国内ECシェア2位の「楽天市場」は、企業が参入しやすいECプラットフォームです。

しかし、参入している企業が多いため商品が検索結果に埋もれてしまい、ただの価格競争になっていると感じている楽天ショップ担当者もいるのではないでしょうか。

価格だけではなく、ブランドのファンを増やしていく手段として利用されているのが「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」です。

今回は、インテリア専門SNSマーケティングツール「RoomClip」を提供しているルームクリップ株式会社監修のもと、既存ユーザーが作るコンテンツを活用したマーケティング「UGC戦略」について解説します。

10年以上前からファンを巻き込んだマーケティングを展開している「壁紙屋本舗」の事例も交えて紹介しますので、ブランディングに課題を抱えているEC担当者はぜひ参考にしてください。

参考:
ジェトロ世界貿易投資報告 2017年版

ブランド価値が低いと価格競争になってしまう

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引用:楽天市場

楽天ショップはその出店の手軽さゆえ、非常に多くの企業が参入し商品点数も膨大です。そのため、1つひとつの商品はモールの検索結果に埋もれてしまい、どうしても価格勝負になってしまいがちです。

ユーザーに価格以外の価値を訴求するためには、企業のブランディングが必要です。「楽天市場でベッドが欲しいから安いものを探そう」ではなく、「楽天市場で売っているこのブランドのベッドが欲しい」と思ってもらえれば、ブランド名で商品を検索してもらえます。

ブランディングのためには、広告予算をかけたり、SNSやオウンドメディアを運営し長期的にファンを集めたりするのが有効です。

しかし、広告予算やメディア経営のコストを用意できない場合もあります。そこで注目したいのが「UGC」を活用したマーケティング戦略です。

ショップのファン作りには「UGC」の活用を

「UGC」とは「User generated content」の略称です。日本語ではユーザー生成コンテンツと訳されます。企業がお金をかけて出稿している広告や自主的に運営しているブログ、SNSとは違い、ユーザーが生成し発信しているコンテンツのことです。

  • 商品を購入したときに書き込む口コミ
  • ユーザーが商品を身につけたSNS投稿

などがUGCに当たります。

参考:
UGCとは?~今知っておきたい!要注目のマーケティング・キーワード~
ユーザーを巻き込んでブログメディアを拡大させる「UGC」戦略とは?

ユーザーがコンテンツを発信しやすい環境を整える

UGCをマーケティングで活用するためには、企業側でユーザーが発信しやすい環境を整える必要があります。

例としては、InstagramやTwitterで実施されているハッシュタグを利用したプレゼントキャンペーンが挙げられます。

「〇〇を使った写真をハッシュタグを添えて投稿してください。抽選で10名様に商品をプレゼント!」

というキャンペーンを実施すれば、ユーザー側は利用シーンを投稿しようという気になるでしょう。しかし、毎度プレゼントキャンペーンを実施していては、企業側のコストもかかります。また、ユーザーにも飽きられてしまうかもしれません。

UGC戦略の理想は、ファンが自主的にコンテンツを広げていくことです。そこにコミュニティが生まれれば、ユーザー主体でどんどんコンテンツが広がっていき、既存ユーザーから新規ユーザーを獲得できる導線も増えていきます。

新規の獲得には既存ユーザーの実例紹介が有効

ルームクリップ株式会社の運営しているインテリア専門SNSサービス「RoomClip」では、ユーザーの投稿を活用してファンを獲得できる楽天ショップ向け企業アカウントメニュー「おすすめショップ」を提供しています。

おすすめショップを利用している企業の中で、多くのフォロワーを抱え、ユーザーからの商品投稿を多数集めているのが「壁紙屋本舗」です。壁紙屋本舗では、2000年頃からUGCを活用した施策を実施してます。現在は、RoomClipをUGCからユーザー同士のコミュニティが生まれるプラットフォームとして活用しているそうです。

