利用者と接触するためのチャネルの1つとして、SNSは無視できない存在になりました。
SNSの中でも、特に日本国内で高い人気を誇るのが*「Twitter」*です。

月間利用者数は4,000万人を超えており、世界的にもトップクラスの増加率を維持しています。
災害時のライフラインとしての利用も定着しており、いまやインフラとして機能しているTwitterは、ビジネス活用も当たり前になっています。

ただ、企業のSNS担当者の中には**「若者がメイン利用者だから、低単価のものしか受け入れられない」**というイメージを持たれている方が多いかもしれません。
確かにTwitterでは食品メーカーや若年層向け商品のプロモーションが多くあるようですが、実はそれ以外の分野でも成果を期待できます。

今回は、Twitter Japan株式会社監修 のもと、最新のTwitterの利用状況データと、パナソニックのTwitter活用事例をご紹介します。
SNSプロモーションを検討されている方はチェックしておきましょう。

日本のTwitter利用状況(2017年最新版)

まず、国内のTwitter利用状況を見てみましょう。
2017年7月現在、Twitter利用者数は4,000万人を超えています。

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年齢別でみると、「30代以上」の利用者が過半数を占めています。
若年層は活発にツイートや他利用者とのコミュニケーションを図る一方、30代以降の利用者はツイートよりも検索や情報収集用にTwitterを使っている方も多く、表面的には「若年層のSNS」に見えるということでしょう。

8割の人が、「商品購入前にTwitterで検索した経験あり」

広告や店頭で商品を認識し、気になったらまず検索し、口コミや商品情報を確認してから購入し、購入後は感想をSNS上でシェアする。
現在、ほとんどの方が一度はこのような購買行動を経験しているのではないでしょうか。

従来はGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用した検索行動が一般的でしたが、SNSが普及した今、特にTwitter上での検索行動が伸びてきているようです。

Twitterはさまざまな視点の意見や本音を拾える機会が多く、商品を購入しようか検討している方にとっては有益な情報を得られる場になっているようです。
そのような声を収集できるTwitterは、口コミ検索ツールとしての側面もあり、Twitter上での会話により情報が広まる特徴があります。

・幅広い年齢層に利用されている
・商品購入前の情報収集に利用されている

この2つの事実から、Twitter上でのプロモーションはあらゆる企業が活用できる可能性を秘めていると言えるでしょう。

Twitterプロモーションで15万人以上のフォロワーを獲得したパナソニックの事例

では実際に、一見するとTwitter向きではないように思える家電製品を扱うパナソニック株式会社のTwitter運用事例を見てみましょう。

パナソニックは2013年にTwitterアカウントを開設して以降、オーガニック投稿やプロモツイートの活用は行っていましたが、能動的にフォロワーを獲得する施策は大々的には行っていませんでした。そこから、昨年クリスマスにTwitter Japanが実施した*「クリスマスボックス」*(Twitter Japan企画のキャンペーン。対象アカウントをフォローし対象ツイートをリツイートすることで、抽選でクリスマスプレゼントが当たる。)キャンペーンに参加、フォロワーが4万人から20万人にまで急増しました。

クリスマスボックス終了後もプレゼントキャンペーンを続け、テストを重ねながら施策内容の最適化を図っているようです。

Twitterでどのような施策を実施してきたのか、パナソニック株式会社の鐵氏、アカウントの運用を担当された株式会社メンバーズ小林氏、Twitter Japan株式会社の岡田氏に伺いました。

Twitter活用を強化しようと思ったのは「従来のやり方ではリーチできない方が増えた」から

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左から
・Twitter Japan株式会社 テクノロジー&通信業界担当クライアントアカウントマネージャー 岡田彩恵子氏
・パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 コミュニケーション部 鐵祐子氏
・株式会社メンバーズ 第3ビジネスユニット アカウントサービス第2ユニット ユニットプロデューサー兼エンゲージメントラボ所長 小林洋祐氏

ferret:
最初に、なぜTwitter施策を強化することになったのか、経緯を教えてください。

パナソニック鐵氏: 
パナソニックはこれまで様々な広告媒体を利用してきましたが、リーチできない層が増えてきたと感じていました。スマートフォンを使う利用者が増えたことによって、さらにSNSが広がったことから、*「SNSに長く滞在する利用者層」*が一定数存在しているんですよね。

