クラウドファンディングの利用は、市場の拡大に伴い一般的になりつつあります。

商品開発やイベント開催などの目的を提示できれば、不特定多数の出資者から気軽に資金調達を行えることから、個人からベンチャー企業、大企業に至るまで活用されています。

クラウドファンディングは語源が「Crowd(群衆)」「Funding(資金調達)」であるように、プロジェクトを実行するための資金調達が主な目的ですが、実は新たな活用方法も登場しました。

それが、プラットフォームの認知度を活かしたプロモーション活動や、テストマーケティングなどです。

今回は、クラウドファンディングの基礎知識から、「何ができるのか」を解説します。また、国内の主要サービスをまとめましたので、Web担当者は活用してください。

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングとは、インターネット上で多数の投資家から少額ずつ資金を調達できる仕組みです。新商品やサービスを開発したいとき、プロジェクトを立ち上げることで出資を募れます。

プロジェクトの目的は多種多様で、「ものづくり」「イベント開催」「アーティスト活動支援」「起業」など多岐にわたります。個人やベンチャー起業でも、プロジェクトを公開することができ、ユーザーから出資を得られるというメリットがあります。

海外ではKickstarterやIndiegogoといったサービスが有名です。特にKickstarterは2017年中に日本版サービスを開始するとアナウンスされており、今後も一層盛り上がりをみせるでしょう。

近年では、クラウドファンディングのプラットフォームが持つ強みを活かした試みが多く見受けられます。たとえば、「マーケティング」や「広報」といった業務など、資金調達以外での活用がされ始めているのが特徴です。

参考:
金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」事務局説明(PDF)
Kickstarterが今年ついに日本上陸!何が変わりそう? | ギズモード・ジャパン

クラウドファンディングでできること

1.新商品やサービスの開発

クラウドファンディングを利用する目的として、最も一般的なのが新商品やサービスの開発資金を集めることです。

個人やベンチャー企業といった低資金からのプロジェクト立ち上げに向いています。また、大企業においても、既存製品とは別軸で開発を進めるという意味合いで活用される事例もあります。

2.テストマーケティング

そして、「テストマーケティング」目的でクラウドファンディングを利用することもできます。

既に開発決定した商品や、発売前のプロトタイプ段階の商品でプロジェクトを立ち上げ、どういったユーザーが反応を示すかといった調査ができます。

また、発売前にユーザーの目に触れてしまうデメリットはありますが、マーケティング視点で現実的なペルソナ設定ができるでしょう。

3.メディア露出・プロモーション活動

クラウドファンディングサービスは認知度が拡大するにつれ、プラットフォーム自体に集客力やメディアへの露出力を持つようになりました。

そこで、プロモーションの一貫として、発売前にクラウドファンディングをワンクッション挟むという試みもあります。特にIT分野のニュースメディアでは、クラウドファンディングをテーマとして扱うことも多いため、戦略的にプロモーション活動ができます。

以下より、クラウドファンディングをタイプ別にご紹介します。

クラウドファンディングの4タイプと該当サービスまとめ

1.購入型クラウドファンディング

「クラウドファンディング」として一般的に認知されているのが、「購入型クラウドファンディング」です。Kickstarterなども該当します。

購入型という名の通り、ユーザーはプロジェクトに出資することで「商品」や「サービス」「イベント」といった金銭以外のリターンを受けられるタイプのクラウドファンディングです。

日本国内では購入型クラウドファンディングサービスの数が圧倒的に多いのも、特徴と言えるでしょう。

【主なサービス】

Makuake
CAMPFIRE
Readyfor
A-port

2.寄付型クラウドファンディング

「寄付型クラウドファンディング」は、ボランティアや地域おこしといった公共性や社会性の高いプロジェクトに寄付を行うタイプのクラウドファンディングです。

基本的には目的が「寄付」なので、サービスや金銭でのリターンがあるとは限りません。また、プロジェクト内容にもよりますが「お礼」として地域の特産品といったリターンが得られることもあります。

【主なサービス】

JAPANGIVING
ふるさとチョイス

3.貸付型(融資型)クラウドファンディング

「貸付型(融資型)クラウドファンディング」は、金融商品を取り扱うタイプのクラウドファンディングです。

資金を借りたい個人や企業に対して少額から貸付でき、金利によるリターンが得られる仕組みです。利回りが高く、少額から貸付できるため金融商品として人気を集めています。

【主なサービス】

maneo
Crowd Bank

4.株式投資型クラウドファンディング

「株式投資型クラウドファンディング」は、非上場企業の株式を発行することで、ベンチャー企業や中小企業が資金を集められるクラウドファンディングです。

企業は、1社あたり1年間で1億円未満の資金を募ることができます。少額から出資を受けられるため、非上場企業の資金調達が行いやすくなるメリットがあります。

【主なサービス】

FUNDINNO

まとめ

クラウドファンディングは商品開発の資金調達だけでなく、テストマーケティングやプロモーション活動といった活用法があります。

また、一般的な認知度の高い「購入型クラウドファンディング」の他、株式投資型など起業家向けのサービスも新たに登場しています。

リスクの低いサービスも多く存在するため、気軽に利用できます。Web担当者であれば、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。