PCとインターネットは私たちの生活を大きく変えましたが、マーケティングの世界においてもそれは例外ではなく、すでに「インターネットリサーチ」抜きに現在のマーケティングを考えることはできません

インターネットリサーチはほかの調査に比べ、低コストで実施でき、かつ結果も非常に早く出る利点があり、多くの企業が新たなプロジェクトの立ち上げや、商材・サービスの開発に活用しています。

今回は、これからインターネットリサーチの活用を考えている人たちに向け、基本的な手順を株式会社インテージの長崎貴裕が解説します。

◆Profile
長崎 貴裕(ながさき・たかひろ)

株式会社インテージ 執行役員 開発本部長
株式会社インテージホールディングス R&Dセンター長
株式会社IXT(イクスト) 代表取締役社長 

  

インターネットリサーチの特徴

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本項ではインターネットリサーチの典型的な例として、ネットリサーチモニターを対象にしたアンケート調査をもとに説明します。

●ネットリサーチモニターとは

調査会社から依頼されたネット調査に回答する人たちのことで、基本的には、PCやスマートフォン、タブレット端末などを使用し、WEB上でアンケートに回答します。

調査会社は、それぞれ数十万人から数百万人のモニターを保有しています。その属性(年齢、性別、職業、未既婚、居住地、年収、趣味嗜好など)はデータベース化されており、属性をもとにアンケート対象を選ぶことや、アンケートで質問した内容をもとに次のアンケート対象を選ぶスクリーニング調査なども可能です。しかし、ネット利用者だけを対象とすることで偏りが出る項目には注意が必要です。
  

インターネットリサーチ会社の選定

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インターネットリサーチは主に以下のステップに沿って実施されます。

(1)調査企画
自社で行う場合は、ほかの調査を参考にするか、専門知識を持ったスタッフの助力を仰ぐ必要があります。

(2)調査票作成
社内に十分なノウハウがある場合を除き、調査会社へ委託することが望ましいでしょう。調査票の内容によっては調査結果の信頼性を損なう恐れがあります。

(3)調査の実施、集計
調査会社が提供しているツールを使うことで、「単純集計」や「クロス集計」なども手軽に確認できます。が、複雑な集計や多変量解析が必要な場合には、調査会社への委託をオススメします。

(4)報告書作成
調査結果を十分に活用し、社内の工数を節約するためには、調査会社のノウハウを活用すべきでしょう。ただし、依頼する際には報告書の視点や体裁を事前にしっかりと打ち合わせておくことが肝心です。

これらのステップのいずれかを調査会社に委託するわけですが、どの範囲を委託するかによってコストは大きく変動します。そのため調査会社の選定にあたっては、品質や価格、得意分野などを十分に考慮しながら、委託する調査の範囲を決めていく必要があります。

なお調査費用は、質問数×回収(回答者)数、および依頼範囲によって決まりますが、見積りの基準は各社様々なので、確認は綿密に行いましょう。予算と調査費用が乖離する場合は依頼範囲や調査設計を見直す必要が生じます。