この記事は、2017年10月30日に公開された記事を再編集しています。

近年、企業の生産活動の多くでIT技術が活用され始めています。ロボットによる業務効率化も、聞き慣れない言葉ではなくなってきたのではないでしょうか。

ロボットによる業務自動化の技術を、「RPA」といいます。RPAは別名「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」とも呼ばれ、人手不足に悩む企業の新たな労働者として注目を集めています。

RPAを導入すると、単純な経費精算を始め、企業に蓄積されたデータ解析と改善策の提示など様々な役割を担ってくれます。

今回は、RPAの特徴やメリット、普及の背景などを解説します。

RPAとは

RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、ロボットによる業務自動化を指します。「仮想知的労働者」を意味する「デジタルレイバー(Digital Labor)」と呼ばれることもあります。ただ、RPAはソフトウェアであり、Pepperのような人型ロボットではありません。

海外の企業では2000年代から導入が進んでおり、近年日本でも大企業を先頭に導入され始めました。

RPAは、事務作業を始め、人事や採用に関する部門まで業務を代行できる可能性があります。例えば、業務の処理手順を設定しておくだけで、ロボットがブラウザやソフトウェアを駆使して自動で処理します。

RDAとの違い

RPAに似た言葉で、「RDA(Robotic Desktop Automation)」があります。RDAは、「Desktop」という名前の通り、デスクトップ向けの専用ソフトです。RPAの「Process」が業務プロセス全体のツールを表しているのに対して、RDAはタイマー機能など、規模の小さい製品がほとんどです。

RPAのメリット

RPA導入のメリットは、以下のとおりです。

24時間働き続ける

ロボットは24時間休まず動作し、業務を処理してくれるため、大幅な業務効率化につながります。また、同じミスは繰り返さないため、正確な処理ができます。

サービスの質の向上

RPAに業務を任せることで、社員は「人にしかできない」仕事に注力できます。そのため、顧客へのフォローや課題解決に集中でき、サービスの質の向上を見込めます。

コストの削減

これまで社内の人員や、外部企業への委託(BPO・ビジネスプロセスアウトソーシング)に任せていた業務をRPAに任せることで、人件費や外部発注費用を削減できます。
業務効率化により、時間も削減できます。

セキュリティ強化

データベースの処理や管理をRPAで行うことで人為的なミスを防ぐことができます。個人情報などの漏洩防止につながります。

AI機能によるRPAの強化

RPAには、その機能の範囲により、3つのクラスがあります。このうち、AI機能が搭載されているのは、クラス2とクラス3です。

クラス1:Robotic Process Automation

クラス1は、データ入力や経費処理など、単純作業の定型業務を行います。事務業務や販売管理などに利用されます。

クラス2:Enhanced Process Automation

クラス2は、構造化されていないデータの処理といった、非定型業務を行います。蓄積したデータをもとに、法則を発見したり、売上を予測したりすることができます。

クラス3:Cognitive Automation

クラス3は、大量のデータから学習し、分析をもとに最適な意思決定までの業務を行います。ビッグデータ機械学習などを活用します。

RPA普及の背景

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引用:
少子高齢化で労働力人口は4割減|みずほ総合研究所(2017年5月)

RPAの普及には、少子高齢化による労働人口の減少が大きな背景となっています。労働人口を補うため、業務を代行してくれるRPAに注目が集まりつつあります。
RPAがソフトウェアにも関わらず労働者を意味する「デジタルレイバー」と呼ばれていることからも、その期待が伺えます。

市場予測は伸びている

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引用:
ITR Market View:AI/RPA市場2017|株式会社アイ・ティ・アール

IT業界の市場調査を行う株式会社アイ・ティ・アールによると、RPAの市場は今後大幅に成長していくと予測されています。AIとの連携が進むことで、より高度で導入しやすいRPAの実現が見込まれていることが要因です。

日本での導入企業は14%

一方、日本でRPAを導入している企業はまだまだ少ないのが現状です。ガートナージャパン株式会社は、日本企業のRPAの動向状況について調査しています。

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引用:
ガートナー、RPAに関する調査結果を発表|ガートナージャパン株式会社

