ネットショップを初めて開業しようと計画を立てる際、「どんな商材を仕入れるのか」や「販売方法や販路はどうやって見つけるのか」など、様々な疑問が浮かぶこともあるでしょう。

そこで、まず押さえておきたいのがネットショップ市場の傾向です。ネットショップ利用者の推移や、トレンドの変化を理解すれば、商材の選定や販路開拓など開業準備を行う上でのヒントになります。

今回は、ネットショップに関する各種調査データを元に、ネットショップ開業のポイントを解説します。

2017年ネットショップ業界の動向とは?

近年、スマートフォンやPC向けWebサービスの発展により、ネットショップを取り巻く環境に変化がおきています。ネットショップ業界の動向を各調査資料を元に確認してみましょう。

ネットショップの市場規模の変化

まず始めに、ネットショップの市場規模は数年でどのような変化を遂げたのでしょうか。

経済産業省が2017年4月に発表した「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」によると、2016年にネットショップの市場規模は15.1兆円(前年比9.9%増)に達したとのことです。

この成長は前年だけでなく、過去6年間増加傾向にあることから、ネットショップの市場は順調に成長し続けていることがわかります。

また、フリマアプリのようなCtoC向けのネットショップは急速に成長しており、市場規模3,052億円に達しています。新しい分野の市場であるため、今後も成長が期待できるでしょう。

参考:
電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました~国内BtoC-EC市場が15兆円を突破。中国向け越境EC市場も1兆円を突破~(METI/経済産業省)

スマートフォンからの購入者増加傾向に

また、BtoC向けの小売り販売など物販系分野の市場規模は2016年時点で8兆43億円です。

その内、2超5,5559億円がスマートフォン経由での市場規模でした。現時点ではPCを利用したネットショップユーザーが中心ですが、全体の31.9%がスマートフォンを利用したユーザーであり、拡大傾向にあります。

以上のことから、ネットショップを運営する上でスマートフォン対応は必須と言っても良いでしょう。

また、SNSやO2Oチャネルを活用したネットショッピングサービスも登場しています。トレンダーズが20〜30代のSNS利用経験のある女性に対して行った調査によると、約65%の方がSNSをキッカケに商品を購入した経験があるとの結果が出ました。ショップ単体で運営するのではなく、様々なチャネルへのアプローチの重要性が高まりつつあります。

参考:
【2016年】ネット通販市場は15.1兆円、EC化率は5.4%、スマホEC市場は2.5兆円 | ネットショップ担当者フォーラム
見る専門でSNS利用するユーザーの割合は?/約7割がSNSきっかけに商品購入【トレンダーズ調査】:MarkeZine(マーケジン)

中国での越境ECが拡大

国内ネットショップだけでなく海外向けに商品の販売を行う「越境EC」も盛り上がりを見せています。

特に中国向けの越境ECの市場規模が拡大傾向にあり、2017年の前年比で50%増加の3413億元(約5兆5000億円)になる見通しと、日経新聞が発表しています。

中国市場における越境ECの盛り上がりの背景として、商品の品質があります。中国国内で購入するのに比べ、海外の販売店から直接購入することで「正規品」が手に入りやすいためです。中国では「正規品」にニーズがあるように、越境ECを成功に導くにあたり、該当国のニーズを調べることが大切です。

参考:
越境EC市場、中国で争奪戦 5.5兆円規模に拡大  :日本経済新聞

ネットショップ開業時に取り入れられるポイント

上記の資料を元に、ネットショップを開業する際、取り入れられるポイントをまとめました。

1.ネットショップ利用者が購入しやすい商材

ネットショップの市場規模拡大の背景には、ネットショップでの商品購入の抵抗感が無くなりつつあることが上げられます。ネットショップで購入されやすい商品として、「ここでしか買えない」ような希少性のある商品や「どこよりも安価に買える」ような価格面が優位な商品が一般的です。

ところが、近年「定期配送サービス」などの登場により、日用品や化粧品、「食品」のような、消耗品への需要が高まっています。実物を確認せず購入することに抵抗を持つ方もいますが、以前よりも気軽にネットショップが利用されていることがわかります。

参考:
「ネットショッピングに関する実態調査」を日本国内で実施 - GMOインターネット株式会社

2.O2Oを始め販路の多様性

ネットショップの販売チャネルはスマートフォンの登場により多様化しました。そこで、実店舗を既に運営している担当者であれば、オンラインからオフラインへ送客するO2Oの事例を学び、販路の多様性として活かしてみましょう。

スマートフォンアプリから実店舗向けのクーポンを配布できるO2O向けのアプリも登場しており、導入コストも低いため活用しやすいのが特徴です。

参考:
オンラインとオフラインを分けて考えるのはナンセンス!O2Oの基本を解説|ferret

3.販売する商材に合わせたカートシステムを選択

商材や販売形態に合わせてカートシステムを導入することも大切です。例えば、個人のネットショップでハンドメイド品を販売するなら「BASE」や「Wix」のような気軽に出品できるサービスと親和性が高いです。

一方で、企業のショップの場合、自社のシステムに合わせてカスタマイズできるEC-CUBEのようなサービスを利用するのが良いでしょう。

他にも、定期配送に対応したサービスや、海外の決済システムに対応した越境EC向けカートシステムもあるため、何を販売するのかを踏まえて開業前に選定してみてはいかがでしょうか。

参考:
カスタマイズ性が高い!ネットショップ構築に使えるCMS6選|ferret
「越境EC」とは? 参入する上で確認しておきたいポイント+オススメ支援モール4選|ferret

まとめ

ネットショップの市場規模は2016年の時点で15.1兆円(前年比9.9%増加)に達しており、順調に拡大を続けています。また、物販分野におけるスマートフォン経由の市場規模は2兆5559億円に達し、今後も成長が期待できるでしょう。

ネットショップで購入される商品も、食料品や化粧品など日常生活で利用する消耗品が購入されやすいというデータがあるように、ユーザーの多くは「インターネットで買い物をする」ことへのハードルが下がっていることがわかります。

販売できる商品や、チャネルの多様化を踏まえた上で、ネットショップの開業準備を行ってみてはいかがでしょうか。