世界初のインスタントラーメンである「チキンラーメン」をご存知の方は多いでしょう。
ですが、チキンラーメンというブランドが積極的にSNSを活用していることはあまり知られていないかもしれません。

チキンラーメンでは、Facebook・Twitter・インスタグラムのそれぞれの特性に合わせた投稿を行うことで、多くのファンを集めてきました。
投稿内容のユニークさだけでなく、社内体制や目標設定の方法など、企業のSNS担当者として学ぶべき点は多いでしょう。

今回はチキンラーメンから学ぶ、SNS活用のポイントを解説します。
Facebookでは33万人近いフォロワーを抱えており、いいねした人の数は35万人を超えます。そのような人気の裏には、どういった考えがあるのか一緒に学びましょう。

チキンラーメンのSNS活用状況

日清食品では企業のアカウントとは別に「チキンラーメン」名義で、3つのSNSアカウントを活用しています。
SNS活用のポイントを整理する前に、まずは、それぞれのSNSでどういった投稿内容を行っているか紹介しましょう。

※掲載されているフォロワー数は2017年6月19日現在のものです。

Facebook

1__チキンラーメン ひよこちゃん___ホーム.png
https://www.facebook.com/nissinchickenramen/

 フォロワー数:328,007

Facebookでは、公式キャラクターである「ひよこちゃん」を用いたユニークな動画や画像を投稿しています。

フォロワー数は33万人近くにものぼり、投稿につく「いいね」数は1,000〜6,000と安定した人気を誇ります。
また、ユーザーに対して利用上の注意を案内した「公式Facebookページコミュニティガイドライン」を掲載しているのも特徴でしょう。

Twitter

チキンラーメン ひよこちゃん__nissin_hiyoko_さん___Twitter.png
https://twitter.com/nissin_hiyoko

フォロワー数:31,214

TwitterでもFacebook同様、公式キャラクターの「ひよこちゃん」を利用した投稿を行っています。基本的にはFacebookの投稿内容と変わりませんが、Twitterに合わせて140字以内の投稿を行っています。
2012年7月という比較的早い時期からTwitterアカウントを開設し、徐々にフォロワー数を伸ばしています。

インスタグラム

チキンラーメン_ひよこちゃんさん__chickenramen_hiyoko__•_Instagram写真と動画.png
https://www.instagram.com/chickenramen_hiyoko/?hl=ja

フォロワー数:192,000人

インスタグラムでもFacebook・Twitter同様の投稿を行っています。
加えて「#チキンラーメン」「#ひよこちゃん」「 #nissin」 「#ramen」のようにハッシュタグを複数追加することで、より多くの人に投稿を発見してもらえるようにしています。
ラーメンの絵文字を用いたハッシュタグを利用するなど、選ぶハッシュタグにも工夫が見えます。

参考:
Three New Filters and Emoji Hashtags|Instagram
(2020年8月27日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)

チキンラーメンのSNS運用から学ぶ、ファンから愛されるSNS活用のポイント

チキンラーメンの運用するSNSアカウントはどれも3万人以上のフォロワーを獲得し、投稿自体も安定して多くの「いいね!」を得ています。
では、より多くのユーザーから支持される秘訣はどこにあるのでしょうか。2つポイントを解説しましょう。

1.エンゲージメント重視の運営ではビジュアルに訴えかける

チキンラーメンの投稿のほとんどは画像や動画を用いています。
新商品やキャンペーンの告知も含め一貫して「ひよこちゃん」が登場するのも特徴的でしょう。

投稿内容も鶏であるひよこちゃんが鶏肉を食べていたり、雪や桜に埋もれてしまっていたりとユニークな設定となっています。

例えば、上記の投稿では飛行機機内で流れるアナウンスをモチーフに、チキンラーメンに卵を加える際の注意点を解説しています。
投稿は6万リツイートを超え、Twitter上でも大きな話題となりました。

ほかにも警察への密着捜査をモチーフにした「しろたま警察24時」や街の人にチキンラーメンを作ってもらう「レッツ!しろたま」など様々なパロディ動画を作成し、ユーザーを楽しませています。

ですが、このようなコンテンツだけをみると*「ただ面白いだけだと成果には結びつかないのでは?」*と思う方もいるかもしれません。
チキンラーメンでは公式ホームページへの誘導や商品の売上といった点を成果として設定するのではなく、「いいね」や「コメント数」といったエンゲージメントを基本的な成果指標としておいています。

これは安価に手に入る消費財では、より多くのファンを作ることが大切であると言う考え方に基づいており、そのため投稿内容もファンにとって楽しい内容となっているのです。

チキンラーメンのようにエンゲージメントを重視する運営の場合、画像や動画などビジュアルに訴えかける投稿内容を行うのもいいかもしれません。

参考:
[チキンラーメンのSNSポリシー「勝負は1秒」――日清食品 | AdverTimes(アドタイ)] (https://www.advertimes.com/20130710/article120560/)

2.SNSだけでなく複数のチャネルを掛け合わせて活用する

チキンラーメンでは、CMではアプローチできない層にも接点を持つという意味でもSNS運営を行っています。
また、リアルとSNSをつなぐ工夫をしているのも特徴的な取り組みの1つでしょう。
過去に開催した「ひよこちゃんJAPAN TOUR」では全国を巡るひよこちゃんバスでFacebookページの告知をするだけでなく、Facebookページでもひよこちゃんバスの姿を投稿しました。

その結果、Facebookページの投稿を見て「どこに行けばひよこちゃんに会えるんだ」と全国各地のスーパーに多くの問い合わせが届きました。
このようにリアルとSNSでそれぞれのアプローチを行うことで、より大きな宣伝効果を生みます。SNS単体で考えるのではなく、複数のチャネルとの関わりを考えることでユーザーにとっても楽しめるようなイベントや施策を考え出すことができるでしょう。

参考:
[日清食品に聞く、「チキンラーメン」と「カップヌードル」のブランドカラーに合わせたコミュニケーション手法とは|MarkeZine(マーケジン)] (http://markezine.jp/article/detail/16584)

まとめ

「チキンラーメン」は昭和33年に発売されて以来、他のカップラーメンブランドにかき消されることなく長年愛され続けてきました。SNSでも長年愛され続けてきたブランドとして、一方的な情報発信ではない交流を続けてきたのが今日の成功の背景にはあるでしょう。

また、ソーシャルメディアポリシーを定め、SNSの活用方法について研修を行うなど、社内の意思統一もはかっています。こういった確固とした社内体制もSNS運営の土台となっているのかもしれません。

チキンラーメンでは、インスタグラムの運営も開始し、意欲的なSNS運営を続けています。
今後も、キャンペーン広告などの取り組みを注視してみるのもいいでしょう。

参考:
日清チキンラーメン|歴史とヒミツ
[日清食品に聞く、「チキンラーメン」と「カップヌードル」のブランドカラーに合わせたコミュニケーション手法とは (3/4)|MarkeZine(マーケジン)] (http://markezine.jp/article/detail/16584)