「稲盛和夫氏の本にあった"利他の心"という言葉に突き動かされて現在がある」LIFULL 井上氏
世の中には、多数の会社が存在しており、多くのビジネスモデルプロダクトが存在しています。
しかし、ビジネスモデルとプロダクトの秀逸性だけでは、Product-market-fit(人が欲しがるものを作ること)を達成し、ビジネスをブレークスルー(現状ある障壁を壊して大きく前進すること)することはできません。
ブレークスルーを達成するには、起業家は秘伝のレシピを発見し、ビジネスに組み込んでいく必要があります。本連載では、様々な起業家が持つ秘伝レシピ(Secret Recipe)に焦点を当て解読していきます。
連載12回目となる今回は、株式会社LIFULL(ライフル)代表取締役社長の井上 高志 氏に話をうかがいました。
読者の皆さんに、自分のビジネスをブレークスルーするためヒントを見付けていただければ幸喜です。今の業務で壁にぶつかっていると感じている方、もう1歩さらなる成長を遂げたいと考えている方に、ぜひともオススメです。
目次
1. 序文
2. 秘伝レシピ1:トップは最前線に立って部下に見本を示せ
3. 秘伝レシピ2:共に戦う仲間"ゴレンジャー"を揃えよ
4. 秘伝レシピ3:ビジョンに共感し"前のめり"になる者を仲間に!
5. 秘伝レシピ4:社員の内発的動機は邪魔をせず、支援すべし
6. 秘伝レシピ5:世の中の"不"に向かってチャレンジを続けよ
7. まとめ
「働きがいのある会社」や「アジア地域における働きがいのある会社」、「ベストモチベーションカンパニーアワード」などを受賞し、名実ともに日本を代表するビジョナリーカンパニーとなった株式会社LIFULL(ライフル)。
創業者である井上 高志 氏は幾多の困難を乗り越え、東証1部に上場した現在も現状に満足することなく、ビジョンに「あらゆるLIFEを、FULLに。」を掲げ、100社100ヵ国にビジネスを展開することを目指しています。
今回はそんな井上氏にビジョナリーカンパニー経営の秘伝のレシピを聞いてみました。
プロフィール
井上 高志 氏 プロフィール
株式会社LIFULL 代表取締役社長。
青山学院大学卒業後、株式会社リクルートコスモス(現:株式会社コスモスイニシア)入社。翌年にリクルートに移籍。1995年に同社を退職し、株式会社ネクスト(現 株式会社LIFULL)を設立。現在は、国内・海外併せて13社の子会社を展開し、世界57ヶ国にサービス展開している。
田所 雅之 プロフィール(インタビュアー)
日本とシリコンバレーで合わせて、5社の起業実績のあるシリアルアントレプレナー。スタートアップを経営しながら、シリコンバレー本社のFenox Venture Capitalのベンチャーパートナーとして、日本及び東南アジア地域の投資を担当。現在は、数社のスタートアップのアドバイザーとボードメンバーも兼任している。足がけ3年、述べ1,500時間、1,000社以上のスタートアップとのディスカッションを通じて磨き上げたスライド"Startup Science"の著者。
田所(インタビュアー):
井上さんというと兼ねてからご自身のミッションに「世界平和」を掲げられていますが、それはいつ頃からなのでしょうか。
井上 高志 氏(株式会社LIFULL 代表取締役社長):
僕がLIFULLの前身である「ネクストホーム」を創業したのが26歳の時で、世界平和だって明言し始めたのは、それから6年後の32歳の時です。
当時の当社の従業員数は15名ほどでした。楽天から出資を受けたぐらいのタイミングで、今でこそ日本最大級の住宅・不動産ポータルサイトと言われている「HOME'S」(現:LIFULL HOME'S)もまだまだ黎明期でしたね。
