「フリーランス」と聞くと、どのような印象を持つでしょうか。

「自由」「好きなときに好きなように働ける」「響きがかっこいい」など様々ですが、フリーランスになってみると楽だ、というわけではありません。

場所や時間に縛られないからこそ、自分の中でルールを決めておかなければ依頼が打ち切られてしまうこともあります。結果として、気がつけば収入がないということにもなりかねません。

今回は、フリーランスとして働く上で筆者がルール化している7つの心得を紹介します。フリーランスによって様々な考え方がありますが、特にこれから「フリーランス」という働き方を検討している方に参考にしていただければ幸いです。

フリーランスの心得7つ

1.納期に関する報告・連絡・相談はこまめにする

クライアントは、納期内に納品された成果物に対して報酬を支払います。
そのため納期が遅れるということは、最悪の場合報酬を受け取れない、という可能性も否定できません。「納期は必ず守る」というのは当然のこと、仕事が完了したら速やかに報告をするようにしましょう。

とはいえ、「諸般の事情でどうしても納期に間に合わない」ということはゼロとは言い切れません。もしも、「納期に間に合わないかもしれない」と感じたら、速やかにクライアントへ報告し、納期の再設定を相談しましょう。

特に連絡もせずに納期日を過ぎて納品するということは、絶対にあってはなりません。

2.レスは速やかに行う

クライアントからの連絡は、できるだけすぐに返しましょう。もちろん、すぐには手が離せない場合や、一度確認しなければ返答が難しい場合もあります。そのよう場合でも、「◯分後に返信いたします」「確認してから再度ご連絡いたします」など、一言でも構わないので返信するようにしましょう。テンプレートとして予測変換に入れておけば、ほんの少しの操作で送れます。

レスが速いということは、そのまま仕事が速いことを意味します。
もちろん完全なイコールではありませんが、細かいタスクも後回しにせずにその場で処理していけば、漏れが出るリスクを軽減できます。

また、「どうなっているのか」がわからないことはクライアントを不安にさせます。レスが速ければ現状把握がしやすいため、安心して仕事を任せてもらいやすくなります。小さなことですが、「信用されていること」は大きな強みとなります。

3.スケジュールに余裕をもたせる

設定するスケジュールには余裕をもたせることが重要です。余裕をもたせておけば、例えば体調が悪く業務ができない日があったとしても、カバーできます。

フリーランスは成果に対してのみ報酬が支払われるため、「体調が悪く〜〜」というのは通用しません。
納期までに確実に納品できなければ、依頼を打ち切られる可能性もあります。

余裕を持ったスケジュールで仕事を受けるようにすれば、何らかの理由で動けない日ができたとしても、納品に遅れが出ません。

下記は、実際に筆者が行なっているスケジュール例ですので参考にしてください。

<例>
・基本的に1ヶ月先の業務を行う
(例えば7月に執筆するのは8月分として納品する予定の記事です)
・修正依頼に対しては、対応できそうな日数+2〜3日をいただく
(記事や案件によっては対応日数をクライアントが指定する場合もあります。その場合は、最低でも指定された日時の前日に仕上げられるようにスケジュールを組みます)
・1週間の中で調節日をつくる
(毎日予定通りに執筆できるとは限らないので、予定が崩れたときに調節日で対応できるようにしています)

4.メリハリをつける

例えダラダラと仕事をしていても、お昼すぎまで寝ていても、誰も注意してくれないのがフリーランスです。

極論、ダラダラしていてもお昼すぎまで寝ていても、確実に仕事ができていれば問題はありません。とはいえ、「毎日ダラダラしながらクオリティの高い仕事を納期までに確実に行う」ことはなかなかできないでしょう。

そこで重要なことが、「1日・1週間の中でメリハリをつける」ことです。

例えば週単位であれば、平日は朝9時から18時までは仕事をする、土日は完全に休む、という大まかな目標をたてます。日単位であれば、毎朝業務開始前に、時間を区切って仕事を振り分けると、集中しやすくなります。