ルームクリップ株式会社 取締役 川本 太郎 氏と、株式会社フィル 番頭 林 耕一郎氏に、今までも続けてきたUGC戦略とRoomClipの効果について語ってもらいました。

プロフィール

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左から
川本 太郎(かわもと たろう)氏/ルームクリップ株式会社 取締役

1983年生まれ。東京大学文学部卒業後、日本経済新聞記者を経て2013年にルームクリップ株式会社(当時Tunnel株式会社)の執行役員として就任。2015年より同社ビジネス担当役員として、住まい・暮らし関連の企業を中心にキャンペーン200件以上を企画・実施する。

 林 耕一郎(はやし こういちろう)氏/株式会社フィル 番頭
1974年生まれ。内装インテリア業界、カフェコンサル業界を経て、なぜか現社には壁紙職人として入社するも、1日も現場に出ることなく、気がつけばECサイト壁紙屋本舗の店長として、EC事業部でWEBサイトの企画、運営に従事。また、マーケティング、新商品の企画や、リアルイベントの立ち上げ、運営なども行う、まさに番頭的立ち位置。

UGCには行列のできる店を演出する力がある

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どうして壁紙屋本舗はRoomClipを使い始めたのでしょうか。

川本 氏
声をかけたのはRoomClipからです。おしゃれな部屋の投稿に「壁紙屋本舗」のタグが付いていることが多くて。調べてみたら、壁紙屋本舗さんは楽天ショップのカリスマで人気があることを知りました。その時すでに壁紙屋本舗さんではUGCの取り組みをやっていましたよね。

林 氏
2000年ぐらいからお客さんに壁紙の実用例を写真に撮って送ってもらう「みんなのリフォーム」をやっていました。壁紙はそれだけでは商品になりません。お客さんが施工して初めて商品になります。なので、新規ユーザーの獲得にはお客さんの実用例を紹介するのが1番有効なんですよね。

みんなのリフォーム:壁紙屋本舗で実施しているユーザー参加型企画。壁紙屋本舗で販売した壁紙を貼り付けた様子を、ユーザーから募集し自社サイトなどで紹介している。

川本 氏
「みんなのリフォーム」を始めた理由はなんだったのですか?

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林 氏
実際に壁紙を貼っている人が少なすぎたからです。「みんなが壁紙を貼っているよ」を演出するには1つひとつ事例を出すしかなかったんですよ。誰かが貼っているのを見ることで、お客さんは「みんなが貼っているんだから自分も貼ろう」という気持ちになります。行列ができている店を見せて、並びたくなるような気持ちにさせる感じに近いかな。

川本 氏
それは1件1件お声がけを?

林 氏
そうですね。今でも続けていますが、始めた当初から購入者全員にフォローメールで声がけをしています。ですので、数が多いわけではありません。「みんなのリフォーム」を始めた当初はデジカメを持っているお客さんもそんなに多くはなかったので、メールで声をかけて写真を送ってもらっていましたよ(笑)

川本 氏
本当に原初的なUGCのあり方ですよね。最近はバズワードのように「UGC」という言葉を聞きますが、やっているところは昔からやっているんですよね。

林 氏
ただ「みんなのリフォーム」は、あくまで静的なコンテンツなんです。メールでお客さんから写真や感想をもらって、それに対して壁紙屋本舗のスタッフがコメントをつけて投稿しています。それに対してRoomClipさんは、そこからお客さん同士のコミュニティが生まれているのが大きいと思います。そのコミュニティが、壁紙屋本舗を知らない人がブランドを知るきっかけになって新規顧客が生まれるなと。あとは、壁紙と画像投稿系のSNSとの相性がすごく良かったんです。

エンドユーザーと一体化するような取り組みを

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川本 氏
壁紙屋本舗さんと言えば、ブログを使ったユーザー参加型企画「リフォーム選手権」もやっていますよね。

リフォーム選手権:壁紙屋本舗で実施しているリフォーム案を募集してブログに投稿してもらうユーザー参加型企画。応募者の中から数名選抜し、リフォームしている様子を数ヶ月単位でブログに投稿してもらい最終グランプリを決める。

林 氏
はい。もう12回目になりますね。ありがたいことに、回を重ねていくごとに投稿者数も増えてきています。

川本 氏
企画の中でブロガーさんとのやり取りをかなり密にやっているように見えるのですが、どのようにやっているのですか?