※日本最大級の不動産・住宅情報サイト「HOME'S」(現:LIFULL HOME'S)
田所:
世界平和という井上さんの想いはLIFULLのビジョンや社是にもつながっているのでしょうか。
井上 氏:
はい、僕らの会社では社是を"利他主義"と定めています。26歳の時に京セラ株式会社の稲盛和夫さんの本を読んでいて "利他の心" という言葉が書いてありました。1代で数兆円企業作る人が経営の根幹は利他だって言い切っているのにすごく衝撃を受けました。
ちなみに、最初に僕自身が作った経営理念を平たく言うと、インターネットで日本の不動産業界を変革するっていうふうに謳っていました。でも、稲盛さんの "利他の心"という言葉を目にしてからは、自分の考えた経営理念に違和感を抱くようになりました。
田所:
一体、何がそのような想いを駆り立てたのでしょうか。
井上 氏:
正直言うと、稲盛さんの言葉に出会う以前からモヤモヤしていたのは事実です。「本当にインターネットに限るのか?」「日本限定でいいのか?」「不動産業界という狭い領域だけでいいのか?」……というように、自分自身に問いかける機会が増えました。ここから先、仮にHOME'Sがブレイクスルーして突き抜けていったら、その先はどうなるのか、と考えるようになりました。
先ほどの稲盛さんの言葉に出会い、世界中の人たちに利他の貢献をしてみんなハッピーにしようという思いが強くなりました。結果的に、経営理念も全部書き変えて、今のものになりました。
田所:
それによって賛同してくれるメンバーが増えましたでしょうか。
井上 氏:
即座に結果に現れたわけではないのですが、長期的にみた場合、効果があったと実感しています。同じ想いを体現しようというメンバーが集まってくれました。つまり、人を集めようとする時には壮大なビジョンを語ることで、それにビビッときた人がきてくれるということですね。徐々にですけど、効果は出てきています。
ちなみに、今掲げている100社の新たな事業を創造するというのも、当社のビジョンである「あらゆるLIFEを、FULLに。」に繋がっています。100社100ヵ国への展開と言い始めたのが2015年で、そういう風に言うようになったことで、我々の社員たちも不動産領域だけではなく、幅広い領域で「色々世のため人のためになることやっていいんだ」という考えが浸透しました。
最近、僕たちの会社は社名を「ネクスト」から「ライフル」に変更しました。世界中のあらゆる「ライフ」を「フル」にするんだ、と自覚するようになりました。徐々にステップアップしている感じですね。
秘伝のレシピ1. トップは最前線に立って部下に見本を示せ
田所:
以前、過去に結構伸び悩んだ時期があって「加盟店1,000店舗を倍にできなかったら自分で辞める」みたいな宣言をされたとうかがいました。
井上 氏:
2002年から2003年にかけての1年間ですね。1,000会員だったのを2,300会員に倍増することに成功しました。
田所:
倍増を達成できた要因というのは何だったのでしょうか。
井上 氏:
1番大きいのは営業の仕方を変えたことです。
元々、僕はリクルート出身で、当時トップセールスを獲ったこともありました。リクルートのトップ営業マンは1から10までの商品群があるとすれば、それを全部バーっと頭の中に入れます。コンサルティング営業の型をきちんと持って、大きな受注をもらってくる……ということを僕も含め、周りの営業の猛者たちは当たり前のようにそれができていました。自分が起業した時も「当然そのぐらい教えりゃできるだろ」という考えでした。
