PCとインターネットは私たちの生活を大きく変えましたが、マーケティングの世界においても例外ではなく、すでに「インターネットリサーチ」抜きに現在のマーケティングを考えることはできません。費用も数十万円からと非常にリーズナブルに実施できるため、多くの企業が新たなプロジェクトの立ち上げや、商材・サービスの開発の際に活用しています。

さらに、インターネットリサーチを取り巻く環境はスマートフォンの急速な普及によって、様々な問題が生まれるとともに、従来では不可能だったデータの取得もできるようになっています。

そこで今回は、スマートフォンがインターネットリサーチへもたらした影響について、株式会社インテージの長崎貴裕が解説します。

◆Profile
長崎 貴裕(ながさき・たかひろ)

株式会社インテージ 執行役員 開発本部長
株式会社インテージホールディングス R&Dセンター長
株式会社IXT(イクスト) 代表取締役社長 

  
参考:
インターネットリサーチの変遷 ~ インターネットが大衆化し始めた1990年代後半からスマートフォンが普及した現在まで ~|ferret

【最新版】2016年のスマホ普及率を男女・地域・年代別に大公開!まさにスマホオンリー時代!マーケティングがこれからどう変わるべきか予想してみた。
  

ネット調査の主流はPCからスマホへ ~ "幸せな10年"の終焉 ~

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技術革新によりマーケティングリサーチの手法は大きく様変わりしています。さらに直近数年間に目を向けると、インターネット利用デバイスの主流がPCからスマートフォン、タブレットへと急速にシフトしています。これによりインターネットリサーチは、再び大きな転換期を迎えています。

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[引用元:スマートフォンの世代別普及状況|総務省「通信利用動向調査の結果」より](http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/160722_1.pdf):blank
  

スマートフォンの利用割合は高齢者を除く、全ての年齢層において増加傾向にあります(図表)。

このようにデバイスが分散・多様化することはインターネットリサーチにおいて新たな問題を発生させており、私たちが「幸せな10年」と呼んでいた状況はとうとう終焉を迎えてしまいました。

スマートフォンがインターネットリサーチにもたらした影響はたくさんありますが、その中でも厄介なのが、画面インターフェースがPCとは大きく異なる点です。スマートフォンの画面はPCに比べて見える範囲が狭いため、スクロール操作が多く必要となり、さらに文字入力にも時間がかかります。入力時のこうしたストレスによって、同じ調査を行っても、PCとスマートフォンでは回答に大きな差が出ることが明らかになっています。