都議会議員選挙は1000万人を超える有権者を抱える首都東京で開催されることもあり、国政選挙の先行指標となってきました。
2017年7月2日に行われた都議会議員選挙は、それまで第1党であった自民党と小池百合子都知事が代表を務める都民ファーストの会が対決姿勢にあったことで、注目されていた方も多いのではないでしょうか。

今回は、小池百合子氏及び都民ファーストの会が用いたマーケティング手法を解説します。
実は、小池百合子氏と都民ファーストの会は、マーケティングの手法を駆使してアプローチを行っていました。
企業のマーケティング活動に通じるものも多く、1種の事例として参考になるでしょう。

参考:
[社説:小池都政と東京都議選 争点は築地だけではない|毎日新聞] (https://mainichi.jp/articles/20170624/ddm/005/070/059000c)

小池百合子氏/都民ファーストの会が用いたマーケティング手法

2017年7月2日に行われた東京都都議会議員選挙は、2013年にネットでの選挙活動が解禁されて以降初めての都議会議員選挙となりました。

SNSでの情報発信やメールマガジンの配信など、今までになかった情報発信が行われるようになったことで、有権者にとっても政治への情報にアクセスしやすくなったと言えるでしょう。

では、小池百合子氏と都民ファーストの会は、どういったマーケティング手法を利用することで、50もの議席を獲得できたのでしょうか。
3つの手法と、取り組みのポイントを解説しましょう。

参考:
[インターネット選挙運動の解禁に関する情報|総務省] (http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10.html)

1.SNSを活用した情報発信

小池百合子氏は都知事就任後からFacebook・TwitterなどのSNSを活用し、情報発信を行ってきました。

【小池百合子氏のSNSフォロワー数】 ※2017年7月3日現在
 Facebookフォロワー数:137,443
Twitterフォロワー数:393,022
インスタグラムフォロワー数:11,600

上記のように、それぞれのSNSで多くのユーザーにフォローされているだけでなく、他の政治家ではあまり取り組んでいないインスタグラムを利用しているのも特徴です。

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こちらのグラフは、インスタグラム分析ツール「ナビスタ」を利用した小池百合子氏のインスタグラムアカウントのフォロワー推移を表したものです。

女性ユーザーの割合が多いインスタグラムは小池百合子氏の支持層にも合致しているためか、フォロワーが安定して増加傾向にあるのがわかるでしょう。

また、小池百合子氏だけでなく、都民ファーストの会から出馬した候補者もSNSを積極的に活用しています。

例えば、都民ファーストの会から出馬した木下ふみこ氏のTwitterでは、上記のように「#(ハッシュタグ)」を表記することで、ユーザーが検索を行った際にもツイートを見つけやすくしています。
東京都は、日本国内でもっともネットの利用率が高く、こういったネットでの情報も有権者にとっては判断材料になります。
情報を見つけやすくしておくことで、自身の政策をより多くの有権者に届けられるメリットがあるでしょう。

参考:
平成28年版 情報通信白書|インターネットの普及状況| 総務省

2.イメージカラーによるブランディング

都民ファーストの会が緑色をイメージカラーとして用いていることはご存知でしょうか。
これは小池百合子氏が都知事選以降用いているイメージカラーであり、都議会議員選挙でも徹底して緑色が使われました。

選挙ポスターや選挙カー、のぼりの色はもちろん、小池百合子氏が身につけるスーツやマイクまで一色で統一されています。
主要なマスコミも政党を表現する際に緑色を使用していることからも、政党カラーとして定着しているのが伺えるでしょう。

色は企業のコーポレートアイデンティティを構成する重要な要素の1つです。
2017年3月にはセブンイレブンのカラーリングが商標として認められるなど、市場の中での価値も認められるようになってきました。

政治経験が浅く、無名な候補者でも、色を見るだけで都民ファーストの会からの候補者であることが一目でわかります。
街頭演説で注目を集めるだけでなく、投票会場に掲示される選挙ポスターの中でも色から政党を思い起こさせる効果が見込めるでしょう。

参考:
2017都議選|NHK選挙WEB
都議選ライブ|日本経済新聞
[企業の顔となるコーポレートアイデンティティの重要性を解説|ferret [フェレット]] (https://ferret-plus.com/1775)
[「色だけ商標」第1号、セブンやトンボ消しゴムに|日本経済新聞] (http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H29_R00C17A3PP8000/)

3.キャッチコピーを活用し、政策の要点を説明

選挙ポスターや選挙カーでの街宣は短いフレーズで有権者にアピールする必要があります。
小池百合子氏は、自身の政策においても短いフレーズでコンセプトを説明してきました。

例えば、政党名にもなっている「都民ファースト」は東京都民の生活を重視する姿勢を表しています。また、築地市場の移転問題にあたっては「築地は守る、豊洲は生かす」というキャッチコピーを用いました。

これらのキャッチコピーはマスコミにも取り上げられ、有権者にとって政策を理解するきっかけとなっています。
都議会選挙においても「東京大改革」「ふるい議会を新しく」といったキャッチコピーを用いて、政党のコンセプトをわかりやすく有権者に訴えかけました。

参考:
[小池知事:「築地は守る、豊洲を生かす」 会見詳報|毎日新聞] (https://mainichi.jp/articles/20170621/k00/00m/040/084000c)
[小池都知事「築地は守る、豊洲は生かす」 会見要旨|日本経済新聞] (http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB20HDP_Q7A620C1000000/)

まとめ

小池百合子氏と都民ファーストの会は、様々なマーケティング手法を駆使することで、都民へのアプローチを行ってきました。
消費者行動フレームワークの代表例であるAIDMAにも当てはめて考えると、それぞれの手法が有権者に対してどうった効果を持っていたのかわかりやすいでしょう。

Attention:注目、商品やサービスについて知る=キャッチコピーにより政策に注目が集まる
Interest:興味を持つ=興味を持った有権者が、ハッシュタグを用いて候補者のSNSアカウントヘすぐさまアクセスできる
Desire:欲しいという欲求=SNSのフォローなど候補者への支持
Memory:記憶=イメージカラー「緑」と都民ファースト候補者への結びつけ
Action:購買行動=実際の投票行動

このように小池百合子氏と都民ファーストの会が用いたマーケティング戦略は、有権者自身が投票するまでのそれぞれの段階に対してアプローチが行えていることがわかるでしょう。
政治が政策を評価されるように、企業は商品・サービスで消費者から評価されます。ですが、こういったマーケティングの手法を用いることで商品・サービスの訴求力高められるでしょう。