でも、10人~15人規模のベンチャーに入ってくる営業というのは、全員全てが実績のあるメンバーが揃っているわけではなく、そんなに質が高いわけでもないので、事実蓋を開けてみれば全部未達という状況でした。
田所:
そこに危機感を覚えたわけですね。
井上 氏:
HOME'Sの加盟店が5年経っても1,000店舗。後発で出てきた老舗のリクルート・アットホームという大手の同業他社がインターネットに参入してきて、アッという間に2,000~3,000店舗へと成長を遂げました。さすがに、その現実を目の当たりにして「このままだと先行メリットとれなくて潰される」という危機感がありましたよ。
そこで加盟店を一気に倍増させる!という宣言をしたわけです。まずは社員の意識改革をすることが目的で、その時は新規獲得件数を唯一の指標で動きました。
田所:
指標を「新規獲得件数」に!つまりは、攻めるところを絞り込んだわけですね。
井上 氏:
結論をいうと、クロージングまでの営業プロセスを標準化しました。
各営業メンバーにはクリアファイルのようなものに紙芝居のようにすべての資料を入れてもたせました。そして、ルールとして15分説明したら必ず最後クロージングしなさい、という取り決めもしました。
今日申し込んでいただいたら入会金35,000円は20,000円までお値引きしますという特典や、月々15,000円払ってくれさえすれば掲載はもう無制限でいくらでも載せられますというセールスポイントなど、スキームを超シンプルにして、事前にロープレをみっちりやり込みました。さらに僕自身も営業メンバーに混じって、社内でコンペを実施。それを実行して、2、3ヵ月後には平均15件ぐらい売ってくるチームに生まれ変わりました。
田所:
井上さんも1人の営業マンとして参加されたと聞きましたが。
井上 氏:
かつて営業をしていた頃のプライドなのでしょうか。大手のフランチャイズチェーン等を攻めて、結果的に数100店舗から契約を取り付けました。
秘伝のレシピ2. 共に戦う仲間"ゴレンジャー"を揃えよ
田所:
創業チームってエンジニアであったりとか、営業ができる人であったりとか、ある程度大人のマネジメントできる人など、お互いに補完関係が必要とされますが、井上さんが考える理想のチームについてお聞かせください。
井上 氏:
優れたチームに正解はありません。でも、"ゴレンジャー"という概念はわかりやすくて、ほかの会社もインストールしやすいはずです。
田所:
「ゴレンジャー」というのは、どのようなチーム構成になることを指しているのでしょうか。
井上 氏:
情熱のリーダー=赤レンジャーがいると、無謀に突っ込んでいこうとしてしまいます。ゴレンジャーの5人全員が無謀だとすれば、いくらお金があっても・足りなくても、リスクばかり負う形で潰れていってしまう……という可能性もゼロではありません。
ただ仮に、リーダーが赤レンジャーだとすると、その横には沈着冷静な青レンジャーが必要です。例えば、技術開発が得意だったりすると最高ですよね。もちろん色んな人が集まるということはプラスの要素だけではありません。衝突も発生します。そういう時には、場を和ましてくれる黄レンジャーみたいなやつがいるとチームの接着剤になる、というイメージがあります。
さらに、CFOとか管理本部長的な裏方をしっかりと支えてくれるゴールキーパーも必要です。僕はどんどん前に進んで行ってしまうタイプなので、そこをカチッカチッと組み上げてくれるのと、システムを思いどおりに作ってくれる事業パートナーが大切です。
秘伝のレシピ3. ビジョンに共感し"前のめり"になる者を仲間に!
