ホームページを運用したり広告を作成したりなど、Web上でユーザーに「興味を持ってもらう」ことが、商品購入やサービス利用などの次のステップに進むトリガーとなります。
ただ情報を発信するだけでもその情報を求めているユーザーにとっては興味をひかれるものとなりますが、より多くのユーザーに興味を持ってもらうために、人間が持つ行動の法則性を利用した心理学効果を適用してより効果的にアピールする、というのもひとつの手法です。

今回は「続きが気になる」という人間の心理を活用した心理学効果「ツァイガルニク効果」をご紹介します。
通称「人たらしの心理学効果」とも言われるこの法則は、Webマーケティングではもちろん、実生活のさまざまな場面でも活用することができます。
概要はもちろん、ビジネスに効果的に活用するために念頭に置きたいポイント3つもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

ツァイガルニク効果とは

「ツァイガルニク効果」とは「人は完成・完結した物事より、不完全、未完成の物事の方が興味を引く」という心理効果のことで、ザイガルニック効果と呼ばれることもあります。
ドイツのゲシュタルト心理学者クルト・レヴィンが「人は目標に向けて行動するとき緊張感が生まれ持続するが、目標が達成されることでその緊張感は解消される」という説を提唱しました。

それをもとに、旧ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツアイガルニックが行った実験から導き出された「目標が達成されていない課題についての記憶は、達成されている課題についての記憶に比べて思い出されやすい」という結果から「ツァイガルニク効果」が提唱されるようになりました。

ツァイガルニク効果は、日常生活のあらゆるところで利用されています。
例えばテレビ番組の中で「続きはCMのあとで」というフレーズを耳にしたことはないでしょうか。
これはツァイガルニク効果を利用して、視聴者が知りたい内容をあえて焦らして発表を先送りにし、視聴者の興味を引き付け、継続視聴を狙うと共に、CMの視聴率を上げる狙いが含まれています。

Web上で見られるツァイガルニク効果を利用した事例3つ

1.秋物のセール情報を追加しました!

秋物のファッションのセールが行われているという情報はわかるのですが、詳細がわかりません。このように、情報を意図的に足りなくすることで、ユーザーに「知りたい」という欲求を持たせることができます。

2.シンクをピカピカにした台所にある意外なものとは!?続きはウェブで

中心となる情報を隠し、疑問形で関心をあおっています。Webサイトに誘導したり、申し込みや購入を行ってもらいたいときに有効な宣伝方法です。

3.経験者が語る「オウンドメディア運営でよくある3つの失敗パターン」

詳細の情報をタイトルに出さないことで関心を引き、具体的な数を出すことで、すべて知りたいと思うユーザーの心を刺激しています。

ビジネススキルを伸ばすツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果を利用すれば、ビジネススキルを伸ばすことも可能です。

1.中途半端なところで休憩を入れて効率をアップさせる

仕事で休憩を入れるときに、キリの良いところではなくあえてキリの悪いところで休憩を入れる方法です。
人は目標が達成されてしまうと、注意力が達成されてない時に比べ下がってしまいがちです。
そこで作業が中途半端なタイミングで休憩をはさむことにより、作業に対する集中を途切れないようにすると作業を再開させたときによりスムーズに作業スピードを戻すことができます。

2.記憶力をアップさせる

ツァイガルニク効果を利用して、モチベーションの維持や記憶力の向上などを目指すことも可能です。
ビジネス書を読んでいて「今日はこのページまで勉強する」と決めた際、そのページが終わる少し手前でその日の勉強を終了することで明日は残っている部分を終わらせないといけないという意識が働くためです。

ツァイガルニク効果をビジネスに活かす3つのポイント

1.コンテンツの一部を無料で開放する

ホームページへの会員登録をコンバージョンとして設定した際に、会員限定で配信している記事の一部をあえて未登録ユーザーにも見せる手法です。
会員にならなくては見ることができないコンテンツのため、一定数のユーザーの注意を引きつけることができます。

この手法では、記事冒頭を読める状態にして核となる要素に言及する前に「続きは会員の方のみ閲覧できます」「無料会員登録はこちらから」と表示することで、続きを読みたいというユーザーの気持ちをかき立てることができるため、最終的にユーザーを会員登録へと誘導することが可能です。

2.タイトルの付け方を工夫する

ホームページの記事にタイトルをつける際に、ツァイガルニク効果を利用する方法です。
まず以下の2つのタイトルを見比べてみてください。

A:集中力を高めるには時間を区切ることが大切だった
B:誰でも集中力を高められるたった1つの方法とは?

どちらのタイトルがより読みたくなるでしょうか。
Aのタイトルでは「時間を区切ること」とすでに答えが提示されていることに対し、Bのタイトルでは記事を読まなくては答えが分からないようになっています。

タイトルにメインとなるコンテンツをあえて含ませないことで、読み手の「読みたい」という気持ちを引き出すことが可能です。

3.一度にすべての情報を伝えない

メルマガやFacebookページからのメッセンジャー、LINE@などを使用して、各ユーザーに直接情報を届けている場合する際も、ツァイガルニク効果を活用する方法です。
一度の文章ですべての内容を伝えるのではなく重要な内容を時間差で伝えることで、ユーザーが継続して自社が発信する情報に興味を持ち続けてくれることを狙います。

例えば「ランディングページを改良する際にやってはいけないこととは?」というようなユーザーに問いかけるメルマガを送信し、同本文中でいくつかの選択肢を提示し「正解は次回のメルマガでお答えします」と記載します。
ユーザーは回答をその場で知ることができないからこそ質問に対する答えの関心が高まるため、次回の配信の開封率は上がりやすくなります。

まとめ

ツァイガルニク効果では「あえて中途半端なところで切り上げる」ことで「物事が気になる」状況を作り出し、記憶に残りやすくすることができる心理学効果です。
情報を小出しにしすぎてユーザーが面倒に感じてしまわないように注意する必要はありますが、今ひとつ成果が伸びずにお悩みの場合はユーザーの動きをみながらこの効果を使用したコンテンツ作成に取り組んでみてはいかがでしょうか。