林 氏
選抜した各ブロガーさんの担当を全社員に割り振ってチームを作っているんです。担当するブロガーさんのすべてをフォローする気持ちで取り組んでいます。決まった方に対しては、一緒にグランプリを取りに行くチームとして、施工のノウハウなどもフルサポートです。ユーザーさんと一体化しているような気持ちで取り組んでいますね。

川本 氏
全社員でユーザーさんを支えているっていう会社の文化作りがすごいですよね。社員の人たちが、自分が誰を向いて仕事をしているのかを実感する時間にもなりますし。自分たちが売っているもので人の暮らしが豊かになって行く様が見えると、会社の雰囲気も良くなるのでしょうね。

ECを運営していると、だんだんエンドユーザーって見えなくなるじゃないですか。そのエンドユーザーを身近に感じながらECを運営できてるのが壁紙屋本舗さんの強みだと思います。

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林 氏
僕らは「壁紙を売ることを目的としていない」って話を社内でよくしています。壁紙に限らずでしょうが、「自分の手で自分の暮らしを良くする人」を一人でも増やすことを目的としているんです。その結果として壁紙が売れるって話にしていかないといけない。

ECはついつい目先の数字を作ることにフォーカスしがちです。そうなると、チームのすべきことが見失われてしまいます。「リフォーム選手権」なんかは、もっとエネルギー使わずにできないのかって話になったりもしますが、うちの社員は手間暇かけて泥臭くやっていますね。

RoomClipは気軽に「住」を発信できるプラットフォーム

川本 氏
今までも、「みんなのリフォーム」や「リフォーム選手権」で自社の壁紙を使った事例写真を発信してきましたよね。特にブログは想いが強いコンテンツです。それと比べるとRoomClipは、写真1枚とコメントなので1つ1つの情報量は少ないけれども全体量が多いコンテンツです。この2つに違いを感じることはありましたか?

林 氏
僕の中では「衣食住」の中で「住」だけブラックボックス感がありました。服は着て外に出る、食べ物も外で一緒に食べる。「衣食」は外で見る機会があります。でも住環境って人に見せる機会が圧倒的に少ないんです。それがRoomClipのプラットフォームで、気軽に自分の部屋を見てもらってコメントをもらえる環境ができたなと思っています。

RoomClipは「ルーム」に特化していることにすごく意味があると思いますね。

RoomClipとInstagramの違いは?

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川本 氏
家の中ってあまり人に見せるものではないんですよね。オシャレにしていても「よそ行き」ではなくて「日常」です。インスタ映えするものって「非日常」じゃないですか。それと比べるとRoomClipは、ちょっとした日常を手軽に発信できるプラットフォームです。少しほつれがあるインテリアでもシェアできるような。

インテリアって言うと少し身構えちゃうけど、RoomClipは、ごちゃごちゃしたものでもあげられる場所にしたいと思っているんです。そこがInstagramとの違いかな。

林 氏
わかりますね。あんまり手が届かないようなものってよりは、少し頑張ったら届きそうに思えるもの。それがないと実際の家と繋がらないんですよね。

川本 氏
特にRoomClipが大切にしているのは「量と幅」なんです。リフォーム選手権のように、人数を選んでじっくり深くやる施策は、まさに自社だからできることです。僕らはそこまではできないけど、ちょっとやりたいって人をたくさん集めることができる。

RoomClipで壁紙屋本舗を検索すると、生活感のある写真も出てくるんです。そんな素人も玄人も全部含めてコミュニティかなと。それを見て商品を買いたいと思える人が増えるといいなと思っています。

林 氏
既存ユーザーが言う「これ使ってます」って僕らが言う何百倍も説得力ありますからね。さらにRoomClipだと、そこに「アイテムタグ」が付いているから、すぐに買いにいけちゃうんですよ。

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「この写真に写っているアイテム」から楽天ショップに送客できる
画像提供:ルームクリップ株式会社

URL付きアイテムタグからの流入が大きい

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ferret
RoomClipのチェックは毎日しているんですか?

