インターネットの利用率は年々高まっています。

インターネットというと若者にフォーカスしてしまいがちですが、実は60歳以上のシニア層も積極的に利用していることをご存知でしょうか。今はシニア向けスマートフォンも登場し、インターネットに慣れていない方も手軽に利用できるようになっています。

中でもSNSは、日常生活で孤立してしまいがちなシニアの新しいコミュニティとして広がってきています。シニア向けの商品やサービスの販売促進やプロモーションのため、SNSを活用する企業も増えてきました。

今回は、シニア層がSNSをどう活用しているのかに触れつつ、シニアに特化したSNSをご紹介します。SNSを使ったプロモーション施策の1つの手段として参考にしてみてはいかがでしょうか。
  

インターネットを利用するシニアが増えている

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引用:
平成28年版情報通信白書|総務省

上のグラフは、総務省がまとめた年齢層別のインターネット利用率です。

2014年と2015年を比較すると、10〜50代は既に90%以上がインターネットを利用しているため、微増にとどまっています。一方、60〜80代のシニア層では、全年齢の中では利用率は低いものの、順調に伸長していることがわかります。

今後も、全年齢層の伸長とともに、シニア層の利用率も増加すると考えられます。
  

シニア市場でもスマホシフトが進行

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引用:
2017年シニアのスマートフォン利用に関する調査|MMD研究所

シニア層が利用する携帯端末は、フィーチャーフォンからスマートフォンへ移行しています。フィーチャーフォンとは、2つ折り型などの従来の携帯電話のことです。「ガラケー」とも呼びます。

スマートフォン化は特に若年層に顕著に現れていますが、シニア層も少しずつ変化していることがわかります。
  

シニアの約半数がSNSを利用

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引用:
2017年シニアのスマートフォン利用に関する調査|MMD研究所

iPhoneユーザーとAndroidユーザーごとにスマートフォンで利用しているサービスをまとめています。その結果、細かい利用率は違うものの、SNSでは「Facebook」「Twitter」「インスタグラム」を利用しているユーザーが一定数存在していることがわかります。
  

シニアがよく利用するのは「Facebook」と「Twitter」

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引用:
シニアがスマホで利用しているSNSは「Facebook」と「Twitter」|シニアガイド

次に、主要SNSの利用率を見てみましょう。シニア層はよく利用しているSNSは、「Facebook」と「Twitter」です。
  

SNSを利用する主な目的は「近況投稿」や「閲覧」

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引用:
シニアがスマホで利用しているSNSは「Facebook」と「Twitter」|シニアガイド

FacebookとTwitterでの利用状況を見ると、各SNSによって大きな差が出ています。Facebookでは「近況投稿」が多く、Twitterでは「閲覧のみ」のユーザーが多いことがわかります。

また、Facebookでは自身の「近況投稿」に加え、「メッセージやコメント」のやり取りも頻繁に行われています。Facebookはシニア層にとって、友人とのコミュニケーションの場になっていることが考えられます。
  

シニア向けSNS

Facebook、Twitter、インスタグラムなどのSNSのほかにも、シニア向けのSNSがあります。シニア層にとって使いやすい簡単な機能、興味関心をひくコンテンツが揃っています。

今回は、主要なシニア向けSNSを5つ紹介します。

1. らくらくコミュニティ
2. 趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)
3. Slownet
4. 憩いの喫茶店.com
5. シュミカツ!

  

1. らくらくコミュニティ

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[らくらくコミュニティ]

らくらくコミュニティは、富士通株式会社が提供しているシニア向けSNSです。元々NTTドコモの「らくらくスマートフォン」向けのコミュニティサービスでしたが、2013年に大幅リニューアルし、SNSとして広く会員を集めています。
  

2. 趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)

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趣味人倶楽部

趣味人倶楽部は、旅行などの趣味や興味を共有することでユーザーと交流できるSNSです。他ユーザーの日記を読めたり、イベントに参加したりして交流を深めることができます。趣味のジャンルによってコミュニティが数多くあるため、同じ趣味の友人をつくる事ができます。
  

3.Slownet

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Slownet

Slownetは、「交流する」ことをコンセプトとした大人向けのSNSです。ブログやつぶやき、写真の投稿で発信することができます。趣味のサークルに参加したり、特集記事やメルマガでの情報収集も可能です。
  

4. 憩いの喫茶店.com

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[憩いの喫茶店.com]

憩いの喫茶店.comは、中高年の方向けのコミュニティサイトです。登録すると、日記やアルバムに投稿することができます。アクセス数の多いユーザーや、投稿数の多いコミュニティなどがランキングでも表示され、会員同士で気軽に交流できます。
  

5.【サービス終了】シュミカツ!

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シュミカツ!

シュミカツ!は、旅・健康・園芸などの趣味を日記のように記録し、交流できるSNSです。自分にしか閲覧できない「シュミロク」で毎日の趣味活動も記録できます。カテゴリごとに多種多様な趣味の情報を収集でき、趣味を通じていろいろな人と交流できます。
  

シニア向けSNS施策の事例

シニア向けSNSで販売促進支援

富士通は、運営するシニア向けSNS「らくらくコミュニティ」で、企業の販売促進支援を行っています。「らくらくコミュニティ」は、会員数約120万人を抱える、シニア層の会員規模が日本最大級のSNSです。

企業は「らくらくコミュニティ」の中には、「3週間限定で専用掲示板を設置できるサービス」と「商品やサービスに関するコンテンツを4週間掲載できるサービス」があります。また、掲載できるだけで無く企業サイトへのクリック数など、行動履歴の傾向を分析できるのが特徴です。

このサービスは、先行して資生堂や北海道ガス、ピップ、小学館などが利用しています。

例えば、資生堂では下記のような活用を行っています。

「資生堂プリオール共同企画・メイクのお困りエピソード大募集」を3週間実施しました。また、資生堂プリオール公式アカウントとして情報発信を行うなど、シニアユーザーとの接点づくりに活用いただきました。
引用:シニア向けSNSを活用したマーケティングサービスを販売開始 : 富士通

参考:
らくコミュタイアップマーケティングサービス : Fujitsu Japan
[富士通、シニア向けSNSで企業の販促支援|日本経済新聞]
  

趣味と健康増進を目的としたスマホ・SNS活用講座

アウトフィット有限会社は、従来提供していたインターネット講座に加え、スマートフォンやタブレット・SNSの活用講習を実施しています。

アウトフィット有限会社の所在地である徳島県三好市は、高齢化率(総人口にしめる65歳以上の割合)が4割を超えており、高齢化が進んでいます。

高齢者の孤立を防ぎ、地域内で気軽にコミュニケーションをとれるようになることを目的として、講習を開始しました。スマートフォンやタブレットを操作することは、脳と身体の活性化にもつながるといわれています。

参考:
シニアがSNSを活用し、料理教室で腕をふるう! 趣味と健康増進のためのスマホ・SNS講習を開始|日本老友新聞
  

まとめ

若者の利用が中心のSNSですが、インターネットの普及に伴い、シニア層の利用も増えています。1人暮らしで孤立しがちな方にとってのコミュニティの場になったり、老後に楽しむ趣味を共有する場になったりと、今後も活用の幅は広がっていくでしょう。

シニア層の顧客との距離を縮める新しい施策として、SNSの活用を考えてみてはいかがでしょうか。