Slackの成功事例から学ぶ、フリーミアムモデルの収益化のヒント
課金ポイント。より広い領域へのグロース
Slackが無料と有料で異なる部分として、メッセージやストレージなどの上限があります。例えば、無料版におけるメッセージ数の上限は10,000件です。これは小規模のチームや、短期間のプロジェクトに関しては問題なく利用出来るでしょう。
しかし、企業全体として使うとなるとあっという間に制限に達してしまいます。ここが、Slackの課金ポイントの1つです。
株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)のSlack導入事例によって、より理解を深めることが出来ます。
DeNAにおいて、Slackの導入はボトムアップで進んでいきました。エンジニアから、徐々に企業全体へと広がっていったのです。
当初、エンジニアのうちの数人がSlackの存在を知り、利用し始めたと言います。その使いやすさから、他のチームにも勧めるようになり、導入が進んでいきました。
ビジネスコミュニケーションツールの重要性が高まってくると、効率化のために一元的なツールを導入することが大切になります。
その際に、エンジニアチームと他の部署との間で、コミュニケーションに溝が生じてしまう課題がありました。そうした背景もあり、企業全体としての導入がボトムアップで進んだのでした。
Slackのユーザーが、1つの小規模チームから、企業全体へと広がっていく際に課金ポイントが設定されていたことが分かります。こうした広がりを可能にしたのは、前述した、ユーザーファーストの開発によるコアなファンの獲得があってこそといえるでしょう。
参考:
株式会社ディー・エヌ・エー | カスタマーストーリー | Slack
有料移行後のサポート
当初は小規模チームでの活用が主だったSlackですが、より活用の規模が広がってくると、そこへの配慮も忘れませんでした。
例えば、Web上で「Slack活用ガイド」を公式に提供しており、業務の各フローや、部署などのシチュエーションごとに、具体的な使用方法までを提案しています。
これによって、具体的にSlackでどのように業務が効率化するのか、具体的な活用方法がハッキリ理解できるようになっています。
こうした丁寧なサポートによって、有料会員に移行してユーザーのニーズが広がったあとも、高い満足度によって継続的な利用につながっているのです。
まとめ
サブスクリプションモデルは、いかに長くサービスを利用し続けてもらうかが収益性に直結します。
その中の戦略の1つがフリーミアム戦略でした。基本機能を無料で提供したうえで、高度な機能に対して課金要素を設けます。
今回はフリーミアムにおける戦略を考える1つのヒントとして、Slackの事例をご紹介しました。ポイントは、徹底したユーザーファーストの姿勢で、小さなコミュニティを囲い込んだことといえるでしょう。
細かなヒアリングや改善を繰り返したことで、エンジニア層で確かなファンを獲得。これが有料化を成功させるための鍵になりました。
ビジネスコミュニケーションアプリの普及に伴い、企業全体でやり取りできる一元的なツールを取り入れたいニーズがあったこと。
その際にアーリーアダプターであるエンジニアを囲っていたことで、企業全体としての導入に結びつきました。
もちろん有料移行後のサポートもしっかりと行わなければ、継続利用につながらず収益に結びつきません。
フリーミアムモデルにおける無料と有料の違いは、単なる機能の違いに終始するものではない。Slackの事例は、そのようなメッセージを含んでいるとも考えられます。
最終的に有料に移行してほしいターゲットを逆算し、ユーザーの広がりを上手く利用すること。これは、フリーミアムモデルを成功させるための1つのヒントになるのではないでしょうか。
- アプリ
- アプリとは、アプリケーション・ソフトの略で、もとはパソコンの(エクセル・ワード等)作業に必要なソフトウェア全般を指す言葉でした。 スマートフォンの普及により、スマートフォン上に表示されているアイコン(メール・ゲーム・カレンダー等)のことをアプリと呼ぶことが主流になりました。
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