田所:
ここからは起業後について教えてください。特にその中でも様々な面で難しい局面があったはずですが、いかがでしょうか。
井上 氏:
起業してから3年が経過したところですね。当時、僕は会社を "ビジョナリーな会社" にしようと考えました。しかし、僕と別の幹部で価値観が違っていたことから結果的に仲違いしてしまったんです。
田所:
どのようなズレが生じてしまったのでしょうか。
井上 氏:
「上場して資金調達し、それで(事業を)加速させたい」ということをメンバーの何人かが主張し出しました。僕は良い製品・サービスを作り上げて、お客様の満足度上がってきて、きちんと価値を提供できるようになってきてから上場を考えるべきだと考えてました。
そこでのズレが影響して、結果的に分裂する結果になりました。
田所:
ビジョンの共感は重要ですよね。
井上 氏:
その経験から人事採用の際、「利他主義だよね」とか「世のため人のために働くのが当たり前だよね」という点において、価値観が一緒じゃない人は採用しない方針にしました。
ただ、もちろん面接では取り繕うこともありますし、表面上では利他主義だと見極めることは困難です。それでも、僕は2つの点で判断するようにしています。
1つは僕が未来のビジョンを語った時に、普段は聞く側に徹している方でも、すごい共感すると腰が10cmぐらい浮いて前のめりになってることがあります。ところが表面的に聞いてる人というのは「そうですねそうですね」と相槌を打つだけで、内心全然ワクワクしてない感じなんです。
田所:
非言語コミュニケーションのところに本音が出るのですね。
井上 氏:
もう1つは「利他主義に共感しています」とその方が口にした時に、「具体的にどんなことをその人がやってきたのか?」「どんな生い立ちだったんですか?」「その時、なぜそう判断したのか?」っていう点で質問して、過去の経験を洗いざらい聞くようにしています。
経験は嘘つけないのですし、本音じゃないと、さらに二段階目に掘り下げて三段階目まで掘り下げると必ずボロが出てきます。
田所:
"ビジョンに共感する"というのは、幹部社員、一般社員問わず、大事なことだと捉えてらっしゃるんですか?
井上 氏:
そこはもう徹底して妥協なくやっています。新卒採用でも中途でも、全てに置いて重視しています。
秘伝のレシピ4. 社員の内発的動機は邪魔をせず、支援すべし
田所:
ビジョンを全社員で語るような取り組みを定期的にされているとうかがいました。
井上 氏:
毎回テーマが違うのですが、年に合計4回ほど開催。テーブルを囲んで、ざっくばらんに食事をつまみ、アルコールなどを飲みながら、ビジョンや会社の在り方について語り合うイベントを定期的に実施しています。
田所:
どんなディスカッションが交わされるんですか?
井上 氏:
例えば、「貢献をするって一体どういうことだ?」「幸福ってなんだろうね?」みたいな本質的な質問を投げかけます。それで会社をもっとよくするためにはどんなことができる?という質問を投げるわけです。この機会というのは、参加者にとって"自分のやりたいことと会社のビジョンを重ね合わせたりする機会"になります。
僕らがやりたいことは、日本一働きたい会社作ることです。"働きがい"にフォーカスしたのは、それが最も企業の競争力を生み出すものだからです。だから、徹底的に投資しようとして妥協のない採用をやり続けましたし、内発的動機付けというのを超重要視しています。それを重視すると人間は誰に言われなくても既知として喜びながら自己成長し、自己実現していきます。だからこそ、内的動機がある人しか採用しません。
田所:
内的動機の部分と、100社の会社を作るというのはリンクしているのでしょうか。
井上 氏:
双方はリンクしています。日本一働きたい会社の重要なテーマを2つだけ挙げると、1つ目が内発的動機を邪魔しない・支援すること、2つ目が安心・安全の場を作ることです。
安心・安全の場はチャレンジして失敗しても後ろ指をさされない、2度目のチャレンジ3度目のチャレンジ……ができるようにすることです。100社作っていく過程では、100人とか150人とか200人のチャレンジャーがおのずと出てきますから、彼らを徹底的に応援していきます。
すると、本人たちは自然に「これをやりたいんです」「こういう事業やりたいんです」と自分のやりたいことを主張できるようになります。そのため、もうこちらから別にいちいち指示を与えなくても勝手にやっていってくれます。まさに、そういう状態こそ、人が最も働きがいを感じる状態だと理解しています。
田所:
