中小企業や個人が、インターネットを介して投資家から資金を集める仕組みが「ソーシャルレンディング」です。近年盛り上がっている、「クラウドファンディング」の1ジャンルとして注目を集めています。

少額から資金を集めることができ、新規サービスやプロジェクト立ち上げの新しい資金調達方法として期待されています。インターネットを介して個人投資家からの融資が受けられるため、スピーディな資金調達ができるのも魅力です。

今回は、「ソーシャルレンディング」を使うメリットや、従来の資金調達方法との違い、発生しうるリスクをご紹介します。日本国内で展開しているソーシャルレンディングサービスについてもまとめました。

ソーシャルレンディングとは?

ソーシャルレンディングは、「貸付型(融資型)クラウドファンディング」と言われるように、クラウドファンディングサービスの1つです。クラウドファンディングといえば、商品やサービスなどをリターンにする「購入型」が一般的ですが、ソーシャルレンディングは金融商品を扱うサービスです。

中小企業やスタートアップ企業などの資金調達に利用されることが多く、投資家(個人)と企業の間で匿名組合契約を結んで出資します。匿名組合は、匿名組合員(投資家)が営業者(ソーシャルレンディング)のために出資を行い、その営業によって得た利益の分配を約束するという契約です。そのため、ソーシャルレンディングの営業者は貸金業や金融商品取引業として登録する必要があります。

参考:
資金調達だけじゃない!「クラウドファンディング」の使い道と主要サービスまとめ

個人投資家へのメリット・デメリット

個人投資家は、ソーシャルレンディングを利用することによって、最小1万円から少額で企業へ出資することができます。また、およそ5~10%前後と比較的高い利回りで運用できるのもメリットです。また、先に紹介した匿名組合契約を結んでいることによって、出資先に名前を知らせる必要がないといったメリットもあります。

一方で、デメリットもあります。中小企業やベンチャー企業への出資ということから、貸し倒れのリスクが高いことが挙げられます。大手企業と比較すると事業が失敗し倒産するリスクが高いためです。元本保証もありませんので、十分に検討して出資を行う必要があります。

銀行融資と比較したときのメリット

企業が融資を受ける際、ソーシャルレンディングと比較されやすいのが銀行からの融資です。特に創業して期間の浅いベンチャー企業は銀行から融資を受けにくいと言われています。また、少額の資金調達を行いたい場合も銀行の場合融資を受けるハードルが高いです。

一方で、ソーシャルレンディングの場合、事業の収益性の高さや資金繰り状況などが判断基準となり、審査を受け、融資の承認がされればすぐに資金を調達できるのが特徴です。その為、財務面で全く問題なくとも融資が受けられないという企業にとっての資金調達方法として注目されています。

企業にとってのリスクや課題

創業間もないスタートアップベンチャー企業など、銀行からの出資を受けられない事情のある企業にとってソーシャルレンディングは非常に便利なサービスです。しかし、リスクもゼロではありません。

先に、投資家にとっての利回りの良さを紹介しました。つまり、裏を返せば企業が借入を行う際の金利が高価ということになります。そのため、長期的な借入ではなく、事業のスタート資金として短期的な目的で利用するのが一般的な使い方と言えるでしょう。

また、ソーシャルレンディングは、近年認知されはじめたばかりのクラウドファンディングです。購入型クラウドファンディングなどと比べれば、リターンも確実に保証されていないことから不安を感じる投資家が多いのも事実です。

しかし、返済実績や厳格な審査を公表しているソーシャルレンディングサービスもあるため、今後の活性化が期待できるでしょう。

では、次に日本国内で主要なソーシャルレンディングサービスをご紹介します。

ソーシャルレンディングサービスまとめ3選

1.maneo(マネオ)

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maneo(マネオ)

「maneo(マネオ)」は、2008年から運営を開始した、日本初のソーシャルレンディングサービスです。maneoでは、出資先の企業に対して厳格な審査を行っているのが特徴です。「決算書」「事業計画書」「資金繰り表や担保 保証の有無」などの審査を行ったのちに可否を行っています。

また、maneoは、企業は資金の使い道(事業内容)をホームページ上で公開し、出資を募っている点も特徴と言えるでしょう。用途が明らかにされるため、投資家も出資が行いやすいよう配慮されています。

2.SBIソーシャルレンディング

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SBIソーシャルレンディング

「SBIソーシャルレンディング」は、様々な金融商品サービスを取り扱うSBIホールディングスのグループ企業です。証券やネットバンクといった事業の実績から信頼性の高いサービスと言えます。

ソーシャルレンディングサービスは、「SBIオーダーメード型ローン」という商品を取り扱っています。これは、企業の審査後に個別にヒアリングを行って融資条件を決定するサービスです。利用を検討しているのであればホームページから問い合わせを行ってみましょう。

3.AQUSH

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AQUSH

「AQUSH」は、2009年に設立したソーシャルレンディングサービスです。中小企業の応援に意欲的な姿勢を示しており、出資を受けたい企業は不動産への担保設定によってサービスが利用しやすい仕組みです。

また、融資期間は原則として36ヶ月間に設定されており、定額返済をはじめ借り手企業の環境に応じて様々な返済方法に対応しているのも特徴と言えるでしょう。

まとめ

サービス開発やプロジェクト立ち上げなど新規事業をはじめるときの資金調達方法として注目される「ソーシャルレンディング」。スタートアップ企業など、銀行からの融資が受けられない企業などで活用できるのが特徴です。

もちろんメリットだけでなく、事業失敗や倒産によるリスクもあります。そのため、ソーシャルレンディングの中には事業計画の厳重な審査を設けていることが多いです。

上記を踏まえた上で新規事業への資金調達を考えているのであれば、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。