近年、日本でも働き方改革が少しずつ前進しています。「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」も徐々に増えています。

これは日本に限った話ではありません。Global Working Survey 2017によれば、2014年以来、5,800件から11,300件にまでコワーキングスペースの数は倍近くまで増えており、2017年末には13,800件まで到達すると見込まれています。また、Business Insiderの取材によれば、世界中でコワーキングスペースを展開しているWeWork2018年初めには最初のオフィスをオープンし、それからできるだけ早く5〜6箇所を追加していく予定だとしています。

働く環境は、モチベーションに繋がる部分でもあり非常に重要です。環境を自由に選べるなかで多くの人が仕事場として選んでいるスペースは、仕事を快適に進めるためのポイントをおさえていると言えるでしょう。

今回は、海外で人気の5つのシェアオフィスが、人気を集めている理由を考えてみたいと思います。どうすれば仕事場を快適にできるか悩まれている方は是非チェックしてみてください。
  

こんなオフィスで働きたい!と思う海外で人気のシェアオフィス

  

1. Crew Collective (クルー コレクティブ)

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Crew Collectiveはカナダのモントリオールにあるメンバーシップ制のクリエイティブスペースです。併設されているカフェは誰でも利用することができ、コーヒーやランチ利用だけではなく、インターネットからのオンラインオーダーも受け付けています。

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ミーティングルームは12人まで収容でき、完全防音になっています。デイリー利用でもキッチンや休憩室(Chill Room)、バルコニーやバスルームまで利用することができ、平日は30カナダドル(約2,500円)・休日には20カナダドル(約1,700円)ですが、非常に人気だそうです。

スムーズに入れるように、オンラインでの予約も受け付けています。
  

2. Ministry of New (ミニストリー オブ ニュー)

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Ministry of Newは、インド・ムンバイにあるシェアオフィスです。2,200平方フィート(約700平米)の広々としたスペースは、新しいアイデアの着想を得たり、取り組んでいる仕事に没頭したりするのに最適です。

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オープンで白地の落ち着いたスペースながら、所々に植物やデザイン照明、本や雑誌が置かれており、それらが全体としてMinistry of Newの景観を作りだしています。

屋内と屋外をつないでいる通路や、併設されているカフェ「CAFÉ MONDAY」なども気分転換にオススメです。
  

3. WeWork Weihai Lu(ウィーワーク 威海路)

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WeWork Weihai Luは、中国・上海にあるWeWorkオフィスの中でも特にハイセンスなクリエイティブスペースです。もともとは、20世紀初頭に建てられたロンドンスタイルのマンションを改装しており、建物全体が1つの街のようになっています。

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中国でも日本と同じように2012年の段階でシェアオフィスが急速に増えており、2014年の段階で3,000を超えるシェアオフィスがありました。WeWorkでは上海に4箇所設置されており、新たに2箇所設けることがすでに発表されています。

プライベートオフィスプランは、1シート月額3,790円という価格破壊的な利用料金です。アーティストだけではなく、熱心な起業家やデザイナー、大小問わず様々な会社のビジネスパーソンが利用しています。
  

4. The Work Project Hong Kong(ザ・ワークプロジェクト 香港)

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The Work Projectは、香港とシンガポールに展開するコワーキングスペースです。木の素材を生かした家具が特徴的で、温かみを感じるオフィスになっています。

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座席数は262、ホットデスクは60、コラボレーションスペースは60箇所設置されており、フレッシュで高品質なオーガニックコーヒーを飲みながら仕事をすることができます。建物はGoogle、Alibaba、Facebook、Appleなどの香港支社の近くに位置しており、メンバーシップがあれば香港市内の20のレストラン、4つのジム、ホテルなど、そのほか多数のライフスタイルサービスを受けることができます。

月額45USD(約5,000円)で上海とシンガポールのどちらも利用できるプランも企画されています。
  

世界でますます広がるシェアオフィス、なぜこれほど人気が集まっているのか?

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WeWork Weihai Lu / スクリーンショット:2017年8月

かつてフランスの経済学者・思想家のジャック・アタリ氏が「21世紀の歴史」で予言したノマドワーキングとは対照的に、コワーキングスペースに集って仕事をしたいと考える人々の数が増えてきています。単に電源やWiFi環境があるだけではなく、人々はそれ以上のものを求めている傾向にあります。

ここでは、人気のシェアオフィスやコワーキングスペースに共通する2017年のコワーキングスペースの4つのトレンドを確認していきましょう。
  

1. グローバルワーキング&ニッチワーキング

近年、WeWorkをはじめとして、世界中で多店舗展開をするグローバルなコワーキングスペースが増えています。こうしたところにメンバーシップを置くと、世界中の系列オフィスで仕事をすることができるので、場所を問わず仕事ができると人気が高まっています。

一方、自分の拠点を持ち、地域の人々とビジネスを拡大していくニッチワーキングも同様に人気です。コワーキングスペースの最大の魅力はコミュニティ性にあり、普段であれば関わりのない職種の人々とコラボレーションできる点にあります。

日本でも、ツクルバが運営するco-ba*(2020年8月6日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*の会員であれば、全国に17箇所あるco-baオフィスを利用することができるサービスを始めています。
  

2. テナントの増加

フリーランスで働く人の数は、以前と比較すると増加傾向にあります。単純に考えると、そうした人々がシェアオフィスに入居すればするほど、狭くなったり場所がなくなったりするので、新たな場所の需要が生まれます。

日本のWeWorkの展開も早い段階で数カ所にまで広がると言われていますが、テナントの増加により、選べる選択肢が増えていきます。

日本では、日経が月額9,800円で複数個所のシェアオフィスを利用できるOFFICE PASSというサービスを始めました。系列店舗ではなくとも、24箇所のコワーキングスペースを利用することができるので、出張先や外出先でも気軽に立ち寄ることができるようになります。

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WeWork Weihai Lu / スクリーンショット:2017年8月
  

3. コミュニティとサービス

コワーキングスペースは、空間としての利用価値以外の付加価値がないと生き残れない時代になっています。

付加価値の1つはコミュニティです。すでに何度か言及していますが、日頃接点のないフリーランスやビジネスパーソンがシェアオフィスのコミュニティで化学変化を起こすことで、新しいビジネスが生まれることがあります。また、こうした化学変化を積極的に生み出すために、コワーキングスペースの中には定期的に交流会などのイベントを行う方もいます。

もう1つの付加価値は、サービスです。シェアオフィスの中には、ビジネスのコンサルティングを行ったり、ビジネスマッチングを積極的に行うものもあります。
  

4. 様々な職種の入居者

そして、コワーキングスペースをもっとも魅力的にしているのが、*「ひと」*です。もちろん、先ほどご紹介したようなコワーキングスペースは空間的な魅力を大いに出しているのですが、そこに様々な職種の人が集まるからこそ、働くのに多様性が生まれていくのです。
  

まとめ

こうしたコワーキングスペースは、フリーランスだけではなく、企業に属している方でも多様性を求めて入居するケースが多々あります。

今働いている環境に不満があるのであれば、シェアオフィスやコワーキングスペースを利用してみたり、それらの要素を自分の仕事場に取り入れてみてもいいかもしれません。