Googleでは80・20ルールを採用してます。そのような制度なども導入しているのでしょうか。
井上 氏:
クリエイター職でいうと「クリエイターの日」という制度があり、業務工数の中の10%であれば何をやってもいいとしています。
もちろん、実際チャレンジして失敗する人も少なくありません。ただ、その失敗から学ぶことがあるはずですし、その経験やナレッジを周囲にもシェアするルールも存在します。社内に「ライフル大学」というコーポレートユニバーシティがあって、そこで常設とか臨時も含めて50~60のゼミナールがあリます。その中では失敗力講座というのもがあって「なぜ失敗したのか」「次チャレンジするとしたらどこに注意するのか」というのを社内シェアする慣習があります。
田所:
各社員のナレッジというのを会社全体で共有することで、組織としての成長につながっているということですね。
井上 氏:
まさにそのとおりです。失敗して会社を閉じることになってしまった社長も、みんなが稼いでいただいたお金を投資してもらったのに失敗してごめんなさい、失敗の要因は"こうでした" "ああでした"っていうのを全社総会などでプレゼンテーションする機会があります。終わった後は、チャレンジをたたえて大きな拍手を送る文化がLIFULLには存在しています。
田所:
これは社員の方が、子会社のオーナーシップもたせるような感じでやられてるんですか。
井上 氏:
子会社は全部で13社ほどあります。そのうちスピンオフ型とか社員提案型が8です。少し変わった形式ですけど、我々の新規事業の提案制度で「Switch(スイッチ)」というのがあって、これは「人生でスイッチ入れろ!」という意味です。このスイッチで年間挙がってくる案件が150案件ぐらいで、4~6個ぐらいは事業化できそうなものもあります。それを役員がメンターにつきながら事業承認を得るとこまでいくというものです。
事業化、子会社化となれば、LIFULLから自分の描いた3ヵ年分のキャッシュフローとかPLのプランとビジネスモデルに対して資本金という形で投資をします。
それ以上は経営に関しては僕のほうから口出しはしないようにしています。理由としては、僕自身が本当にワンルームマンションで現金5万円ぐらいからスタートして、その中で色々課題とか制約をクリアしていく時に知恵が生まれてくるので、それを教えるのはだめだと信じています。
田所:
自分で気付くことが大事なんですね。
井上 氏:
社内ベンチャーに甘んじず、一般的なベンチャーがやっているのと本当に同じような環境を作ろうと、自分で気付いて編み出すことが重要です。最初の資本金だけは出しますが、それ以降はもう社長本人次第です。
田所:
新規事業は「ライフ」を「フル」というのがテーマなのでしょうか。
井上 氏:
LIFULLの経営理念に合致していて「ライフ」を「フル」にすること、そして事業性があれば承認します。
田所:
ただし、事業は1人ではできません。先述のとおり「ゴレンジャーを組成したい」という時は外部から人を呼んでくるイメージなのでしょうか。
井上 氏:
社内公募はしませんが、相思相愛になるケースというのはありますし、それは例外的に認めています。ベンチャーはゴレンジャー作るところから、つまり全部ゼロの状態からやるので、ある時「なかなかいい人が応募してこないんで、LIFULLで採用してから出向させてくれませんか?」と言ってきたことがあり、その際は「ふざけるな!」と突き返しました。
そんなベンチャー企業はないじゃないですか。仮に資金がショートしそうな時に、追加で増資とか検討してくれるんですよね?と言ってくるのと同意ですからね。ベンチャーというのはそんな甘いものではないですし、資金が底をつきそうなら、例えば魅力的なプラン作ってVCに出資仰いでくるとか、当初の事業プラン以外のことをやってでも会社を守り抜いてほしいので、方針も自由に任せて完全ドベンチャー状態を経験させています。我々本体から出した資本金はゼロになり、キャッシュがつきた時点で「残念だけど終わりねって」というシンプルなルールです。
田所:
背水の陣になるとすごいクリエイティブになったりとか、火事場の馬鹿力がという言葉がありますが、リアルな状況から多くを学ばせるというイメージでしょうか。
井上 氏:
まさにそうです。100社もの子会社を作ることで最大の優先順位は1人でも多くの経営者作ることです。
自ら手を挙げてプランを作り、キャッシュを手に入れた者を走らせる。
