Lesson4「考えるよりもボーッとしよう!」 - 1億総作り手時代に"子どもがクリエイターになる教科書" -
アイデアが出やすくなる状況は作れる?
「時間が速くなっている感覚」がキーポイント
では、もっとアイデアが出やすくなる状況は作れないのでしょうか?
さきほど上げたアイデアが出やすい状態「歩いている時、お風呂、サウナ、シャワーを浴びている時、ボーッとしている時、車を運転している時」にはもう一つの共通点があります。
時間が速くなっている感覚です。ボーッとしていると快適で時間がいつのまにか過ぎています。逆にイヤな人と会議をすると、時間は長く感じることはないでしょうか?
「早く会議おわらないかな」と意識してしまうために、かえって長く感じてしまうのです。
つまり時計などの客観的な時間とは別に、主観的な時間感覚があります。そして先ほどの会議の例のように、意識が強いほど主観的な時間は遅くなるのです。退屈でイライラしている時は時間を長く感じます。
反対にぼーっとしている意識の低い状態は、時間がいつのまにか過ぎているので主観的には時間が速いのです。
「ボーッと」している時、脳内で高速で情報処理が行われている
実は脳内での情報処理スピードも実際にボーッとしている方が上がっています。
無意識の情報処理速度が、意識的な状態の速度に比べて速いことは脳科学の世界で神経生理学者のベンジャミン・リベットなどによって計測されています。
概念的に図解するとこのようになります。
ちょっと難しい図なので順番に説明します。
波が一番高い=意識が高い、思考している状態を示しています。この状態だと脳内の情報処理のスピードが落ちるため、ある客観的な時間に対し一つのプロセスしか処理できません。
一方で波が低い、無意識だと3〜2プロセス処理できます。意識が低いほど処理数が多くなり、主観的には高速で時間が流れている状態になります。
つまりボーッとしている状態の脳は、広範囲に発火しているだけでなく、高速で情報処理を行なっており、20倍も負荷がかかってもおかしくありません。
意識が高いほど時間は遅くなりますが、何を考えているか明確に把握できるのでコントロールしやすいという特徴があります。意識が低いほど速いけど見えにくいのでコントロールは難しくなります。
そのためアイデアが出るかどうかは分からない、という状態になるのです。そのような不確定な状態は不安になるため、多くの人は脳の働きを抑制し、意識を高めて最適解を探す方を選ぶのだと思います。
しかし、ボーッとして意識を下げることで主観的な速度を上げる方法を知って、アイデアを出す確率を高められることが分かれば不安も解けてくると思います。
*アイデアは異なるモノの組み合わせであり、組み合わせる素材の数が多いほどアイデアが生まれる確率は上がります。*範囲が広くて時間が速いと、同時に想起できるモノの数が増えるのでアイデアが生まれやすいのです。
まとめ
クリエイターがアイデアを思いついたとき「自分が考えたように思えない」「降ってきた」という表現をすることが多いのですが、これまで話したように無意識下で情報を組み合わせる作業をしているので、意識的ではないからです。
ただし、考えるにしてもアイデアにしても、どちらも素材となる情報が必要なため、勉強すること自体は大事で重要です。ただその情報をそのまま使うのか、組み合わせて使うのかという前提では勉強の仕方も変わってきます。
簡単に言えば組み合わせて使う場合は、より広い範囲の情報があった方がよいわけです。なので本来の勉強には見えない雑学も、アイデアの素材にはなります。
「All work and no play makes Jack a dull boy」
(勉強ばかりで遊ばない子どもはバカになる)
という格言は脳科学的にも真実だったわけです。考えてばかりいると20分の1の脳活動になるわけですから。子どもはできるだけ遊ばせて、ボーッとさせたいですね。
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