運用型広告が普及したおかげで、マーケティング予算の少ない中小企業でも比較的手軽に動画広告を出稿しやすい環境になりましたが、貴重な予算を使うからには、きちんと効果検証を行い、次の施策へと活かしていくことが求められます。

そこで今回は、動画広告における効果指標の基礎を解説していきます。

これから初めて動画広告に取り組む方も、すでに運用経験がある方も知識の整理として、ぜひご一読ください。
  

目的別に考える動画広告の効果指標

動画広告の目的は、主に「ブランディング」と「ダイレクト(獲得)」に大別することができます。本記事ではまず、この2タイプの動画広告における効果指標の違いを中心に解説します。
  

ブランディング目的の動画広告

ブランディング広告とは、商品やブランドをより多くの人に認知してもらったり、ブランドイメージを向上させることを目的とした広告を指します。いわゆるテレビCMのようなクリエイティブと言えばイメージしやすいでしょうか。

  

※動画はいずれもLOCUS制作実績
  
このようなブランディング動画における主な効果指標は、下図のとおりです。指標の性質上、「認知獲得系」または「エンゲーメント系」に大別でき、その施策において何を重視するか次第でKPIとする指標が変わってきます。

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例えば、新商品ローンチをより多くの人に告知したい場合はリーチ数やユニーク視聴者数が重要な指標になるでしょう。あるいはブランドの世界観を表現するドラマ仕立ての動画広告の場合は、完全視聴率やエンゲージメント率もウォッチした方が良いでしょう。
  

ダイレクト(獲得)目的の動画広告

ブランディング広告とは対照的に、ECでの商品購入、新規の会員登録、アプリのインストール等、広告視聴後に特定のアクションを起こしてもらうために配信するのが、ダイレクト(獲得)目的の動画広告です。

ブランドイメージの訴求ではなく、商品メリット等を直接的に訴求し、潜在的/顕在的にニーズを持っている人の行動を促すようなクリエイティブが多く用いられます。

※動画はいずれもLOCUS制作実績

このような広告においては通常、以下のような効果指標が用いられます。広告配信から獲得までの動線設計によって、見る指標が変わります。

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ブランドリフト

続いては、動画広告の定性的な効果を可視化できる「ブランドリフト」についてご紹介します。
  

ブランドリフトとは

「認知度を上げたい」「ブランドをもっと好きになって欲しい」等、ブランディング目的の動画広告では、その本質的な成果を、上でご紹介した再生数や視聴維持率等の定量的なデータだけで判断することは難しいという面があります。そこで近年用いられるようになっているのが「ブランドリフト」という考え方です。

ブランドリフトとは、広告がどれだけ視聴者の「態度変容」を引き起こしたかを可視化できる効果計測手法で、その広告に接触した人と、接触していない人に同じアンケート調査を実施し、そのスコアの差を“ブランドリフト(ブランドがどれだけ向上したか)”として評価します。

ブランドリフトにおける主な指標とアンケート調査の質問例は下図のとおりです。

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読者の皆様も、YouTubeやFacebook、ニュースアプリ等の広告枠の中で、「次に挙げる企業の広告を見たことがありますか?」等のアンケートに遭遇したことが一度はあるのではないでしょうか?

かつては、テレビCMの広告効果を計測するためには、大きな予算をかけて調査会社に依頼する必要がありましたが、オンラインの世界ではブランドリフトも手軽に計測できるようになっているのです。
  

ブランドリフトを計測できるサービス

昨今は、ブランディングを目的としたWEB動画広告を配信する企業が増え、効果測定に対する意識も高まってきたという背景もあり、動画広告メニューとともにブランドリフト計測サービスを提供するメディアやアドネットワークも増えています。

以下はその一例です。

・Googleブランド効果測定
・Facebookブランドリフト調査
・LINE Ads Platformブランドリフトサーベイ
・動画アドネットワーク「LODEO」(株式会社サイバーエージェント)
・動画アドネットワーク「PolymorphicAds」(株式会社カームボールド)
・スマートフォン動画広告プラットフォーム「AppCM」(株式会社アップシーエム)
・アプリ内動画広告ネットワーク「Tapjoy」(タップジョイ・ジャパン株式会社)

また、インターネット調査会社等も、自社で抱える調査パネルを用いたブランドリフト調査サービスを提供している場合があります。

それぞれに機能的な特徴や実施条件、コスト等が異なりますので、動画広告を配信してブランドリフトも計測したいと考える場合には、各社のサービス内容をよく聞いて比較してみるとよいでしょう。
  

まとめ

今回ご紹介した効果指標はあくまで標準的な考え方であり、自社の施策内容や目的に応じて適切なKPIを設定することが大切です。KPIは必ずしも一つではなく、重要度に差をつけて複数設定するケースもよく見られます。

まずは動画広告の目的を明確にし、それにふさわしいKPIを設定するところから始めてみてください。