特に若年層の利用者は従来のチャネルだけでは接触できなくなっていると感じていて。
若年層によく利用されているTwitterを活用できればリーチできると考えました。

Twitterアカウント自体は2013年から保有していたんですが、それほど活用してはいませんでした。でもそろそろ活用しなければいけないと感じ、SNS運用をお任せしているメンバーズさんに相談して施策を開始しました。

ferret:
国内で人気のSNSは様々ありますが、Twitterに注力された理由はなんでしょうか?

メンバーズ小林氏:
Twitterは、利用者の声が拾いやすく、マス広告の反応がすぐにわかるんですよね。
特にテレビとの親和性が高いです。
テレビを見ながらTwitterを使う利用者が多いので、例えばテレビCMを流した直後にTwitterでエゴサーチをかけると、すぐに利用者の反応を見られます。あと、人気のドラマやテレビ番組でパナソニック製品が使われることが予めわかっている場合、リアルタイムで商品情報を流しています。

Twitterキャンペーンで高い効果を得るコツは「わかりやすさ」

ferret:
年末の「クリスマスボックス」施策で一気にフォロワーが増えたようですが、クリスマスボックスを実施すると判断された理由はなんだったのでしょう?

鐵氏:
昨年の秋頃にTwitterさんから提案されてその存在を知りました。
フォロワー獲得に非常に効果的なことと、Twitterの公式アカウントでも出稿企業のキャンペーン情報を広告されることが実施の決め手になりましたね。

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Twitter岡田氏:
クリスマスボックスキャンペーンはプレゼントキャンペーンであり、利用者は毎日、繰り返し参加できるので、リピート率が非常に高くなります。

また、クリスマスボックスに参加した利用者のフォロワーが、リツイートされた内容を見て新たに参加することも多いので、高い副次効果が期待できます。特に年末はイベントが多く、利用者のモチベーションも通常時より高い傾向にあるので、通常のフォロー&リツイートキャンペーンより良い結果が出るケースが多いですね。

ferret:
クリスマスボックスを実施する際はどのような点に留意されましたか?

鐵氏:
それまでクリスマスボックスのような、多くの企業アカウントが同時に参加する企画には参加したことがなかったので、他社の初動を参考にして、日々投稿内容やタイミングを見直して最適化を図りました。約1ヶ月とキャンペーン期間が長かったのでできたことだと思います。

小林氏:
例えば投稿文は長文をだらだら書くのではなく、箇条書きや段落を適宜入れて見やすくしたり、文頭にハッシュタグを持ってきてタイトルのように見せたりなど、内容が一目でわかるような形式にした途端、反応率が大幅に上がりましたね。

動画も、長すぎると見られないので全て30秒前後になるよう調整しています。

Twitterの場合、わかりやすく、カジュアルな内容が好まれる傾向にあるようなので、ふざけすぎないようにバランスをとりながら内容を最適化していきました。

とにかくTwitterでは直感的なコミュニケーションが好まれる傾向があることがこのキャンペーンを通して認識できましたね。

  • 冒頭に絵文字とキャッチを入れたことで、目を引くテキストになっている。
  • 参加方法が箇条書きで記載されており、気軽に参加しやすい。

鐵氏:
クリスマスボックスを実施した結果、約4万人だったフォロワーが20万人に増えました。
フォロワー獲得数をメインのKPIにしていたのですが、予想をはるかに上回る効果が出ましたね。

クリスマスボックス後も、フォロー&リツイートキャンペーンは継続して実施

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パナソニックのフォロー&リツイートキャンペーンカレンダー

ferret:
クリスマスボックス後も継続してTwitter上で、フォロー&リツイートキャンペーンを実施されていますよね。
どのような理由から継続されているのでしょうか。

