「QRコード決済」がコンビニエンスストアや小売店にて急速に広まり始めています。これは、店頭で表示される決済用QRコードを、ユーザーがスマートフォンで読み取ることで決済完了する仕組みです。

例えば、楽天やLINEといった大手IT企業で展開されている他、ベンチャー企業Origamiも「Origami Pay」といった独自のサービスを展開し話題を集めています。

今回は、日本国内で新たな決済手段として盛り上がりを見せている「QRコード決済」について解説と、主要サービスをご紹介します。

追記(2018/01/17):本文中に記載した「楽天ペイ」の対応決済サービスに一部誤りがあったため、修正いたしました。ご指摘いただきありがとうございます。
追記(2018/02/02):本文中に記載した「LINE Pay」の項目に参照リンクが記載されていなかったため追記いたしました。ご指摘いただきありがとうございます。

スマホをかざすだけの「QRコード決済」とは

「QRコード決済」は、その名の通り「QRコード」を用いた電子決済方法の1つです。決済金額が登録されたQRコードをユーザーのスマートフォンで読み取ることで決済が完了します。ユーザーのスマートフォンには、予め銀行口座やクレジットカード、デビットカードなど決済手段が紐付いている必要があります。

日本では、「楽天ペイ」「LINEペイ」「Origami Pay」などが代表的なサービスです。

中国では既に盛り上がりを見せています。メッセンジャーアプリ「WeChat」の決済サービス「WeChat Pay」や、アリババグループの「アリペイ(支付宝)」などが一般的に利用されており、年間100兆円を超える市場規模に成長しています。

参考:
訪日中国人旅行客、インバウンド消費の集客・店舗決済ならWeChat Pay

QRコードはFeliCaよりも導入ハードルが低い?

「QRコード決済」は、中国では既に浸透し、日本でもローソンなど大手コンビニチェーンで利用され始めています。なぜ、急成長できたのでしょうか。

その理由は、「ユーザー」と「店舗」どちらの導入ハードルも非常に低いことがあげられます。日本で電子マネーといえば「FeliCa」が代表的ですが、そのFeliCaよりも導入しやすいのが特徴です。

QRコードを読み取るだけで完了するため、専門的な知識は不要です。また、ユーザーも店舗もスマートフォンやタブレットさえ所有していれば利用できます。中国では、紙に印刷したQRコードを読み取る店舗も登場しているほど、カジュアルな決済手段として浸透しています。

参考:
FeliCaよりお手軽? QRコード決済の実態を中国・深センに学ぶ:モバイル決済最前線

「QRコード決済」を店舗が導入するメリットとは

「QRコード決済」の導入ハードルの低さは上記で説明しました。次に、導入するときに得られる具体的なメリットについてご紹介します。

1.費用は最小0円〜と個人経営の中小規模店舗でも気軽に利用できる

初期費用はサービスにより異なりますが、概ね「0円」から導入することができます。iPadなど市販のタブレットに店舗用の専用アプリをインストールするだけで利用できます。

また、「Origami Pay」のように、月額費用といった固定費不要で、決済手数料のみといったサービスが主流です。

2.ポイント付与、割り勘決済など特典を設けやすい

ユーザーの会員IDと紐付いた決済方法なので、ポイント付与など独自の特典が設けやすいのが特徴です。「楽天ペイ」の場合、200円利用ごとに1ポイントを付与するキャンペーンを行っています。

また、「LINE Pay」はメッセンジャー上で送金できるため、スマートフォンだけで割り勘ができる点もユーザーにとってメリットとなるでしょう。

3.ユーザーとのコミュニケーション手段として利用できる

ユーザーのスマートフォンを利用するため、店舗は任意でキャンペーン情報を送付したり、フォローアップのメッセージを送ることができます。このように、スマートフォンを利用したコミュニケーションが生まれるという点もQRコード決済の特徴です。

4. 海外決済サービスもサポート

また、日本の「QRコード決済」サービスでも、海外の決済サービスをサポートする事例が増え始めています。例えば、「Origami Pay」であれば「アリペイ(支付宝)」の決済も行えます。外国人観光客の需要にも対応できる仕組みづくりが進んでいます。

参考:
Origami - あなたとお店をつなぐ、スマホ決済。

日本で展開されている「QRコード決済」サービス

では、最後に日本国内で展開されている主要な「QRコード決済」サービスの事例をご紹介します。

1. 楽天ペイ

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楽天ペイ

「楽天ペイ」は、楽天株式会社が手がける決済サービスです。既に利用しているPOSレジシステムと連携することができ、スマートフォンやタブレットどちらでも利用可能です。

2017年の8月から全国のローソンに対応する他、飲食店やヘアサロンなどで利用できます。

主要なクレジットカードブランドから、交通系電子マネー、Apple PayやAndroid Payまで幅広い決済方法に対応しているのが特徴です。

決済手数料は、決済方法とカードの種類により異なりますが、「アプリ決済」の場合は、3.24%の手数料が発生します。

参考:
楽天ペイ: アプリ決済が使えるお店

2.LINE Pay

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LINE Pay

「LINE Pay」は、メッセンジャーアプリ「LINE」の決済サービスです。ユーザーは銀行口座やコンビニからチャージできる他、クレジットカード登録を行うことで決済ができます。

QRコードやバーコードを読み取る決済方法のほか、LINE Payカードというプリペイドカードを利用した決済も可能です。

LINE Payは、現時点でオンラインでの決済が中心ですが、QRコード決済対応店舗も増えています。実店舗では、ローソンやメガネスーパーといった大手チェーン店で対応しています。

LINE内でユーザー同士の送金や割り勘が行えるといった特徴があります。

店舗が負担する決済手数料は、LINE Pay登録から2年間は月間決済額100万円まで0%で利用可能で、100万円を超えた分については物販が3.45%、デジタルコンテンツが5.5%という手数料が発生します。

参考:
【LINE】モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」を公開 | LINE Corporation | ニュース

3.Origami Pay

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Origami Pay

「Origami Pay」は、決済サービスを手がけるベンチャー企業Origamiが提供する決済サービスです。iPadなどタブレットと専用アプリのみで利用できるハードルの低さが特徴です。

対応している店舗は全国で1,500を超え、ケンタッキーフライドチキンや、LOFT、日本交通と様々な業種での対応実績があります。

また、アリペイ(支付宝)決済が行える追加プランがあるため、外国人観光客への需要にも対応できます。

導入費用は0円で、決済手数料は3.25%発生します。

まとめ

「QRコード」は決して目新しい技術ではないですが、ユーザーに広く認知されているというメリットがあります。また、FeliCaなどと比べ、小規模店舗でも導入しやすいというコストの低さも注目される所以でしょう。

スマートフォンとクレジットカードの連携が当たり前になったいま、新たな決済手段の1つとして定着するでしょう。