円グラフ同士で比較させる

「比較」という表現に向いているのは棒グラフです。そして「内訳の比較」という表現に向いているのは積み上げ棒グラフです。しかし、2つの円グラフを並べて内訳の比較をするというテクニックがあります。これは円グラフ特有の”錯覚”を用いた方法です。

以下の図を見てください。電力事業連合会が発表した発電電力量を表した円グラフです。1980年と30年後の2010年、発電設備内訳を表しています。

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原子力施設による発電電力量が大きく伸びて、火力も水力も減っているように見えます。

しかし、円グラフに割合しか記載が無い場合、総量がわからないので複数の円グラフの内訳と比較しても意味はありません。実際のところは以下のようになります。

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電力の総需要が伸びているのがわかります。言い換えれば、絶対量の変化より、内訳の変化を強調すれば、あたかも量まで減っているように表現できる場合があるのです。これだけが理由ではありませんが、一般的には円グラフは「グラフには適していない表現方法」として知られています。
  

まとめ

あくまで今回紹介した表現テクニックは悪用厳禁です。

こんな表現をしていたら「この人は私を騙そうとしているのかな?」と相手に思われる可能性があるので、注意喚起の意味で紹介させていただきました。ぜひ業務でお役立ていただければ幸いです。