Web上でニュースサイトを閲覧する際に度々目にする、「この先は会員登録が必要です」という表示。メディアがマネタイズを考える時に、ユーザーに会員登録してもらうことは非常に重要です。

その一方、会員登録の手続きがユーザーにとって負担となっている事実もあります。
興味のある様々なメディアを訪れた際、その都度購読のために情報を登録することは面倒です。

そうした中でGoogleが発表したのが、「Googleで購読(英語名:Subscribe with Google」という機能です。この機能が、前述した購読モデルの課題を解決するかもしれません。

今回は、その機能や発表の背景に触れながら、メディアの有料課金における新たな可能性について考察します。

「Googleで購読」とは?

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引用元:Google で購読 | Google Developers

Googleで購読」は、Googleに登録したユーザーの情報(氏名やアドレス、クレジットカードに関する情報)などを用いて、様々なニュースサイトへの登録が可能になる機能です。

この機能は、ユーザーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

ユーザーの情報入力のハードルが大きく下がる

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従来であれば、ニュースサイトの購読には、必要情報を入力する手間がその都度かかっていました。しかし、「Googleで購読」を利用することによって、簡単に登録が可能になるのです(現状この機能で購読できるのは一部提携メディアにとどまります)。

デバイスを横断して、情報を同期できる

デバイスに関係なく登録やログイン情報を保持できることも、ユーザーにとってはメリットだといえます。

PCから購読したコンテンツをスマホでも閲覧しようとした場合、従来は必要情報を再度入力する必要がありました。そうしたデバイス間の隔たりを解消するという点も、読者としては嬉しいところでしょう。

購読したコンテンツを一元管理できる

また、Googleアカウントから、購読しているコンテンツを集約的に管理できるところも便利です。自分が今どのメディアを購読しているのかがひと目でわかるため、日々の情報収集の効率化にも貢献すると考えられます。

参考:
Subscriptions – Google News Initiative

メディアにとってのメリットは?

では、この「Googleで購読」は、メディア側にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

コンバージョンへのつながりやすさ

先程述べたとおり、「Googleで購読」の機能によって、ユーザーが今まで感じていた「購読するハードル」という部分が大きく改善されることになります。

これはメディアにとって大きなメリットです。今まで面倒で登録を避けていたようなユーザーからのコンバージョンが期待でき、メディアとしても収益性の改善につながる可能性があります。

購読者との関係構築の促進

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また、登録後のユーザーとの関係構築も促進できます。

ユーザーとしては、登録状況の確認も簡単にでき、デバイスをまたいでの閲覧ができることなどから、コンテンツに触れる機会も増加することが予想できます。

また、Googleが提供するアプリGoogleニュース」で、購読されたコンテンツが「ニューススタンド」のセクションにて表示されるようになっているため、日常的にコンテンツを届けることができます。

月額制のモデルでは、登録してからのユーザーのライフタイムバリュー(LTV)を上げていくことが非常に大切になります。登録だけして、しばらく訪れずに解約という流れは避けたいところでしょう。

そうした意味で、ユーザーが日常的にコンテンツにふれる機会を作るものとして、「Googleで購読」から得られるメリットは大きいと考えられます。

取り組みの背景にニュースイニシアティブ

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引用元:About – Google News Initiative

今回の「Googleで購入」は、Googleが取り組みを進める「Googleニュースイニシアティブ」という活動の一環です。

これは、Googleが報道業界とのコラボレーションを進めるもので、業界が抱える課題に応えるようなサービスを展開したり、業界団体と提携したり、ジャーナリズムの様々な課題に取り組むプログラムを推進したりと、幅広い活動が見られます。

では、なぜGoogleはこのような取り組みを進めているのでしょうか?

Googleがもたらした、報道における課題

Googleは、情報発信のあり方を大きく変えました。以前は、情報の発信者として大きな力を持っているのは報道機関でした。しかし、インターネットが普及し、後に登場したGoogleなどのプラットフォームは、一般人の情報発信のハードルを大きく下げ、影響力を与えたのです。

これは、誰でも発信できるといったメリットがあった一方で、信憑性に欠けるような情報が流れたりといったデメリットももたらしました。

しかし、Web担当者の方の多くが理解しているように、Googleは質の低いコンテンツユーザーに届くことを良しとしていません。それはアルゴリズムのアップデートからもうかがい知ることができます。

また、Googleの公式ブログにおいても、メディアや教育機関と連携し、選挙中の虚偽の情報の拡散を防ぐ試みや、若年層の情報リテラシーを高めるための取組みを進めていることが述べられています。

質の高い情報をユーザーに届けていくためにも、情報発信のプロフェッショナルが集まる報道業界との連携は必要不可欠なのです。

参考:
[Google、サブスクリプション型ニュースを立ち上げ――News Inisitativeに3億ドル投資 | TechCrunch Japan] (https://jp.techcrunch.com/2018/03/21/2018-03-20-google-news-initiative/):blank
The Google News Initiative: Building a stronger future for news

まとめ:メディア購読の動きを注視

現状、「Googleで購読」機能によって購読可能なメディア数はまだまだ限られていますが、『The New York Times』や『The Washington Post』などの有名メディアが提携しています。また、日本からは『毎日新聞』も提携しており、今後も提携メディアは増えていくようです。

そしてGoogleは、2018年からの3年間、「Googleで購読」を含む「Googleニュースイニシアティブ」に3億ドルの資金を投資することを発表しています。

今後、動きはますます活発化していくことが予想されますので、自社としてこれから活用できる機会があるのかなど、動向に注目してみると良いかもしれません。

参考:
Introducing Subscribe with Google