それでも、思いどおりにいかないのが経営ですし、それを経験させたいと考えてます。正直、一事業部の責任者長をやったところで経営者にはなれません。あの手この手でフォローもあり、逆に指示もああしろこうしろと言われているうちは全然経営者ではありません。本当にド真剣に経営をする経験が最も必要なことです。その上で失敗して、その経験は必ず次に活かす……これ以上の経験はそうはできません。150社ぐらい作ったら100社ぐらいは10年後ぐらいには残っているだろうと計算してますが、仮にその100社の経営者たちから猛者が生まれてきたら、私自身の後継者問題もあんまり心配ないなと考えています。理念やビジョンも浸透しており、経営もできて実績も出してという社長が出てくれば、グループのトップも張れる、と思っています。
田所:
「待遇が良いから働きたい」ではなく、1人ひとりが真剣に向き合い、日々成長できる環境。まさにそこが働きがいを感じる点なのでしょうか。
井上 氏:
僕もそう思っています。ただ、周りの方から「働きやすい会社っていいですね」とよく言われるのですが、ひょっとしたら誤解をされているかもしれません。働きやすいのではなく、給料とか福利厚生とかそういうのではなく、「自分のやりたいことに一直線で進める。そこを目指すことを周りもサポートしてくれる」という点が最も魅力的な部分なのです。そのため、僕たちが目指しているのは「働きやすい会社」ではなく「働きがいのある会社」です。見る人からすれば過酷にも映るかもしれませんが、僕はそれこそ内心わくわくして突っ走っていけてる状態であって、これこそが充実してるという状態ことなんだと思いますね。
秘伝のレシピ5. 世の中の"不"に向かってチャレンジを続けよ
田所:
最後に、井上さんのほうから起業とか考えてる人に対してアドバイスをお願いします。
井上 氏:
新聞記事の一面トップに出てくる記事とかって、世の中の不便とか不満とか不安とか、色んな"不"がついてますよね。それをネガティブに捉えるのではなく、そこには物凄い市場があるはずなんです。少子高齢化、介護保険問題、医療問題……など、全然違うジャンルのことでも「これをこう改善できないかな」というように向き合うと、そこにはビジネスチャンスや起業のヒントがあるのではないかと思います。
田所:
今の事業形態にとらわれず、あらゆる課題(悩み)に対して改善策を、と向き合うことがLIFULLの目指すべき方向性なのですね。
井上 氏:
まさにそのとおりです。実現できた時に多くの人たちに喜ばれます。起業する人は、そういう規模にとらわれない、より大きなことに挑戦すべきです。国連でSBGsの17項目の世界への課題を解決するというのが掲げられていますね。
そこに目を付けていって何ができるのか考えてアプローチすることで、かなり長いこと楽しますし、何しろ物凄い成長できるチャンスを掴むことができます。もちろんネットワークも広がりますし、より多くの方たちと出会うことができます。そういう大きい視野をもってチャレンジしてほしいですね。
田所:
つまりは、社会へのインパクトからアイデアを考えたりとかすることが大切だと言うことですね。
井上 氏:
もう1つのアドバイスは、失敗を恐れる必要がないということです。
今の若者に対しては「チャレンジし放題なんだ」ということを伝えたいです。僕が起業した時よりも今のほうがよっぽどチャンスがありますし、もっと言うと僕よりも10年20年先輩はもっと大変な時代を駆け抜けてきたはずです。時間が経てば、それだけリスクが減ってきていて、過去より今、今より未来と、お金はどんどん集まりやすくなっています。
失敗したとしても別にすべてが無になるわけではありません。そういう世の中だからこそ、自分の内発的動機をベースにして大きくチャレンジしてほしいです。
まとめ
これまで1,000人以上の経営者に会っていますが、今回インタビューさせていただいた井上さんほど、ビジョンと行動指針が、ここまで力強く且つ首尾一貫している経営者の方にあったことはありませんでした。世界平和、利他、社会課題解決というのは、言うのは簡単ですが、掲げてから実現に向かって行くのは、生半可な努力や想いでは不可能です。
"事業を作ることは経営者を作ること"、"働きやすい会社ではなく、日本一働きがいのある会社を作る"という井上さんが表現したように、ビジョンを実現するために個人の内発的な動機を尊重し、努力が報われる環境をライフルという会社は実装しています。とてもユニーク且つ社会的な意義の大きい会社、それがLIFULLだと理解しました。これから、ますます注目していきたい企業の1つです。
企業プロフィール
