事例が表彰されました。総務大臣賞、優秀賞、奨励賞の順でご紹介していきます。

総務大臣賞

ICTによる衣服生産のプラットフォーム

sitateru__シタテル____あたらしい衣服生産のプラットフォーム.png
https://sitateru.com/

熊本県熊本市に本社をもつ、シタテル株式会社が受賞しました。
熊本をはじめとした全国の縫製工場に発注するときの、発注者と工場の最適なマッチングをおこなうプロジェクトを実施しました。
生産可能な品目や数、納期といった条件は工場によって異なります。発注者が一つ一つ調べて比較するのは時間がかかり大変です。

工場は閑散期に発注を受けることができ、発注者は条件にあった工場を自分で探す手間が省けます。
プロジェクトにより、事業での市場流通総額は5,000万円から約15億円に急増しました。また、関連雇用人数は150人から6,900人に増加するといった効果が生み出しました。

参照:
総務省 ICT地域活性化大賞2016 表彰事例

優秀賞

ICTで創る新しい農業・教育のかたち

スマート農業における水稲の水位・水温を計測する水田センサ PaddyWatch.png
https://field-server.jp/paddywatch/

新潟市を株式会社NTTドコモが受賞しました。
新潟県は米どころとして有名ですが農業に課題を抱えています。
水田の管理面積が広がったにもかかわらず、管理する経営対数は減少しています。

そこで新潟市、株式会社NTTドコモ、ベジタリア株式会社、ウォーターセル株式会社が連携して、水位、水温、温度、湿度を自動計測してアプリで管理できる水田センサを活用しました。水田センサを使用したことで水田管理が効率よくおこなえるようになり、労力削減に貢献しました。

参照:
総務省 ICT地域活性化大賞2016 表彰事例

佐渡地域医療連携ネットワーク「さどひまわりネット」

佐渡地域医療連携ネットワーク さどひまわりネット___あなたの健康を、佐渡全体で支えます.png
http://www.sadohimawari.net/

新潟県佐渡市の特定非営利活動法人佐渡地域医療連携推進協議会が受賞しました。

佐渡市では住民の高齢化によって医療・介護を充実させることが必要でしたが、人材不足の問題でした。そこで、佐渡島にある病院、歯科、薬局、介護施設などの医療関係施設が、患者の医療情報を自由に共有できるネットワークを構築しました。

インターネット上だけではなく、「オフ会」と称したリアルなコミュニケーションの場を提供していることも特徴です。
参加施設は75施設あり、全住民の25%を占める約14,400人がネットワークの利用に同意しています。

参照:
佐渡地域医療連携ネットワーク さどひまわりネット「さどひまわりネット」が作られた背景

しずみちinfo・通行規制データのリアルタイム・オープン化

静岡市道路通行規制情報 しずみち_info.png
https://shizuokashi-road.appspot.com/index_pub.html

静岡県静岡市が受賞しました。
これまで静岡市がもっている交通情報の公開が限定で公開されており、その公開方法に課題を抱えていました。そこで静岡市の道路規制や交通情報をリアルタイムで更新するサービス「しずみちinfo」が構成されました。

交通情報がリアルタイムで公開されたことで、観光といった分野でも活用できるでしょう。

参照:
総務省 ICT地域活性化大賞2016 表彰事例