なぜストーリーテリングが注目されているのか?

2016年前後を境に、従来のシリコンバレー発祥のエレベーターピッチ型のホームページよりもストーリーテリングが注目されるようになったのは、物語には*「WHY」*があるからです。

それを簡潔に説明しているのが、マーケティングコンサルタントのサイモンシネック氏です。
彼は、TEDトークや著書において、2000年代にAppleがなぜMicrosoftを凌駕したのかを*「ゴールデン・サークル」*を使って説明しています。

例えば、もしもAppleがゴールデンサークルの外側から説明しているのであれば、このように説明するだろうとシネックは想像しています。

われわれは、すばらしいコンピュータをつくっています。
美しいデザイン、シンプルな操作法、取り扱いも簡単。
一台、いかがですか?

▲ 『START WITH WHY』(2011)より引用

それに対して、WHYから始めたときには、次のようになるでしょう。

現状に挑戦し、他者とは違う考え方をする。それが私たちの信条です。
製品を美しくデザインし、操作法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています。
その結果、すばらしいコンピュータが誕生しました。
一台、いかがですか?

▲ 『START WITH WHY』(2011)より引用

比べてみると分かりやすいのですが、エレベーターピッチ型のホームページは、シンプルな反面、機能面やサービスの違いばかりを説明しがちで、なぜその製品を使わなければならないかの説得力に欠けることがあります。
例えば、「ToDoリスト」アプリであれば、「他よりこんなことができます!」と機能面を説明したところで、そのアプリよりも高機能なものが現れてしまえば、ユーザーはそちらに簡単に乗り移ってしまうのです。

一方、ストーリーテリング型のホームページでは、ビジョンや進むべき方向性が「物語」という具体例によって分かりやすく具現化されます。
極端な例ですが、桃太郎の寓話を箇条的に並べても感動やインパクトに欠けますが、物語として語ることで、鬼ヶ島へ鬼退治にいくというビジョンのもと、さまざまな動物が桃太郎についていくという話がすっと入ってきます。
物語を通して語ることで、「何をしているか」以上に、その背後にある「なぜそれをしているのか」が明確にユーザーに伝わり、共感を得やすくなるのです。

まとめ

近年ストーリーテリング型が注目を集めているのは、ストーリーテリングがブランドイメージを伝えるのに非常に効果的な方法だからです。

ストーリーテリングが冗長になってしまうのではないか、という懸念を抱く前に、まずは自身の「WHY」を見つけ出して、語りかけるところから始めてみてはいかがでしょうか。