林 氏
毎日見ていますね。壁紙屋本舗ではInstagramのフォロワー数やいいねも多いんですが、RoomClipもそれに追いつきそうなぐらいです。

RoomClipのユーザーさんを見ていて、商品の売れる売れないの判断材料にすることもあります。「メトロタイル」なんかは、RoomClipでキッチン周りで取り入れているのを見て商品化しましたね。

ECへの影響で言うと、RoomClipはアイテムタグURLを付けられるから、そこからの流入が月1万PVぐらいあるんですよ。Instagramは投稿にURLを付けられませんからね。

川本 氏
今年の3月からアイテムタグを商品画像の上に付けられるようになったんですよ。

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(左)アイテムエリア機能オフ(iOS)、(右)アイテムエリア機能オン(iOS))
画像提供:ルームクリップ株式会社

林 氏
これすごいですよね。アイテムタグの場所を見ればどの壁紙のことかわかりますから。
アイテムタグ付き投稿がきっかけで壁紙屋本舗のコミュニティができて、コメントでやり取りしている姿を見ていると胸が熱くなりますよ。ユーザー同士が壁紙屋本舗をテーマに繋がっている姿を見るのが嬉しいですね。

「RoomClip」は運用なしでファンを増やせるSNS

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RoomClip(ルームクリップ)

RoomClipは、一般ユーザーが家の中の写真を自由に投稿しコメントし合うインテリア専門SNSです。その中で、インテリアに関心の高いユーザーが集まるのを活用した楽天ショップ運営者向けメニュー「おすすめショップ」を提供しています。

「おすすめショップ」とは

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おすすめショップ | RoomClip(ルームクリップ)

おすすめショップは、企業の運用なしでブランドファンを集められる企業アカウントサービスです。ユーザーが投稿した自社ブランド商品の実例を、企業アカウントで集約して紹介します。

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画像提供:ルームクリップ株式会社

企業が自主的に写真を投稿しなくても、既存ユーザーの力を借りてコンテンツを作り、さらに新規ファンを獲得できる仕組みです。

RoomClipは、この楽天ショップ向けSNSマーケティングサービスを月額3万円で利用できます。

アイテムタグからEC集客が可能

RoomClipは、インテリアに興味・関心のあるユーザーがお互いの投稿に対してSNS上やりとりをするコミュニティが生まれています。

とくに利用されているのが、ユーザーが利用している商品をタグ付けで紹介できるアイテムタグ機能です。アイテムタグには楽天ショップの商品URLの挿入ができるため、投稿を閲覧したユーザーのEC集客にも役立ちます。

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画像提供:ルームクリップ株式会社

また、おすすめショップを利用している企業は、管理画面からユーザーの投稿毎のいいね数やPV、送客数を確認できます。

RoomClipを利用して、どのような商品がユーザーに人気があるのか、どのような訴求方法がユーザーに刺さるのかなど、楽天ショップの運営に役立つ情報も入手できます。

まとめ

ブランドのファンを作るには、お金をかけて広告出稿をしたり、自社でブログやSNSを運用したりするのももちろん大切です。

しかし、「そこまで手が回らない」「コストの問題がある」といった課題を抱えている楽天ショップ運用企業は、UGCの有効利用を考えていくべきでしょう。

RoomClipの強みは、企業にSNSマーケティングのノウハウやかけられるコストが少なくても、ユーザー主体でコンテンツ作りブランドのファンを増やしていける点にあります。

インテリアの楽天ショップ担当者は、ブランドファンの増加とEC集客に効果的な「RoomClip」の「おすすめショップ」をぜひ利用してみてください。