Googleカレンダーに予定を入力して、予定の開始10分前・終了10分前にアラートがくるよう設定すれば、ダラダラと時間がすぎてしまうことを防止できます。

<例>
8時〜9時 ニュースチェック
9時〜10時 オンラインMTG
10時〜12時 1記事執筆
13時〜15時 1記事編集
16時〜17時 その日に出た細かいタスクの処理
17時〜18時 翌日の業務の準備

筆者のようにパソコンを使った仕事をしている場合、FacebookやTwitterを見ていて気がついたら1時間経過していたということもよくあります。そのような場合は、ツールを使って管理するのもひとつの手です。

例えば、Google Chromeの拡張機能「StayFocusd」を使用して、あらかじめFacebookやTwitterなどのURLと1日の閲覧時間を設定しておけば、設定時間を経過するとアクセス制限がかかってその日は対象ページが閲覧できなくなります。

「自制心を持つ」という言葉で片付けられてしまいそうなことですが、365日自制心を持って業務にあたれる人はそれほど多くないでしょう。ツールをうまく利用しながら時間管理をしてみるのもおすすめです。

参考:
StayFocusd

5.成果で仕事をする

業種にもよりますが、フリーランスは時給制ではなく成果物に対して報酬が支払われるケースがほとんどです。
そのため、例えば1時間の講演で10万円を稼ぐこともあれば、5時間かけても1万円の記事を執筆し終わらない、ということもあります。

つまり、「毎日9時〜18時まで出勤すれば、月末に決められた金額が入る」という考え方では、フリーランスとして収入を増やしていくことはなかなか難しいということです。

もちろん「時間」をまったく意識しない、というわけではありません。しかし、「時間」ではなく、講演や納品物などの「成果物」に対して報酬を得ているという考え方を持つことは重要です。

効率化できる部分は効率化する、ダラダラと取り組まずに集中して1つの仕事に取り掛かる、など、働き方も大きく変わるでしょう。

6.テイク以上にギブに重きをおく

有名な経営学者のピーター・ドラッガーは「人的資本がもっとも企業やビジネスにおいて重要な財産だ」と述べています。

また、筆者がフリーランスとして独立する際に、当時の上司からも口酸っぱく「ギブ&ギブ&ギブの先にいつかどこかでもしかしたらテイクがあると思って動くことが、将来身を助ける」と教えられました。

「ギブに重きをおく」ということは、見返り、つまりテイクを意識せずにとにかく「与える」ということです。

人間の心理作用には「なにかしてもらったらお返しをしたくなる」という「返報性の法則」があります。普段から「ギブ」に重きをおいていると、ふとした瞬間に「テイク」があることも考えられます。長期的に見れば、自分がなにか困ったときや新しいことにチャレンジしたいときなどに、人が集まりやすくなるでしょう。

いざというときに人を集められる、頼れる、というのは、基本的に1人で業務を行うフリーランスにとって重要なことです。

7.金銭面にシビアになる

フリーランスは、「会社」という組織が守ってくれるわけではありません。そのため万が一金銭トラブルが発生した際、最悪の場合は泣き寝入りをする、ということも考えられます。

このようなトラブルに巻き込まれないためにも、クライアントと自分の双方で決めた日時に決められた報酬が入金されているか、確認は怠らないようにしましょう。万が一漏れていた場合は、すぐにクライアントへ連絡が必要です。

「金銭面にシビアになる」というのは、自分に対しても必要です。毎月いくら稼げているのかを把握することは、自分の市場価値を把握することにもつながります。

フリーランスには、産休や育休の手当、退職金、有給休暇、労災などはありません。貯金ばかり意識してお金を使うなということではありませんが、「仕事ができない状態=収入がない」ことを忘れないでください。

また、税理士に依頼しない限りは確定申告や会計も自分でやる必要があります。普段から収支の整理するよう心がけましょう。

筆者は冊子状のクリアファイルを用意し、月別にレシートや請求書などを入れて管理しています。月別になっているため、確定申告時に計算する際にレシートや請求書を探したり、月別に分ける作業をしたりなどの手間が省けます。