インバウンド需要や越境ECの普及など、日本国内から海外に向けて商品を販売する機会が一般的になりました。
特に、アジア圏でのビジネスを展開しようと考えている方もいるのではないでしょうか。

そこで、流通チャネルの開拓や販売に向けてのマーケティング施策など、海外展開に向けて模索する必要があります。
そこで、必ず発生するのが海外の卸先や、小売店とのやりとりです。海外で自社商品を円滑に販売するためには、海外の関係者との関わり方が重要と言えるでしょう。

契約など重要な業務ではメールや電話を用いるのが一般的ですが、*簡単な業務連絡ではメッセンジャーアプリを使うことで、気軽にやり取りが行えます。
*海外の中でも特にアジア圏の取引先と連絡する上で活用できるのが「WeChat」です。WeChatは中国で生まれたメッセンジャーアプリで「中国版LINE」とも呼ばれることがあります。

今回は、アジア圏で利用者の多いメッセンジャーアプリ「WeChat」の基本的な使い方と機能を解説します。

WeChat(微信)の基礎知識

WeChatとは?

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「WeChat」とは、中国の大手IT企業であるテンセント(騰訊)が手がけた、無料で利用できるメッセンジャーアプリです。iOSAndroid、Windows、Macなど各種OSに対応しており、デバイスを問わず利用できるのが特徴です。

国内で一般的なメッセンジャーアプリ「LINE」「Facebook メッセンジャー」などと同様に、テキストメッセージ・グループチャット・通話・ビデオ通話・音声メッセージなどの機能が搭載されています。

WeChatは、中国を始め、アジア圏での利用者が大部分を占めており、2017年8月に発表された決算資料によると月間のアクティブユーザーが9億9,300万人に達したとの発表があります。中国の人口が13.79億人ということを考えると非常に利用者の多いアプリと言えるでしょう。

もし、アジア圏の方々と連絡を取り合うのであれば、インストールしておくと円滑なコミュニケーションが取れるかもしれません。

参考:
腾讯公布 2017 年第二季度及中期业绩|Tencent(腾讯)

WeChatと微信(ウェイシン - Weixin)の違い

実は「WeChat」は、テンセントが手がける「グローバル向け」のメッセンジャーアプリです。中国国内では、「微信(ウェイシン - Weixin)」という国内向けアプリが提供されており、厳密には異なるアプリとして存在しています。

日本人が日本国内から中国の取引先へ連絡する場合、「WeChat」を利用して「微信」のユーザーへ発信するという仕組みです。

また、微信は中国にローカライズされたアプリなので、微信で利用できる中国語のニュースやスタンプはWeChatでは利用できないという違いがあります。基本的にテキストチャットや通話機能などは同じなので、利用する上問題になることはほぼ無いでしょう。

また、企業の公式アカウントとして運用する場合、一部機能が規制されているため「日本を含む海外アカウント→中国のアカウント」はフォローできるものの、「中国のアカウント→海外アカウント」のフォローはできないことがあります。そのため中国のユーザーへ向けた企業公式アカウントを日本で作るのであれば、「微信(ウェイシン)」に登録してアカウントを取得(要審査)する必要があります。

参考:
微信,是一个生活方式

WeChatでできることとは?機能を解説

WeChatで利用できる基本的な機能は下記の4つです。

・チャット(テキストチャット/通話/ビデオ通話/ボイスメッセージetc.)
・連絡先(連絡先の一覧)
・発見(連絡先の新規追加)
・本人(プロフィール設定etc.)

以上のように、基本的には国内で一般的なメッセンジャーアプリとスペックの差はほとんどないため、初めてでも簡単に利用できるでしょう。

WeChatの登録方法

次に、WeChatの登録方法をご紹介します。スマートフォンの場合、iOSであればApp Store、Androidの場合はGoogle Playから「WeChat」をインストールします。

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WeChatアプリを開くと、アカウント登録を求められます。アカウント登録には、電話番号が必要です。利用しているスマートフォンの電話番号を入力しましょう。

SMSから確認コードが届くので、入力ボックスにコードを入力し「送信」をタップします。

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次に、「声紋登録」を行います。これは、声を用いたセキュリティ技術です。番号が表示されるため、声に出して読み上げるだけでご自身の声紋を登録することができます。その際、街中など騒がしい場所で行うとエラーが表示されるため、なるべく音のない場所で行うことをオススメします。

登録後、ユーザー名を決め、電話番号から連絡先を自動的にインポートしたら設定完了です。既にWeChatを利用しているユーザーが連絡先に居れば、自動的に追加されます。

WeChatの基本的な使い方を解説

WeChatの基本的な使い方を解説します。既にLINEなどを利用されている方であれば、ほぼ迷うこと無く利用できるでしょう。

テキストメッセージ・通話・ビデオは「チャット」を利用

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アプリを開くとまずは「チャット」タブが表示されます。これは、チャットが一覧で表示される項目です。初回起動時は「WeChatチーム」という公式アカウントのチャットのみが表示されます。そのため、誰かに連絡したい場合は、画面下部の「連絡先」タブをタップします。

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「連絡先」では、アカウント登録時にインポートした連絡先が表示されます。連絡したい相手をタップすることでメッセージや通話を行うことができ、チャットタブにも会話履歴が表示されます。

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チャット中の画面は上記のようになっています。緑の吹き出しがユーザー自身で、白の吹き出しがチャット相手です。WeChatには標準でステッカー(スタンプ)が搭載されており自由に使うことができます。文字のみでは伝わりにくいニュアンスを表現するのに役立つでしょう。

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個別のチャット画面から「+(プラス)マーク」をタップすることで、通話やビデオ通話、ファイル送信、位置情報の共有などが行なえます。また、画面右上の人間のアイコンをタップすると、連絡している相手の情報を確認できます。

スパムアカウントなどは、この画面からミュート設定も行えるので万が一に備えて覚えておくと便利です。

連絡先の交換や追加は「発見」を利用

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WeChat内の「発見」タブは、連絡先の新規追加やその場で連絡先を交換したい時に利用する機能です。QRコードを送り合うことで連絡先の追加ができる他、スマートフォンを相手と同時に振ることで連絡先の交換ができる「シェイク」という機能があります。

また「近くにいる人」は、GPSを利用した近隣ユーザーを見つけるための機能です。GPSを許可して周囲の人と連絡が取れるのは便利ですが、無差別的に連絡することができるためビジネス用途としてはあまりオススメできる機能とは言えません。用途に応じて利用してみてください。

プロフィールや各種設定は「本人」を利用

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ユーザー情報の更新や、WeChat専用のIDを作るには「本人」タブをタップします。ここでは任意の名前やアイコンを設定することができます。また、連絡先を交換する際、「自分のQRコード」をタップすることで相手に自身の連絡先を伝えることができます。

まとめ

WeChatは、日本で一般的な「LINE」に非常に操作性が近いメッセンジャーアプリです。テキストメッセージや通話、ビデオチャットなどが利用できます。そのため、取引先が「WeChatを使っている」のであれば、活用するメリットは大いにあるでしょう。

また、日本から中国向けに広告出稿が行える企業向けサービスもあります。個人アカウントでは海外のクライアントとのやりとりを行い、企業アカウントではWebマーケティング施策としても利用するなど幅広い使い方ができます。

自社製品の海外展開を目指しているのであれば、連絡手段の1つとして利用してみてはいかがでしょうか。