生鮮食品や健康食品を取り扱う企業や化学物質の排出がある製造業の広報担当者にとって知っておきたい考え方の1つが「リスクコミュニケーション」です。
リスクコミュニケーションとは、企業が取り扱う商品や製造の過程において発生するリスクについて、顧客や取引先を含む関係者間で情報や意見を共有し、合意をはかる取り組みを指します。

今回は、リスクコミュニケーションとは何か、また、リスクコミュニケーションの方法を解説します。

土壌汚染や食の安全性などが注目されるなか、社内でリスクマネジメントを行うだけでなく、消費者へ向けたリスクコミュニケーションも求められます。
ぜひこの機会に基本的な知識を学んで業務に活かしましょう。

リスクコミュニケーションとは

リスクコミュニケーションとは、企業が顧客や取引先、地域住民、行政といった関係者(ステークホルダー)とリスクに関する情報共有や意見交換を行い、合意をはかる取り組みを指します。

例えば、食品加工工場の場合、食品を加工する際に生ゴミを廃棄することがあるでしょう。生ゴミからは有害な菌や悪臭が発生する可能性があります。
こういった自社が取り扱っている商品や製造の過程において発生するリスクについて、住民説明会を開いたり、Web上で事前に情報発信を行ったりといったコミュニケーションをとることが企業には求められます。

特に消費者が口にする食品や、工場が排出する物質による人体への健康被害などのリスクは必ずしもなくすことはできません。そのため、関係者間でリスクについての情報を共有し、合意をえておくことが重要視されるのです。

参考:
[食品の安全に関するリスクコミュニケーション|厚生労働省] (http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/riskcom/01.html)
[食品に関するリスクコミュニケーション研究会|消費者庁] (http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/risk_commu_workshop.html)
[食品安全に関する取組|消費者庁] (http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/)

リスクコミュニケーションが取られている分野

では、リスクコミュニケーションがより強く求められる業種にはどういったものがあるのでしょうか。

製造業・加工業

製造業や加工業における工場では、製造の段階で化学物質の排出が行われることがあります。それだけでなく、工場で発生する騒音被害や従業員の通勤に伴うトラブルも予測できるでしょう。

社内ではリスクだと思われていないことであっても、周辺の住民にとっては危険を感じている場合もあります。工場から排出される化学物質がたとえ人体や環境への影響はほとんどないものであっても、それを住民に伝えていく姿勢が求められるでしょう。

参考:
[今なぜ地域との対話が必要なのでしょう? |METI/経済産業省] (http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/risk-com/r_why.html)

健康食品を含む食品

野菜や肉、魚などの生鮮食品や健康食品にもリスクがあります。
特に健康食品の場合、実際には有効性が証明されていない商品であっても、特定の病状に効果があると消費者が認識してしまっている場合もあります。

また、商品によっては、他の医薬品と併用すると医薬品の副作用が強まってしまうものや、大量に飲用すると有害な影響をもたらすものもあるでしょう。

そういった食品のリスクは事前に消費者に伝える必要があります。加えて、アレルギーのような体質によって発症するリスクに関する情報も表示するように心がけましょう。

参考:
[平成25年度「健康食品」に関するリスクコミュニケーション資料 |消費者庁] (http://www.caa.go.jp/safety/health_riscomm.html)
[健康食品の実態と安全性・有効性|消費者庁] (http://www.caa.go.jp/safety/pdf/140218_risk1.pdf)

リスクコミュニケーションの方法

では、消費者や周辺住民とのリスクコミュニケーションを取るにはどういった方法があるのでしょうか。3つの主な方法を紹介します。

1.パブリックコメントの収集

Webや電話などで、消費者の意見や疑問を収集する方法です。
そのために相談窓口を設けたり、誰でも投稿しやすい問い合わせフォームを公式ホームページ上に掲載します。

2.専門家による意見交換会の実施

専門家による意見交換会を開くことで、商品や製造過程にどういったリスクがあり、どの程度の社会的な影響があるのか整理できます。
それだけでなく、意見会でどういった意見が出たのかを関係する周辺住民や消費者に伝えていくことも重要です。

その際には、専門家の意見をわかりやすく伝えられるよう専門用語を嚙み砕いて表現したり、図や写真を用いた資料を用意するようにしましょう。

3.メディア等での情報発信

自社の公式ホームページやプレスリリースで情報発信を行う方法です。
環境への取り組みを記載した環境報告書を発行したり、消費者や周辺の住民に対して工場見学の場を持ったりと言った広報活動によってもコミュニケーションがはかれるでしょう。

参考:
[リスクコミュニケーション国内事例 | 製品評価技術基盤機構] (http://www.nite.go.jp/chem/management/risk/kokunaijirei.html)
[リスクコミュニケーションってなに? |METI/経済産業省] (http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/risk-com/r_what.html)

まとめ

リスクコミュニケーションとは、企業が取り扱う商品や製造の過程において発生するリスクについて、顧客や取引先を含む関係者間で情報や意見を共有し、合意をはかる取り組みを指します。

健康食品を含む食品や、化学物質の排出がある工場のほか、消費者や周辺住民に対して何かしらのリスクがある企業にとっては覚えておいた方がいい概念でしょう。

リスクコミュニケーションをとるには、顧客や取引先、周辺住民などのステークホルダーとの対話だけでなく、メディア等への情報発信も求められます。Web上で環境報告書を公開したり、自社の商品に対して行っている取り組みを掲載したり、わかりやすい情報発信を心がけましょう。