ODM(オーディーエム)やPBとの違いはなに?

ODM、PBとの違い
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OEMと似たような用語として「PB」「ODM(オーディーエム)」などいくつかあります。これらはOEMとは異なる手法です。

各々についてご説明しますので、その違いを正しく理解しましょう。
  

ODM(オーディーエム)

ODMとは、「オリジナル・デザイン・マニュファクチャリングOriginal Design Manufacturing)」の略です。委託者のブランドで製品設計・生産を行う手法で、主に中国、台湾の企業、携帯電話業界・パソコン業界を中心に見られます。

基本的なところはOEMと似ていますが、OEMでは受託者側に製造のみ委託するのに対し、ODMの場合は商品企画までも受託者側に任せます。サンプルができ上がるまでの作業を任せることになるため、委託者側は大幅に作業負担が減るというメリットがあります。また、商品開発を行うためのデザイナーなどの担当者を雇う必要がないため、人件費の削減が可能です。
  

PB(プライベートブランド)

PBとは、「プライベートブランドPrivate Brand)」の略で、小売店・卸売業者が企画販売するブランドのことを指します。この形態では、メーカーは基本的に製造のみを担当します。

PBは独自で企画・開発を行うことから同業他社との差別化がしやすいという利点があり、商品に人気が集まれば小売店・卸売業者のイメージアップにもなります。また、自社で商品の価格を決定できることから、コスト面にもメリットがあります。

一方で、自社開発であることから知名度の点では優位ではなく、マーケティングも難しいというデメリットがあります。最近だと、知名度の高いコンビニ各社や大手スーパーが、多くのPB商品を販売しています。

OEMの活用例

OEMの活用例
【MAZDA】グレード&スペック|フレア

OEMは広く採用されており、有名企業や身近な商品の多くもOEMで生産しています。

実際にOEMを採用している活用例を紹介します。
 

自動車

自動車業界ではOEMの車種が多数存在しており、中でも軽自動車業界では特にOEMが盛んです。例えば、スズキの人気車種に「ワゴンR」がありますが、ほぼ同一の商品で外観を変えたものをマツダが「フレア」という名前で販売しています。

OEMモデルの自動車を生産することで、軽自動車を生産・開発する費用の削減ができたり、販売ルートが増え販売台数が向上したり、ロイヤリティが得られたりなど双方にメリットがあります。
  

携帯電話

iPhone、iPadといった人気商品で知られているAppleですが、製品はAppleが製造しているわけではなく、他社メーカーに委託しています。

Appleの商品製造業者として有名なのが、台湾に本社を置く大手エレクトロニクスメーカーFoxconn(フォックスコン)です。Foxconnは、電子機器受託生産において世界最大の企業グループであり、Apple以外にも様々な有名企業との取引があります。
  

化粧品

化粧品業界にも多くのOEMメーカーがあります。化粧品大手の中にもOEM事業に着手しているメーカーがあります。例えば、有名企業カネボウは「カネボウコスミリオン」、ポーラは「株式会社エクスプレステージ 」という社名でOEM事業を展開しています。

参考:
ポーラ化成工業株式会社

アパレル

アパレル業界でもOEM生産の商品が多数製造されています。

例えばオンワード樫山、ワールド、三陽商会などの大手アパレル企業は、株式会社小島衣料に生産を委託しています。小島衣料はその豊富な技術力を活かして、自社ブランドのパジャマも製造し、売上を伸ばしてるのが興味深い点です。

参考:縫製の小島衣料が「リーマンショックの地獄」からV字回復できたワケ
  

コンビニエンスストア

身近なコンビニエンスストア(以下、コンビニ)の商品ですが、パッケージをじっくり見てみると販売メーカーと製造メーカーが異なることが多々あります。コンビニ商品を手がける製造メーカーの例が「わらべや日洋ホールディングス株式会社」です。

同社の主要取引先はセブンイレブンで、全国に27のセブンイレブン専用工場を持ち(2017年6月15日公式ホームページにて確認時点)、セブンイレブン19,422店に対して16,000店舗以上に納品しています。(2017年2月期実績)

参考:
わらべや日洋ホールディングス株式会社