情報発信のハードルが下がり、企業がオウンドメディアを立ち上げることは、珍しいことではなくなりました。

Googleトレンドを見ていると、日本で「オウンドメディア」が検索され始めたのは、2009年10月頃。初めて登場してから10年弱が経過し、言葉として認知されるようになっています。

1つの言葉としてまとめられていますが、その運営方法やスタンスにもバラツキが生じ、多様化が進んでいます。その中でも、注目すべき兆候について今回は紹介していきます。
  

内製化の動きがある企業の情報発信

オウンドメディアを運営する企業は、編集や執筆といった作業を外注しているケースがほとんどです。

事業会社の内部に編集者やライターがいることは稀ですから、それも当然です。"社内にノウハウがないのに、情報発信の必要性は高まっている" のならば、外部の手を借りようということになります。

ただ、ここ1〜2年で新しい動きが出てきました。外部に依頼するのではなく、社内に経験者を配属し、メディアの運営やコンテンツづくりを行うケースが増えています。全てを内部で行う企業もいますし、重要な部分を内部で担当して、外部の協力を得ながら活動するケースもあります。

例えば、サイボウズが立ち上げた『サイボウズ式』、BAKEが立ち上げた『BAKE Magazine』、Sansanが立ち上げた『Business Network Lab』、メルカリが立ち上げた『mercan』等がそれに該当。経験者が社内のメンバーとして、運営するオウンドメディアの事例が増えてきています。

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インハウスで働くことは、他業種では珍しいことではありません。デザイナーには、デザイン会社で働きながらクライアントにデザイン力を提供するケースもあれば、事業会社に所属してデザイナーとして活躍するケースの両方が存在しています。

ユニークな点は、エディターのインハウス化が進んでいることです。

では、なぜエディターのインハウス化が起こっているのでしょうか。
  

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「インハウスエディター」は何を発信するのか

メルカリが運営する『mercan』が立ち上がった時期に、THE BRIDGEでこう紹介されています。

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事業広報のついでに人材もというのではなく、人材確保を主目的にそこからブランドメッセージを出すというアプローチはよく考えると理にかなってるね

引用元:人事がブランディングできるメディア「mercan」が新鮮だった件 #ivs|THE BRIDGE

IT企業が技術系のテックブログを運営し、エンジニアの採用を狙う動きはこれまでも存在していました。『mercan』は、エンジニアに焦点を絞るのではなく、より広く人事がブランディングをするためのツールとしてスタートしています。

採用は売り手市場となっており、企業は優秀な人材を、ミスマッチ少なく獲得していく必要が生じています。そのためには、自社のカルチャーを定常的に発信し、外部に自社の理解を広めていく必要があります。

"採用ブランディングやカルチャー、制度を伝えることを目的とし、コンテンツを作成する"
これはインハウスエディターに求められる役割の1つで、事実『mercan』は会社のカルチャーを就職希望者に伝える上で機能しているようです。

社員の友人を介して採用する際には効果が大きいと感じます。メルカリに少しでも興味を持ってくれた方に、社員からメルカンのURLを送るだけで、会社の雰囲気を伝えられる

引用元:採用オウンドメディアはやるべき?メルカリのコンテンツプラットフォーム「mercan(メルカン)」運営の裏側|UNLEASH

もちろん、採用以外を目的とするケースもあります。採用のほかには、コクヨの『ワークサイト』のようにリサーチを兼ねた情報発信を行っていたり、ステークホルダーとのネットワーキングを目的と据えるケースも存在します。
  

まとめ - なぜ「インハウス」である必要があるのか? -

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こうした情報発信は、なぜ「インハウス」である必要があり、外部からサポートを受けるというやり方では、どこに課題があるのでしょうか。

その理由は、内部だからこそ出せるスピードや情報の質にあります。外部から関わると、比較的に企業や事業に対する情報量や理解が不足しやすく、調整コストがかかり、スピード感をもって物事を進めることが難しくなります。

環境の変化が激しく、企業もスピード感をもって情報を発信していくことが求められる現代において、この課題は解消は必須。内部にエディターを配置することで、こうした課題が解決に向かいます。

内部の人間として活動することで、以下のような利点が生まれます。

・ 社内情報へのスムーズなアクセス
・ 会社や事業への深い理解
・ 知識やつながりなどの価値を社内に蓄積

「知識やつながりなどの価値を社内に蓄積」することも、内製化が進む大きな要因。主として編集に携わる人間が外部であれば、価値が外部に蓄積されることになってしまいます。内部に価値を蓄積するために、インハウスエディターが業務を担当することが望ましい。これは、以前にも触れていることです。

参考:
企業も社長も社員もメディア化!今求められる"情報発信力"の本質に迫る|ferret
  
実際にインハウスエディターに活躍してもらうためには、どうしたらいいのでしょうか。
今後、実際にインハウスエディターを採用している企業に話を聞いていきます。