RPAを「導入済み」と回答した企業は14.1%にとどまっています。「導入予定/検討なし」「分からない」の回答を合わせると、約6割が具体的な導入の意向を示していないことが分かります。

RPAは前述したクラスによって機能も様々で、実際に導入している企業も少ないために正しい情報がつかめず、理解している企業が少ないからではと予測されています。今後は企業に対して、RPAを導入する担当者が理解を深め、活用していくための教育を行うことが求められるでしょう。

RPAツール7選

RPAツールを導入することで定型業務を自動化することができます。ここでは生産性向上やコスト低減を見込めるRPAツールを紹介します。

BizRobo!

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https://rpa-technologies.com/products/
RPAテクノロジーズ株式会社が提供するRPAツールです。国内400社以上の現場で業務を代行してきた経験を元に、契約管理や顧客管理と行ったビジネスプロセスからブログやSNS投稿の自動化、また価格調査や特許検索といった情報調査まで幅広く定型業務を自動化できます。

HRRobo For SAP HCM

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https://www.odyssey-net.jp/solution/hrrobo/
人材コンサルティング会社のオデッセイ社が提供するRPAツールです。同社の人事管理ソフトウェアであるSAP HCMを利用した人事業務をソフトウェアロボット「ILias」に代行させるRPAソリューションとして提供しています。

ILiasによると、人間が持つ処理能力の24倍の業務が可能(オデッセイ社の計測)としており、労働力不足の解決につながります。

SynchRoid(シンクロイド)

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https://www.softbank.jp/biz/other/rpa/
ソフトバンクが提供するRPAソリューションです。同社の強みである「IBM Watson」や「Pepper」などと連携が可能で、同社は「単純な定型業務だけでなく、判断が伴うような非定型業務も自動化が可能」としています。

今年7月にはクラウド会計ソフトを提供するfreee社と提携を発表しており、バックオフィス業務全般のルーティン業務を自動化できるようになりました。

UiPath

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https://www.uipath.com/ja/
UIPathは全世界で1,000社以上の導入実績を持ち、ロボットでワークフローを自動化できる「UiPath Studio」やワークフローを実行する「UiPath Robot」、ロボットの稼働状況を管理する「UiPath Orchestrator」で構成されます。

また中小企業や教育機関、非営利団体だけでなく、個人の開発者が無料で使える「UiPath Community エディション」を提供しています。UiPathの使い方を学べる動画チュートリアルやオンラインの無料トレーニング、日本語のサポートコミュニティなどもあるため、初心者に導入しやすい環境が整っていると言えるでしょう。

WinActor

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https://winactor.com/
WinActorはWindows端末上のアプリケーション操作を学習し、自動で実行するソフトウェアロボットです。NTTグループが開発・提供するRPAツールです。2018年2月現在で800社以上の企業が導入しています。
プログラミングなどの知識がなくても自動化のシナリオファイルが作成できるため、導入初日から業務の自動化に取り組むことが可能です。

Automation Anywhere

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https://www.automationanywhere.co.jp/
調査期間であるForrester社が発表した内容によると、世界15のRPAプロバイダーの中でもトップクラスとされています。2018年3月には東京に日本オフィスを開設し、日本展開を強化しています。最近では横川電気などにも採用実績があるように大規模導入に適しているといった特徴があります。

参考:
Automation Anywhere Named a Leader in Robotic Process Automation by Independent Research Firm

BluePrism

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https://www.blueprism.com/japan
イギリスのロンドンに本社を置くBluePrism社が提供するRPAツールです。2001年に設立され、RPAツールを提供する老舗として知られています。サーバー中央管理型でロボットを制御するため、Automation Anywhrereと同様に大規模導入に適しています。

まとめ

これまでは単純な作業を中心に処理していたロボットも、IT技術の進化やAIの搭載で更に高次な作業を担えるようになってきました。
「デジタルレイバー」の言葉通り、人間の労働者と同じくらいなくてはならない存在となる日も近いかもしれません。

積極的に取り入れることは難しくても、まずは単純な業務から代替するだけで、自社の仕事の効率化に繋がるはずです。