誰が見ても一瞬で伝わるレポート資料の作り方!散布図の使い方をマスター
株式会社ロックオン、マーケティングメトリックス研究所の松本です。
これまで「棒グラフ」「円グラフ」「折れ線グラフ」について説明しました。これらを使いこなせれば、レポート表現に困ることはまずありません。
これからは、少し難易度は上がりますが、使えるとカッコ良くて表現の幅が広がるグラフを紹介していきます。
今回は「散布図」の使い方を完全マスターしましょう。
何を最も伝えたいときに散布図を使うのか?
散布図は、項目同士の「繋がり」を表すに用います。
項目同士の関係を感覚的に把握できることが、散布図の特徴だと言えます。
例えばポジショニングマップも散布図の1つです。
横軸と縦軸で当てはまった製品同士の距離から「YとZの隙間が広いから、それを埋める製品Aを作ろう」「競合Yを潰すため、同程度の音質の製品Zαを作ったほうがいい」と議論が行われます。
散布図を用いるのは、全体を俯瞰して項目同士の「広がり」や「まとまり」を把握したいときです。
例えば、あるECサイト上で販売している商品について、サイト上でのPV数と、実際の販売個数の2軸で散布図を描くとします。
- PV数が多くて売れ行きも良い製品(右上)
- PV数が多くてもなかなか売れていない製品(右下)
- PV数が少なくてなかなか売れていない製品(左下)
- PV数が少なくても売れ行きが良い製品(左上)
この4グループに分かれました。
おそらく、製品の売り方はグループ毎で違うはずです。全ての製品を同じように扱ってはいけないことが、この図でわかります。
散布図が優れているのは、その図からストーリーを描きやすい点にあります。
散布図の点が右肩上がりで推移していれば、何か関係があることは一目瞭然です。例えば、あるクラスの数学の得点と理科の得点を散布図で表現します。
数学の得点が高い人は、合わせて理科の得点が高いことがわかります。
その理由として、頭が良い奴は何をやっても得点が高いのかもしれませんし、何か他に理由があるのかもしれません。
それを突き止めるために、他の教科との散布図を作成したり、担当教員の教え方の違いの可能性を踏まえて図を作り直したり、さまざまな仮説を立てて検証するのが「分析」です。
いかがでしょうか?
散布図の使い方、順を追えばそんなに難しいことでもありません。「繋がりを表現」するなら散布図、と覚えて下さい。
最も解りやすく伝わる「散布図」の作り方
散布図もエクセルで簡単に作れます。が、その仕上がりはもっさいです。
「あー、こういうグラフ昔は大量生産されてたよねー」という感じでしょうか。
そこで、不要な部分は削除、改めるべき部分は修正してしまいましょう。
<削除>
1:グラフを囲う枠線は不要
2:グラデーションや影などは不要(3Dはもってのほか)
<変更>
1:軸タイトルを入れる
2:項目名のフォントは「メイリオ」+「UI」がマスト(※このフォントが一番見やすいです)
3:範囲は見やすいように
4:派手な原色は避け、なるべく解りやすく色を
5:マーカーはなるべく○を選ぶ
このような修正を施すことで、以下のような見やすい「散布図」に変身しました。
データの理解を助ける要素以外は全て排除することで、グラフは最も伝わりやすくなります。
発展編:「散布図」で絶対に使いたい裏技2つ
基本的な作り方をマスターしたところで、覚えておきたい裏技を2つご紹介します。
1つ目は、散布図の発展系、バブルチャートです。
散布図は横軸、縦軸の2軸で構成されます。しかし、どうしても3軸目を用いたいときに、データが当てはまるところの点(円)の大きさを活用するのです。これがバブルチャートです。
例えば複数の会社を、横軸を売上、縦軸を利益、円の大きさを従業員数で表すと以下のようになります。
人手でなんとか売上を確保しているC会社、超付加価値を付けることで少数精鋭でやっているF会社、などがわかります。
ただしバブルチャートはデメリットの多いグラフです。
1つに、上の図でもわかるように、円の数が多いと円同士が重なりやすく非常に見づらくなります。例えば、A会社とG会社が重なって大きさがわかりません。
もう1つ、円の大きさが比較しづらいのです。F会社とD会社の円の大きさ、どちらが大きいでしょうか?
結果的に、コンサルティング業界を除いてあまり浸透しているとは言いがたい状況です。
2つ目は、散布図に曲線をいれて、関係性を明示する方法です。
横軸(x軸)を「原因」系、縦軸(y軸)を「結果」系で構成します。
ここでは横軸を1日あたりの流入数、縦軸を1日あたりのCV獲得件数としましょう。流入数が多ければ、結果としてCV獲得件数が増えるという仮説です。
見事に右肩あがりになりました。この原因と結果の仮説は成り立ちそうです。そこで、曲線を追加してみます。
追加の仕方は、散布図のいずれかの点を選択して、右クリックしてください。そして[近似曲線を追加]を選択してください。次に[線形近似]を選択して、[グラフに数式を表示する]を選択すれば完成です。
その結果は、以下の通りです。
見事にプロットできました。この数式は、直線の計算式を表しています。だいたいの点がこの線に沿っている、という考えた方です。
ここで1つの考えが浮かびます。この線の先が直線だと仮定して、獲得したいCV件数が決まっているなら、どれくらいの流入数が必要なのかわかるのではないでしょうか。
例えばCV件数を1日あたり200件獲得したいなら、[y = 0.0105x -2.6307]ですから、この直線に従えば約19,300もの流入数が必要であることがわかります。
もちろん獲得限界上限というものがありますから、この直線もどこかで曲線となり、やがて真横に伸びるのでしょうが、現状から未来を予測する際によく用いられる手法の1つです。
まとめ
今回は、「散布図」に焦点をあてて、最も伝えたいことを、最も解りやすく伝えるグラフ表現方法をお伝えしました。
「項目同士の繋がりを表現」するなら散布図、です。
見せ方さえコツを掴めれば最強のコミュニケーション方法である「グラフ表現」。ぜひマスターして、分析レポートに活かしましょう。
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