ネットショップを運営していると、毎月の客数や売上が変動して安定しない、リピートが少ないなどの問題にぶつかる方は少なくないでしょう。
インターネット上では顧客の姿は直接見えないため、実際の売上やアクセス解析の数字から推測せざるを得ません。

一方で、近年の消費者は企業や商品との心理的距離を重視するようになっています。FacebookやTwitterなどのSNSの利用率は毎年高まっている中、SNS上で顧客とコミュニケーションをとる企業も増えてきました。

ネットショップにおいても、SNSなどのソーシャルメディアを活用し、顧客との関係を深めながら販売促進を行う手法「ソーシャルコマース」が広がっています。
ソーシャルコマースでは、主に企業ではなく一般ユーザーが商品を紹介するため、顧客の信頼度も高まりやすくなります。

今回は、ソーシャルコマースの基本と事例をご紹介します。

ソーシャルコマースとは

ソーシャルコマースとは、ソーシャルメディアとネットショップを組み合わせた販売促進の手法を指します。
ちなみにソーシャルメディアとは、SNSや動画共有サイト、ブログなど、インターネット上で個人による情報発信や個人間でのコミュニケーションが行われる情報メディアのことです。

これまでは、例えば友人がSNSで投稿した商品を「欲しい」と思ったとき、自分で商品を検索し、ネットショップや実店舗で購入するという流れが一般的でした。
ソーシャルコマースでは、投稿されたSNSからそのまま商品ページに遷移し、購入することができます。

SNS利用者は年々増加

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引用:
2017年度 SNS利用動向に関する調査|ICT総研

SNSの利用者数と利用率は年々増加しており、今後も伸長していくことが予想されています。近年は、企業によるSNSを活用した取り組みも活発になっており、SNSは新しいビジネスの場としても広がっています。

Eコマースの市場は拡大

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引用:
平成28年版情報通信白書|総務省

SNSと同様、ネットショップ(Eコマース)の市場も拡大しています。インターネットの普及により、ユーザーは気軽にパソコンやスマートフォンからネットショップにアクセスし、商品を購入できるようになりました。

ネットショップ(Eコマース)とソーシャルコマースの違い

ネットショップは「検索」が主体

ユーザーがネットショップを利用するとき、ほとんどは欲しい商品や気になっているカテゴリを検索します。
ネットショップは検索結果を表示したり、検索履歴や行動履歴から商品をレコメンドしたりします。ユーザーのニーズがある程度顕在化している商品を表示し、購入を促す仕組みとなっています。

ソーシャルコマースは「関係性」が主体

ユーザーが能動的に検索行動を行うネットショップとは違い、ソーシャルコマースは友人やフォローしているインフルエンサーなどの投稿を受動的に目にする中で、商品を発見します。
友人など近い存在からの紹介は信頼度も増すため、商品への印象も自然と高まる可能性があります。

ユーザーの潜在的なニーズを発掘し、紹介の影響で商品のイメージも高める可能性があることが、ソーシャルコマースの特徴です。

SNSの投稿を見て商品を購入した経験は約50%

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引用:
トレンダーズ、女性のSNS利用と消費行動に関する調査を実施|トレンダーズ株式会社

トレンダーズ株式会社は、女性のSNS利用と消費行動に関する調査結果を実施しました。
その中で、平均して50%以上の女性が、SNSの投稿を見たことがきっかけで商品を購入したことがあると回答しました。

ファッション・美容系など女性向けのネットショップにとっては、特にメリットの大きい市場だといえるでしょう。

ソーシャルコマースのメリット

ユーザー接点の増加

ソーシャルメディアでは、企業だけでなくユーザー個人からも発信する場が機能しています。そのため、企業や商品とユーザーが接点を持つ場を増やすことができます。

購入における利便性の向上

ユーザーはSNSなどの投稿を見て、「欲しい」と思ったタイミングですぐに購入行動に移ることができます。企業側からも、購入途中の離脱を防ぐことができます。

ソーシャルコマースの種類

ソーシャルコマースには、サービスの特性によって7種類に分類できます。

【1】C2Cタイプ
【2】SNSタイプ
【3】グループ購入タイプ
【4】レコメンドタイプ
【5】ユーザーキュレーションタイプ
【6】ユーザー参加タイプ
【7】O2Oタイプ

参考:
[The 7 Species of Social Commerce|Mashable](http://mashable.com/2013/05/10/social-commerce-definition/#P4Otmxf4YEqh)

【1】C2Cタイプ

C2Cタイプは、個人から個人(CtoC)に向けたショッピングサイトのことを指します。「Amazon Market Place」などがあります。

【2】SNSタイプ

SNSタイプは、SNS内の投稿や紹介、広告をもとに購入するサービスです。Facebook、Pinterest、Twitterなどがあります。

【3】グループ購入タイプ

グループ購入タイプは、他ユーザーも合わせて申し込み、企業側があらかじめ決めておいた購入人数を満たせば、割引や特典をつけて購入することができるサービスです。Groupon、LivingSocialなどがあります。

【4】レコメンドタイプ

レコメンドタイプは、商品やサービスのレビューを集め、これまでの購買行動に基いて商品をオススメするサービスです。Amazon、Yelpなどがあります。

【5】ユーザー選定タイプ

ユーザー選定タイプは、各ユーザーが作成したショッピングリストの中から購入できるサービスです。The Fancy、Lyst、Svpplyなどがあります。

【6】ユーザー参加タイプ

ユーザー参加タイプは、クラウドファンディングのような、商品が販売される前の開発や企画から関わることができるサービスです。Threadless、Kickstarter、CutOnYourBiasなどがあります。

【7】O2Oタイプ

O2Oタイプは、買物について他のユーザーに相談したり、意見交換をしたりするチャット機能などがついたサービスです。Motilo、Fashismなどがあります。

ソーシャルコマースが実施できる主要SNS

Facebook

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Facebook

現在、企業はFacebook内でショッピングページを作成できます。広告やカタログの配信、メッセンジャーでユーザーと連絡をとることが可能です。

インスタグラム

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Instagram

インスタグラムは、特に10代から20代のユーザーに多く利用される、写真に特化したSNSです。様々なカテゴリの写真が投稿される中で、企業も自然にPR画像やキャンペーンを実施できます。

ユーザーはアプリ上の写真からそのまま商品を選択して購入できるため、利便性も高いといえます。

Pinterest

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Pinterest

Pinterestは、インターネット上の画像を自分の「ボード」と呼ばれるページに集めることができる画像収集サービスです。ショッピング機能も搭載しており、気に入った商品画像をクリックすると、その商品の販売ページへ遷移することができます。

まとめ

情報が溢れる今、ただやみくもに企業が商品のメリットを一方的かつ広範囲にアピールしても、顧客からの関心は集めにくくなっています。顧客1人に響く情報をいかに響かせる形で提供していくかが重要です。

企業と顧客の距離がどんどん近づいている中、自社でもソーシャルコマースを検討してみてはいかがでしょうか。