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鐵氏:
引き続き新規のフォロワーを獲得したいのと、クリスマスボックスで大幅に増えたフォロワーさんたちに弊社の商品を認知してもらいたいというのが理由です。クリスマスボックスで培った投稿ノウハウを活かしつつ、季節に合わせた商品選定や、動画で紹介することでより商品を理解していただきやすいように工夫しました。

  • 3月には 「新生活」と時事性の高いキーワードを入れ込んだキャンペーンを実施。
  • 動画で商品紹介することで視認性を高め、より理解されやすい投稿内容に

フォロー&リツイートキャンペーンの一環で、ワイヤレスヘッドホンの商品情報を拡散したとき、同じタイミングでネットでの売り上げが約120%程度増加しました。Twitterの他には広告は出稿していなかったので、Twitterキャンペーンで商品を知って、ネットでの購入に至ったのではないかと考えています。
プレゼントキャンペーンを行うことで、単にリツイートしていただくだけでなく、商品を認知し購入に至るまで消費者行動を変化させることもできるんだと実感しました。

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マス広告だけではリーチできない層と継続的にコミュニケーションをとって、彼らのニーズが顕在化した時にパナソニックの商品を選んでもらう、そのような流れを期待しています。

Twitterはもはや「インフラ」

ferret:
実際にTwitterを運用してみてどのように感じたか、率直なご意見をお願いします。

鐵氏:
Twitterは投稿内容から若年層に利用されているイメージが強かったのですが、自社の利用者との乖離もそれほど感じてはいません。また、面白い投稿にしか反応されないのかと思っていましたが、電気製品の正しい使い方やリコールなどのサポート情報もあまりネガティブな印象ではないようです。フォロー&リツイートキャンペーンの反応として、ありがたいことに*「当たらなくても買う!」*と利用者さんのツイートも一定数ありましたしね。

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Twitterは継続して利用することで利用者とのコミュニケーションを深めていくことができるし、投稿内容をしっかり精査すれば炎上することもネガティブな意見をもらうこともほとんどありません。

小林氏:
Twitter上でのプロモーションというと、バズを狙うことが定石のようになっていますが、それだけが正解ではありません。*一発花火だけを狙うのではなく、日々の運用でフォロワーを増やし、中長期的な効果を見込む。*その方が再現性があって確実ですよね。

鐵氏:
Webサイトを運用することはもはやどの会社も当たり前のように行っていますが、Twitterも同じだと捉えています。日本国内は利用者数も多く、もはやインフラ的な役割を担っていると感じているので、引き続きフォロワーの皆さんに楽しんでいただけるようなキャンペーンや生活の役に立つ情報が発信できるような運用をしていきたいと考えています。

まとめ

パナソニックは、Twitterのクリスマスボックスを通じて多くのフォロワーを獲得し、その後も定期キャンペーンを通して継続的にコミュニケーションを取っています。実は30代以上の利用者も多くパナソニック製品の購買層ともマッチしているため、ほぼ確実に潜在層にリーチできています。

先述したように、キャンペーン訴求した直後に売り上げが増加するヘッドフォンの事例もありますが、基本的には**「直接的な売り上げだけではなく、従来のチャネルだけではリーチできないTwitter利用者との接触」**に重きをおいているようです。

これは製品カテゴリとして比較的高単価な耐久消費財を提供するパナソニックだけでなく、Twitterをビジネス活用するすべての企業が心がけるべきポイントでしょう。逆にいえば商材の単価に関係なくビジネス活用できるということなので、「高単価だから」「相性が悪そうだから」という理由でTwitter活用していない企業は機会損失しているかもしれません。成功するためのコツは、クライアント・代理店・Twitter社で協力し、利用者視点でPDCAを回してキャンペーン運用することです。
利用者に対してどのようなコンテンツを提供すれば反応してもらえるか、ファンになってもらえるかを考え抜くことが重要です。

Twitterをビジネスとして活用していきたいとお考えの方は、以下より事例や活用のためのトピックをご覧いただけます。利用者としてのTwitter利用からビジネスとしてのTwitter利用も考えてみてはいかがでしょうか。