「無駄な作業は、自分の選択肢を減らす」Google出身者3人が語る「生産性」の本質
企業の「副業解禁」によって既存の働き方の危機が訪れる
質問者1:
会社の副業についてお聞きしたいです。副業禁止など、日本の企業特有の体質があると思います。色々工夫してみましたが、なかなか変わることができませんでした。どうしたらいいでしょうか?
ピョートル氏:
僕は、副業人間ですからね。(笑)
2つの会社を経営していたり、同時進行で複数の仕事をやっているのですが、それがとても楽しいんですよね。強みを活かしながら学べ得るので、転職や独立をきっかけに、ぜひ皆さんにもやっていただきたい。
企業自体も変わる必要がありますけど、役職のある方々は変わらないんですよね。特に日本の企業の役職は、年功序列で勝ち取った席です。「やっと何もしなくていい」となったら、人事制度を変えるのが面倒くさいんですよ。でも、ベーシックインカムみたいなものとして捉えて、それはそれで許してあげてください。(笑)
実は、経産省の方々と話していると、副業禁止にしたことを後悔している方もいらっしゃるんですよね。人事制度の手本として「副業禁止」と書いてしまったと。それに企業の人事が従ってしまったことが、結果として世間の企業の「副業禁止」に繋がっています。
伊丹氏:
僕も、副業には賛成です。現状、すぐに企業が変わることは無いと思うのですが、世間の流れ的には副業が増えていくと思います。個人の収益が下がっている中で、1つの会社で時間とお金を手にするのは難しい。
ここで、「生産性」が重要になるのですが、お金と時間を起点に副業が広がっていくと思う。効率的に働き、専門性を身につけることが重要です。
西村氏:
経産省を始め、副業解禁への取り組みが進められています。すでに副業を解禁している企業も増えてきましたが、全面的に副業が解禁されるとガラッと世間が変わるのでは無いでしょうか。
石戸氏:
僕も副業賛成です。伊丹さんと近いかもしれません。しかし副業って、「何かに満たされていない」とか「幾つかの仕事や経験を通じて相乗効果的に成長したい」という結果的にするものだと思っているんです。
「信頼残高」という言葉があります。信頼を積み重ねている人が上に立ちますし、成果も出しているんです。社外からの信頼残高が高ければ副業として成り立つのではないかなと思います。
僕ももともと今の会社とは別で、アウトドアの会社に就職する予定でした。副業として働きたいなと思っていましたが、現職のDatorama Japanが良い意味でとてもエキサイティングで、Datorama1社でも様々な経験をしているので、感覚としては副業に近い感覚ではありますね。
西村氏:
「副業」というと副収入のイメージがありますが、お金にとらわれず、社外で信頼残高を高める活動がオススメですよね。ほかに質問ある方いらっしゃいますか?
AIによる自動化を活用し「自分がやりたいこと」に集中する
質問者3:
今回のお話にあったように、生産性を高めた結果、将来的にAIが活躍すると思うのですが、今後どのような働き方をしていくのが良いでしょうか?
ピョートル氏:
かつての仕事の根本にあったのは「労働」で、服従と勤勉さが求められました。そして、次が既存のビジネスパーソンです。服従と勤勉さに加えて、「専門性」を身につけた。現代は、様々なことが自動化できる時代なので、服従とか勤勉さはいらないんですよね。
「Work」ではなく「Play」。「遊び」です。絵画や音楽制作などクリエイティブな趣味をお持ちの方はいますか?
夢中になることで、夜が明けてしまうとか、時間の感覚がなくなってくることを「フロー状態」と言います。
フロー状態には色々な研究があるのですが、問題解決力や想像力が約4倍になると言われています。
普通のビジネスパーソンは8時間勤務する内で、30分程度しかフロー状態になっていません。それを60分にすると生産性が2倍です。
伊丹氏:
僕は大学が理系でしたので、研究職に就く人が多く保守的な人ばかりでした。たしかに、大企業ならサポートしてくれるところも多く安泰ではあると思うのですが、個人として守られる保証はありません。
自分で意欲的にできる仕事に取り組むことで、数十年先は個人として安泰だと思います。「自分がどうあるべきか」を遠い先に置くようにしたいですね。
石戸氏:
スティーブ・ジョブズの言葉にもありますが、「今日が人生最後の日だったら」と考えます。明日死ぬなら今やりたいことをやった方がいいと思うんです。
何か新しいことにチャレンジしたい時や転職する時って、一般的に幾つかの要素を考えますよね。例えば、「やりがい」「共に働く人」「お金」「世間の評価」「健康」「家族や趣味」のように、その中から今の社会や家族や自分にとって何が大切なのか考えることなど、やり方の1つとして「プライオリティ」をつけるのも良いのではないでしょうか。
それは、自分の人生のフェーズによっても変わると思うんです。
西村氏:
警鐘のようになるのですが、会社に人生を預けられる時代は終わったと思うことは大事ですね。
副業禁止や転勤がある代わりに終身雇用があった。でも、それはあと5年もすれば破れ始めます。会社の依存度を下げて、いつでも解雇できる状態になるかもしれません。それを前提に考えないと危ない時代になります。
ピョートル氏:
転職を引っ越しだと思っている方もいますよね。でも、災害が起きたとき走って逃げる力を身につけるのが良いと思います。
独立するとして、「人前に立つだけでお金がもらえる」立場にならないといけません。
自分が持っているリソースを提供することで、営業せず誘われる状態じゃないと理想的な働き方はできません。そこで、転職をすると自分の市場価値がわかります。独立の指標になるでしょう。
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