【5】希少性の原理

「希少性の原理」とは、数が少なかったり、期間が限定されていたりするものに高い価値を感じることを指します。「今すぐ決断しなければ失ってしまうもの」に弱く、考える時間を持たずに行動してしまう傾向があります。

その他にも、「会員限定」「初回限定盤」など、リピーターに優越感をもたせるような施策も、購入意欲を高める要素となりえます。

【事例】
期間限定で季節の果物を使った商品を販売する。
(限定品で消費者の焦燥感と購買意欲を高める)

【6】選択肢過多

「選択肢過多」とは、選択肢が多すぎて選択すること自体が困難になり、購買意欲が減少してしまうことを指します。選択肢が多いと、それだけ顧客にとって好みの選択ができるように思いがちですが、かえって逆効果にならないよう注意が必要です。

特に、選択肢の種類が似通っており、どれを選んでも大差ない場合は、顧客の判断軸が曖昧になってしまい、選択する意思が弱くなってしまいます。

【事例】
新商品のラインナップは5〜9種類に設定する。
(コロンビア大学の社会学者シーナ・アイエンガ―教授によると±7の選択肢が好ましい)

参考:
[選択の科学|シーナ・アイエンガー|2010年]

【7】アンカリング効果

「アンカリング効果」とは、最初に提示された数字や印象が「アンカー(船のいかり・ここでは基準点という意味)」となって強く残り、その後の印象や行動に影響を及ぼす効果を指します。

例えば、まだ世の中に知られていないサービスAが「10,000円」で販売されたとします。その半年後、類似したサービスが「5,000円」で販売されたら、「安い」と思う方が大半でしょう。しかしそれは、サービスAの価格が基準点となって判断しているだけで、サービスへの客観的な判断だとは限りません。

【事例】
飲食店のドリンクメニューを価格が高い順に載せる。
(最初に高い価格を目にすると、下の価格が安く見え頼みやすくなる)

まとめ

行動経済学は、人の感情と考え方に基づく行動的特徴を理解できる、面白い学問です。
マーケティング用語が難しくて途方にくれている方も、この学問から入ると楽しく学習できるかもしれません。

現在マーケティングに関わっている方は、自社の置かれている環境や展開したいサービスに当てはめてみて、戦略が机上の空論になってしまっていないか振り返ってみましょう。