7月16日、セールスフォースによる「Datorama(デートラマ)」買収が発表されました。

イスラエル発のベンチャー企業「Datorama」は、世界で唯一MI(マーケティング・インテリジェンス)ツールを提供しています。
買収のニュースを見て、「MIツールって何ができるのかよくわからない」と思った方は多いのではないでしょうか。

セールスフォース買収によって注目度が高まると予想されるMIツールは、特にマーケターにとっては強力なサポートツールになりそうです。
今回は、MIツールが何で、誰が、どのように活用できるのか、基本情報を紹介します。

参考:
セールスフォース がDatorama買収で最終合意 - Datorama Japan/デートラマジャパン公式ブログ

MIツール=BIツールのマーケティング版

マーケティング・インテリジェンス」という言葉自体は新しいものでありません。
「インテリジェンス(Intelligence)」は「情報」という意味ですが、同じ情報を意味する「Information」とは少し異なり、「判断を助ける」というニュアンスが強い言葉です。

「インテリジェンス」のニュアンスをしっかり捉えるために、保険サービス加入を検討するシーンに例えてみます。

保険には様々なプランがあり、オプションも豊富です。ただ単にプラン一覧を見せられたところで、自分がどれを選べばいいのかはわかりません。

無数にあるプランの中から、自分に合ったものを選ぶための情報を提供するのが保険アドバイザーやAIです。自分の状況やどんな保障が必要なのかを彼らに伝えれば、最適化された情報を提示されます。

その情報をもとに、加入検討者は申し込むプランを決定します。このアドバイザーやAIが担っているのが「インテリジェンス」です。

マーケティング・インテリジェンス」は、3C分析(顧客、競合、自社の分析)や市場予測などマーケティングに必要なデータを揃え、意思決定を促進するための情報に編集することです。

これらから、MI(マーケティング・インテリジェンス)ツールとは、「自社が持つ情報の中から、マーケティングに関する意思決定を促進するための情報だけをまとめたツール」と言えます。

ビジネスに関する意思決定に必要な情報を整理する「BI(ビジネス・インテリジェンス)ツール」のマーケティングに特化したものと考えていいでしょう。

マーケティング・インテリジェンスという概念は1970年代からありましたが、今改めて
MIツールが注目されているのはなぜでしょうか。

日々大量の情報を収集するマーケターの強い味方

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Webで取得できる情報が爆発的に増加した今、マーケターが見るべき情報は膨大です。

Web広告1つとっても、リスティング広告ディスプレイネットワーク、SNS広告、リマーケティング広告、動画広告などあらゆる手段が登場しています。利用する広告媒体が多いと、それぞれの管理画面で成果を確認するだけでかなりの時間を要します。

しかし、各広告媒体の管理画面に表示される情報をすべてチェックする必要はありません。PDCAをまわすために必要な情報は限られています。

広告に限らず、SNSやCRMデータなど日々のマーケティング活動に必要な情報だけを抽出して可視化し、マーケターが次はどのような施策を打てば良いのか判断しやすい状態にするのがMIツールの役割です。

MIツール最大のメリットは、業務の最適化

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マーケターが見るべき情報があまりにも膨大になってしまった今、情報の確認自体できていない担当者は少なくないのではないでしょうか。

特に広告代理店を挟んでいる場合、広告の効果測定はすべて代理店任せにして、月1のレポートを確認するのみという方は多いはずです。

2016年に起こった電通の運用型広告不正事件は、まさしくそのような状況が背景にあったからこそ起きたと言えます。

広告主から預かった広告予算を消化しきれず、虚偽の掲載期間やクリック数をレポートに記載し提出、予算を確保していたという事件は、もちろん電通側に大きな責任があります。

しかし、そのような状態が数年続いていたという事実からは、成果をしっかり確認していない広告主側の責任も見えてきます。

参考:
電通不正請求事件を招いた広告主の丸投げ体質:日経ビジネスオンライン

日々出てくるデータと向き合い、そのデータが意味することは何なのかを検証し、仮説を立てて実行、検証するのがマーケターの本来の仕事です。

忙しさにかまけて、一番見るべきものから目をそらしている状態が発生しているのであれば早急に解決するべきでしょう。

MIツールは、データ確認の手間を大幅に削減することで、それまでデータを見てすらいなかったマーケターを本来の仕事に呼び戻す役割を担えそうです。

まとめ:MIツールを使い効率化を進めよう

DMPの登場であらゆる媒体の情報を一元管理することも可能になり、膨大なデータベースをもとに様々な施策を考えられるようになった反面、データベースを使いこなせないケースも増えています。

顧客の購買データや属性、場合によってはオフラインの行動データを取得したうえで、マーケティングを成功させるために必要な情報は何なのか、どう活用してどう判断すればいいのかをマーケターだけで考えるのは難しいでしょう。

網羅しなければいけない範囲が広いうえに、1つひとつのカテゴリに対する知識も深める必要があるので、人力で解決するには限界があります。

自分のスキルや知識だけで解決しようとするよりも、MIツールなど判断をサポートしてくれるサービスを使うほうが効率的であり、成功確率も高まるでしょう。