株式会社LIFULL(ライフル)は、1995年の創業以来、革新的な成長を遂げている企業です。1997年設立、日本最大級の住宅・不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」(旧名称:HOME'S)などの企画・運営を行う企業です。
設立以来、LIFULLは「住まい」「金融」「家族」「音楽」「スポーツ」「教育」「医療」など、様々な暮らしの分野で事業を創出。海外展開も50ヵ国以上でサービスを提供し、「ビジネスで世界中の人々を幸せにしたい」「社会の様々な問題を解決したい」という想いを貫き、挑戦し続ける企業です。
「LIFULL」という社名は、「LIFE」と「FULL」を組み合わせた造語で、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージの下、世界中の人々へライフソリューションを広めています。
- ポータルサイト
- ポータルサイトとは、インターネットの玄関口となる巨大なWEBサイトのことを言います。 サイトが独自の情報を発信するのではなく、検索エンジンやリンク集を核として、ニュースや株価などの情報や、メールやチャットなどのユーザーがインターネット上で必要とする機能を提供しています。
- インターネット
- インターネットとは、通信プロトコル(規約、手順)TCP/IPを用いて、全世界のネットワークを相互につなぎ、世界中の無数のコンピュータが接続した巨大なコンピュータネットワークです。インターネットの起源は、米国防総省が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトARPAnetです。現在、インターネット上で様々なサービスが利用できます。
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- コンサルティング
- ビジネスはより高度化し専門的になっています。そこで、事業者のみならず専門家を呼び、彼らからアドバイスを受けながら、日々の活動を確認したり、長期の戦略を考えたりします。その諸々のアドバイスをする行為自体をコンサルティングといい、それを行う人をコンサルタントと言います。特別な資格は必要ありませんが、実績が問われる業種です。
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- リンク
- リンクとは、インターネット上では、あるページの中に記された、他のページの所在を表す情報のことを「ハイパーリンク」と呼び、これを略した言葉です。リンクのある場所をクリックすると、他のページにジャンプするようになっています。
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- Googleとは、世界最大の検索エンジンであるGoogleを展開する米国の企業です。1998年に創業され急激に成長しました。その検索エンジンであるGoogleは、現在日本でも展開していて、日本のYahoo!Japanにも検索結果のデータを提供するなど、検索市場において圧倒的な地位を築いています。
- シェア
- シェアとは、インターネット上で自分が見つけて気に入ったホームページやブログ、あるいは、Facebookなど自分自身が会員登録しているSNSで自分以外の友達が投稿した写真、動画、リンクなどのコンテンツを自分の友達にも共有して広めたいという目的をもって、SNSで自分自身の投稿としてコンテンツを引用し、拡散していくことをいいます。
- コーポレート
- コーポレートとは、日本語の「企業」のことです。インターネット上で「コーポレートサイト」という場合は、企業のホームページであることを表します。また、コーポレートは接頭語として使われることが多く、「コーポレートガバナンス(企業内統制)」などのように、他の単語と組み合わせて使うことが多いようです。会社そのものを指すことが多い「カンパニー」とは使い方が異なります。
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- コーポレート
- コーポレートとは、日本語の「企業」のことです。インターネット上で「コーポレートサイト」という場合は、企業のホームページであることを表します。また、コーポレートは接頭語として使われることが多く、「コーポレートガバナンス(企業内統制)」などのように、他の単語と組み合わせて使うことが多いようです。会社そのものを指すことが多い「カンパニー」とは使い方が異なります。
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